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キャンピングカー市場に期待! 満を辞して日本導入の欧州製商用車「フィアット デュカト」がやってくる【ジャパンキャンピングカーショー2022】

MōTA / 2022年2月13日 17時0分

フィアット デュカト【ジャパンキャンピングカーショー2022】 [Photo:和田 清志]

2022年2月10日(木)〜13日(日)で開催の『ジャパンキャンピングカーショー2022』には、興味深い商用車が出展されている。それが、フィアットの小型商用車部門であるフィアット プロフェッショナルの商用バン「デュカト(Ducato)」だ。

フィアット デュカト【ジャパンキャンピングカーショー2022】 [Photo:和田 清志]

2017年に参考出品されたあのデュカトが、ついに正規輸入!

ジャパンキャンピングカーショー2022にフィアットが持ち込んだ商用バンがなぜ興味深いかというと…。

実はこの「デュカト」、2017年の「ジャパンキャンピングカーショー2017」に、フィアット・クライスラーの日本法人・FCAジャパンが参考出品として持ち込んでいたからなのだ。

「フィアット デュカト」バンボディを用いたキャンピングカー架装例, バンボディのみならずシャシー販売も行われており、車体後部に独自車体を架装するケースも多い

「フィアット デュカト」バンボディを用いたキャンピングカー架装例, バンボディのみならずシャシー販売も行われており、車体後部に独自車体を架装するケースも多い

欧州キャンピングカー市場では、ベース車として70%以上のシェアを持つフィアット デュカトは、日本国内でもすでに、キャンピングカーとして知名度を得ていた。しかしいずれも並行輸入車扱いであった。そこでFCAジャパンは、新分野参入への一環として、成長著しい日本のRV市場でデュカトの販売を計画した。

価格が重視される商用車では、国内市場での競争力が生まれにくいため、純然たる商用仕様での正規輸入は、過去にほとんど例がない(日本でお馴染み「ルノー カングー」も、元来は商用車だが、日本に正規で入ってきたモデルは、装備が充実した乗用仕様である)ことから『デュカトの正規輸入が開始される!』という話題は、一部の商用車ファンや、キャンピングカービルダーで大きな話題となり、実際にFCAジャパンにも多くの問い合わせがあったという。

2017年の参考出品から5年! いよいよ正規輸入版がお披露目された

JCCS2022会場で発表された「フィアット 新型デュカト(フィアット プロフェッショナル デュカト)」(正規輸入版・プロトタイプ)

そしてあれから5年。

正式な仕様がフィックスした“正規輸入版”フィアット 新型デュカトがここ幕張でお披露目されることになった。

ジャパンキャンピングカーショー2022開催初日には、FCAジャパンのポンタス・ヘグストロム社長も発表会に登壇。『著しく伸びを示す日本のキャンピングカー市場に向けた新製品だ』『日本でも既に長くテストを重ねている』などと語り、デュカトに対するFCAジャパンの本気を感じることができた。

世界中で販売されるフィアットの中核商用バン「デュカト」を改めて解説

デュカトは、一般的には「フィアット デュカト」で通じるが、正式にはフィアットの小型商用車部門「フィアット プロフェッショナル」から販売される。

同社は、2007年まで存在したフィアット ベイコリ コメルチアリ(Fiat VeicoliCommerciali)に代わり発足。現在では、PSAプジョー・シトロエンとの合弁会社セヴェルでデュカトを、トルコの子会社トファシュでフィオリーノ(=「シトロエン ネモ」「プジョー ビッパー」としても販売)と「フィアット ドブロ」(ルノー カングーのライバルとなる小型バン)を生産する。

なおフィアットのコンパクトカー「パンダ」や「プント」のバン仕様といった乗用車ベースのバンも、フィアット プロフェッショナルブランドの元で販売される。

現行型のデュカトは、2006年デビューの3代目。2014年に実施されたマイナーチェンジ後により現在の姿となった。2020年には約15万台を販売したFCAグループの中核商用車でもある。北米市場ではクライスラーの「ラム」ブランドから「プロマスター」という名前で流通されている。またデュカトは南米などでも生産されており、世界中でその姿を見られるワールドワイドな商用車だということがわかるだろう。

