街乗りならコンパクトカーのハイブリッド、長距離ならSUVやミニバン! 使い方で4WDの選び方は変わる? 実際の雪道で試してみた
MōTA / 2022年2月4日 10時30分
前回は雪道などの悪路走破力を高める場合に有効な方法として4WDシステムを取り上げた。2輪駆動に比べて駆動力の伝達効率が大幅に向上する4WDだが、その種類は複数ある。 4WDシステムの種類については前回の記事で詳しく解説したのでそちらは割愛するとして、今回は雪道や氷上での代表的な4WDシステムの挙動について紹介しよう。
4WDといえばスバル! フォレスターの走りは自然で4WDを感じさせない
まずはスバル フォレスター スポーツを試乗した。使用される4WDシステムは、電子制御される多板クラッチを介して前後輪に駆動力を分配するアクティブトルクスプリットAWDだ。多板クラッチやブレーキの制御を変更するXモードも装着している。
スバル フォレスターの運転感覚は自然な印象で、4WDの存在を意識させない。雪道も舗装路を2WDで走っている時と同じような感覚になる。
雪道の登坂路では、Xモードのスイッチで「スノー・ダートモード」を選んだ。前後輪の駆動力がスリップを抑えるように制御され、空転が生じると、即座にそのホイールにブレーキを作動させる。ブレーキの作動で空転が抑えられ、雪上の坂道も安定して走破できた。
やむを得ず深雪に入り込んだ時は「ディープスノー・マッドモード」を選んだ。このモードでは、ある程度の空転を許容する。アクセルペダルを少し深く踏み、前後輪を空転させながら車両を少しずつ前進させていく。深雪や泥道に入り込み、空転を完全に止めたら立ち往生して脱出できないため、敢えて空転させて雪を飛ばしながら前進するのだ。 このような制御を備えるのは、スバル フォレスターが悪路の走破も視野に入れたSUVであることも影響している。また多板クラッチを使ったアクティブトルクスプリットAWDの制御が綿密だから、可能になった走行モードでもある。街中での扱いやすさはモーター制御の4WDに軍配
最新ハイブリッドモデルの4WDについても雪上で試す機会を得た。日産のノート/ノートオーラだ。こちらはモーター駆動のみで制御するe-POWER(シリーズ式ハイブリッドシステム)を搭載する。エンジンは発電機を作動させ、その電気を使ってモーターがホイールを駆動する仕組みだ。この特徴を生かして、4WDは後部に搭載されたモーターで後輪を駆動する方式とした。
前輪と後輪の駆動系は別々のモーターで制御される。
そのために下り坂のカーブを曲がる時など、後輪のモーターで減速エネルギーを使った発電を積極的に行うと、後輪の制動力だけを強められる。この制御により、荷重が前輪に偏ることを抑えて、走行安定性を向上させられる。
雪道でも効果を発揮した。例えばカーブを曲がっている時に、ステアリングホイールを切り込みながらアクセルペダルを少し踏み増すと、即座に後輪の駆動力が立ち上がる。少々大げさにいえば、後輪駆動車に近い感覚で、車両を内側に向けられた。後輪の駆動力は、前輪に比べると小さいが、もともと雪道ではフルにパワーを掛けることはない。アクセルペダルの踏み方が穏やかだから、少し踏み増しながらステアリングホイールを切り込むと、相対的に後輪の駆動力が増えて操舵角通りに曲がることができた。旋回軌跡が拡大してガードレールに近付いていく怖さが抑えられ、アクセル操作によって車両の挙動をコントロールしやすい。
このようなフォレスターとノート&ノートオーラ4WDの運転感覚の違いは、4WDの選び方にも影響を与える。街中の走りに重点を置くなら、後輪をモーターで駆動するノート&ノートオーラの4WDは、駆動力の制御も綿密で運転しやすい。長距離移動ならSUVやミニバンを、街乗りが多いならコンパクトカーのHVがオススメだ
一方、高速道路、峠道、深雪など、エンジンや駆動系の負荷が大きな状態で4WDの効果を発揮させるなら、エンジンと後輪をプロペラシャフトで繋げた4WDが力強い。深雪においてスバル フォレスターのXモードを「ディープスノー・マッド」に合わせると、雪を掻き分けながら進む走りも行えた。
従って長距離移動の多いSUVやミニバンには、プロペラシャフトを使った多板クラッチ方式の親和性が高い。最近増えているコンパクトカーのハイブリッドは、街中を走る機会が多いから、後輪をモーターで駆動するタイプが相応しい。前述のように後輪のモーターで発電を行い、駆動用電池に充電して、燃費を向上できることもメリットだ。車種や使い方に応じて選び分けたい。
【筆者:渡辺 陽一郎】外部リンク
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