新型シビックタイプR登場を前に、その歴史の中でひと際強烈な存在感を放っていた「タイプR」を振り返る!
MōTA / 2022年2月9日 8時0分
2022年に導入予定のホンダ 新型シビックタイプRの開発車両「シビックタイプR プロトタイプ」が東京オートサロン2022で公開された。ここでは新型導入を前に、過去にひと際高い存在感を放っていた「タイプR」3選をお届けする。
至高の赤エンブレムの始まり「NSX タイプR」
1990年に誕生したホンダのフラッグシップスーパーカーの初代NSX。世界初のオールアルミニウムボディを採用し、全長4430mm×全幅1810mm×全高1170mmの低くワイドなスタイルに、V6 3000cc DOHC VTECエンジンをミッドシップに搭載して車両重量はわずか1350kg(MT仕様)に収められていた。
そしてデビューから2年後の1992年に、エンジンの精度を高め、約120kgの軽量化をしたホンダとして初めての「タイプR」モデルが登場。タイプRにのみ装着される赤エンブレムの歴史がここから始まった。高回転域を多用した走りを重視するタイプRでは、エンジン&トランスミッションのチューニングでは、徹底的な品質管理によって各パーツのバランスをより向上させるという、レーシングエンジンと同じチューンアップ方法を採り、スムーズで力強い加速感を実現。
さらに、ニュルブルクリンクをはじめ、世界各地のサーキットでの充分な走行テストにより、サスペンションなどの足廻りの専用チューニングなども施されていた。そのほか、MOMO製ステアリングホイールやレカロ社との共同開発によるフルバケットシートなど専用パーツの採用とともに、シフトやクラッチの操作フィールにもこだわった装備・仕様など、ドライバーとクルマとの一体感を重視したダイレクトな操縦性、操作性を実現していた。
ホンダらしい驚きに満ちた1台「インテグラ タイプR(DC2)」
その後、1992年に登場したNSX タイプRの考え方を身近なライトウエイトスポーツで実現すべく開発されたのが初代インテグラ タイプRだ。 セッティングの方向としては、当時のプロダクションレーシングカーと同じで、アンダーステアをかき消し、ドライバーの意志通りにクルマが向きを変え、立ち上がりに強大なトラクションが得られるセッティングに。エンジンも究極とも言えるチューニングが施され、1.8LのDOHC4気筒自然吸気エンジンから、最高出力200PS/8,000rpmを達成している。 ピストンスピードは当時のF1を超えるほど。従来のFFでは想像できないほどのフロントの回頭性(車の車体方向を変更する速さや、それにおけるコントロール性)のよさが特徴で、エンジン回転の“ツキ”のよさも痛快。まさに熱き心を刺激するホンダらしい驚きに満ちた1台であった。タイプRを不動のものにした「シビック タイプR(EK9)」
そして6代目シビックが1997年8月のマイナーチェンジの時に新たに追加設定されたのが、シビックとしては初のタイプRとなるEK9型。ホンダがタイプRに一貫して求め続けた「レーシングカーのテイスト」「圧倒的ドライビングプレジャー」を、より多くのドライバーに体感してもらうと登場したモデルだ。
搭載されるエンジンは通常のシビックのスポーツグレードであるSiRに搭載されていたB16A型をベースに専用チューニングが施されたB16B型。1.6Lの排気量から185PSを絞り出し、レブリミットは9000回転というレーシングエンジン並みのスペックを持ち合わせている。 その他、レーシングテイストあふれる旋回フィールを実現する4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションは、ロール剛性を高めつつも、前後荷重移動による優れたフロントの接地性を確保するセッティングを実現。ボディまわりはパフォーマンスロッドの追加、テールゲートまわりの大幅強化等により高いボディ剛性を獲得し、コントローラビリティの向上にも大きく寄与している。ここまで、過去にひと際強烈な存在感を放っていた「タイプR」の3台をお届けした。2022年導入予定の新型シビックタイプRは、果たしてどんな姿を見せてくれるのか? 期待を胸にその登場を楽しみに待ちたい。
[筆者:望月 達也(MOTA編集部)]
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