日本では3サイズを導入 右ハンドル・9速ATを採用

デュカトは膨大なバリエーションを持つが、日本に導入される仕様では標準車体であるノーマルルーフの「L2H2」(全長5,413mm、ホイールベース3,450mm、全高2,524mm)、ロングホイールベース・ノーマルルーフ版の「L3H2」(全長5,998mm、ホイールベース4,035mm、全高2,524mm)、そしてロングホイールベース・ハイルーフの「L3H3」(全長5,998mm、ホイールベース4,035mm、全高2,764mm)の3種類となる。全幅は2,050mmで共通だ。

2017年の段階では単にM、L、XLという呼び方だっただけに、欧州商用車ファンとしては、本国と同じ呼称となったのは嬉しい。

搭載されるディーゼルエンジンは、2017年に展示されたデュカトのMULTIJET2から発展し、MULTIJET3に。最高出力も160psから180psに増強、トランスミッションもATモード付き6速シーケンシャル(コンフォートマチック)から9速ATに進化している。

運転席周辺の装備も充実しており、ワイヤレスでスマートフォンを充電できるコンパートメント、USB-A・USB-Cの充電ポート、電源コンセントも装備。

フルデジタル・コクピットにより、インフォテインメント・システムとの接続も柔軟性に富み、10.1インチタッチスクリーンを備えた新しいインターフェイス、ナビゲーションシステムも搭載する。日本市場に合わせ、右ハンドル・左側ドアとなっていることは言うまでもない。

一方でキャビンから後部は、内装が一切なく構造材がむき出しの状態のため、キャンピングカービルダーによる架装が容易だ。

足回りは、重量が増すキャンピングカー仕様に合わせているとのこと。また、運転席と助手席も、キャンピングカーの需要に応えた回転式となっていることも特徴だ。バンパーも黒樹脂のままという商用仕様でありながら、各部はキャンピングカーに適した設計になっているのが大きな特徴といえよう。

なお、運転席後部のパネルは容易に撤去が可能で、設置状態では1ナンバー、外すと8ナンバーの扱いになる。

商用車と侮るなかれ!? 長距離でも快適そうな肉厚シートに圧倒! 欧州製商用車の実力を垣間見る

バンやトラックといえば、内装の質は乗用車よりも落とされ、シートやハンドリング、乗り心地が劣ると思われがちだが、地続きで一度に数千キロを踏破することもある彼の地の商用車は、ずば抜けた直進安定性や疲れにくいシートを備え、長距離移動をものともしない車種が多い。筆者は、日本に未導入の大型商用バンや、カングークラスの小型商用バンに乗る機会が多く、その「ラクさ」をたくさん経験してきた。

見た目以上に肉厚でしっかりしたかけ心地のシート。この状態で180度回転可能な機構も備わっている。後ろのパネルはボルト留めで容易に外すことが出来る

デュカトのシートに座ったところ、肉厚のクッション、適切な形状が身体に心地よく、視界も素晴らしいことを再確認した。

移動した先で楽しむキャンピングカーなのに、運転自体が大変だったり、疲れたりするのはもったいない気がする。その点、極めて快適なデュカトは、キャンピングカーのベースとしても、さらにはFCAジャパンが展開を希望する宅配用バンや送迎車の需要に相応しいクルマと言えるだろう。

デュカト専用の販売ディーラー網の整備も進行中!

FCAジャパンは、デュカト専用の販売ネットワークとして「フィアット プロフェッショナル」の看板を持つ正規ディーラー網を新たに構築する(!)という。FCAジャパンがデュカトにかける意気込みを強く感じさせる。

デュカトは車両自体が大きく、リフトなどの問題で整備ができないこともあるため、ディーラー網の拡充方法は、デュカトを架装するキャンピングカービルダーにもディーラー化を呼びかける。既存のフィアットディーラーにも募集をかけており、リフトを新設して販売・整備対応を計画するディーラーも名乗り出ているという。

フィアット 新型デュカトのベースモデルのL2H2の税込希望販売価格が469万円(消費税込み)。ポンタス・ヘグストロム社長は『日本向けの生産は2022年の第二四半期からスタートし、第三四半期にはデリバリーを開始する。年末までには日本の路上を走るデュカトが見られるだろう』と語った。

日本でのデュカトの活躍に期待したい!

[筆者:遠藤 イヅル/撮影:和田 清志・FCAジャパン]

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