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【二人の評論家が本音でジャッジ】フルモデルチェンジを果たしたトヨタ 新型GR86とスバル 新型BRZを、異なる視点で本音トーク&ジャッジ

MōTA / 2022年3月15日 11時30分

【本音でジャッジ】トヨタ GR86とスバル BRZ

数字で表せるクルマの性能や機能は優劣をつけられるが、個人の好みが加わるとジャッジは難しい。異なる嗜好の専門家2人が評価すると…? 昨年、2代目へと進化した人気のトヨタ GR86とスバル BRZを小沢コージ氏と大谷達也氏に討論してもらった。

【本音でジャッジ】トヨタ GR86とスバル BRZ

2代目へと進化を遂げたトヨタ 新型GR86とスバル 新型BRZ

大谷達也氏/モータージャーナリスト/二玄社『カーグラフィック』に20年在籍したのち、フリーランスへ転身。現在はモータージャーナリストとして活躍する。エンジニアとして電機メーカーに勤務していたこともあるため、工学系に強い。旧知の小沢氏とは対照的にスポーツカー好きでモータースポーツの世界にも精通している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

MOTA編集部(以下MOTA) 今回はお二人にトヨタ GR86、スバル BRZの評価をお聞きしたいと思っています。お二人も選考委員を務めている日本カー・オブ・ザ・イヤーでは、ともに高得点を入れてらっしゃいましたよね?

小沢コージ氏(以下敬称略) クルマへの評価ももちろんだけど、ボクは今の時代にスポーツカーを作るっていうトヨタの心意気を高く評価しての点数なんですよね。

大谷達也氏(以下敬称略) まったく同感ですね。両社とも大ヒットが望めないことを分かっていて作っているのがそもそも素晴らしいし、評価すべき点だと思います。

小沢 両車、特にGR86なんて結局は利益を上げているわけですよね?

大谷 当然そうですね。そのあたりは両社ともさすがですよ。今の日本車ではピュアなスポーツカーはこの2台とマツダのロードスターぐらいしか選択肢がないわけですからね。

2021年10月に発表されたトヨタ 新型GR86。ベースグレードは6速MTのRCで279万9000円、その上にはSZ(303万6000〜319万9000円)、RZ(334万9000〜351万2000円)などが用意される。写真はスパークレッドのRC

スバルがトヨタと共同で開発したBRZ。写真はベースグレードとなるR。価格は308万〜324万5000円。装備を充実させた上位グレードのSも用意し、その価格は326万7000〜343万2000円となっている

上がトヨタ 新型GR86、下がスバル新型BRZ。インテリアのデザインは両車ほぼ共通となっている。水平基調のダッシュボードを採用するなど、運転のしやすさを追求している

乗って比較をすれば2台の違いは明らか

小沢コージ氏/モータージャーナリスト/自動車メーカー勤務から自動車雑誌の編集を務め、現在はバラエティ自動車評論家と自称して幅広く活躍。クルマの趣味は幅広く、現在はホンダN-BOXやキャンピングカーなどを所有。執筆活動のほか、Youtube『小沢コージのKozziTV』やラジオのパーソナリティなど、様々なメディアで持論を展開している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

小沢 2代目になって2台の違いがより鮮明になったし、クルマもすごく良くなったと個人的には思っているけど、大谷さんの意見は?

大谷 色々な意見があるようですが、ボクはすごく進化してビックリするぐらい良くなったと感じました。小沢さんのいう通り、2台の違いも明らかですしね。

小沢 これは公式にも発表された話ですが、発売まで1年を切ったタイミングで豊田章男社長の号令があって、乗り心地に関してかなり手をいれて修正したって話があるじゃないですか? 中空スタビライザーや前後サスペンション、ハブを換えて! って。

大谷 ありますね。よくそのギリギリのタイミングでやりましたよね。

小沢 乗ってみてその効果はどう思います? ぼくはちょっとやり過ぎじゃないかなって思っているんですよ。結果としてGR86って、すごく乗り手を選ぶというかドリフトしやすいセッティングじゃないですか?

大谷 僕も2台ほぼ同時に乗り比べて、やっぱりGR86は乗り心地が硬い。BRZはどちらかというとソフト路線。でもGR86の仕様をギリギリで変えた部分って、良い方向にすごく出ていますよ。走りがカッチリしたって言えば分かりやすいのかな。

小沢 これは好みの問題だけど、僕にはちょっとハード過ぎるなぁ。でもクルマ自体はかなり良くなっていますよね?

大谷 初代の時は両車とも「個人でどんどんチューニングしてください」っていうスタンスだったんですよね。それがマイナーチェンジで進化していった。でも2代目はもう最初からほぼ完成されています。

小沢 あそこまで過激というか、スポーツ性を突き詰める必要があったのかなって個人的には思っちゃうんですよね。あれだと、乗っていて疲れませんか?

大谷 でも、最初に話したようにスポーツカーにそこまで力を入れるところがトヨタらしいですよね。好みもあると思いますが、ボクはGR86のほうが走りは良いと思います。ホイールの取り付け位置とか、両車での違いって結構あるんですけど、GR86はよく作っているなって思いました。

スバルの持つ水平対向エンジンの技術に、トヨタの直噴技術「D-4S」を組み合わせたガソリン直噴エンジンを両車とも採用する。排気量は初代の2リッターから2.4リッターに拡大している

2012年にスバルと共同開発して生まれた初代のトヨタ 86。「自分だけの1台を育てる」というコンセプトで開発され、2021年まで生産された。販売期間が長いため、トヨタのスポーツグレードである「GR」など様々な仕様が用意された

初代86と同じタイミングとなる2012年から発売が開始された初代のスバル BRZ。車名はボクサーエンジンのB、リアホイールドライブのR、究極を意味する「Zenith」を組み合わせたものが採用された

好みで評価が分かれる2台、それぞれ欲しいのは?

小沢 正直、自分はこの2台を「買う?」って聞かれたら、買わない(笑) なんか頑張り過ぎているところがダメで。そもそも個人でスポーツカーを所有するイメージがまったくないっていうのがあるんですけど。この2台ならマツダのロードスターのほうが欲しい。

大谷 ロードスターもピュアスポーツカーじゃないですか(笑)

小沢 いや、そうなんですけど、ロードスターはそんな片意地を張っている感じがしないでしょ? おじさんが街中を気持ちよく走れるようにしてある。MTの操作しやすさとか、そういうものを感じる。でもこの2台はスポーツカーっぽさが前面に出ていてちょっとなぁ。

大谷 評価の高さと欲しいと思うかは別問題ですからね。じゃあGR86とBRZ、どっちが好きって聞かれたら?

小沢 BRZ…いやGR86…あーやっぱり…うーん。ちなみに大谷さんは?

大谷 BRZも好きなんだけど、走りを考えるとGR86ですね。

小沢 おれもGR86かなぁ。でも疲れるのがイヤだからエントリーモデルのRCで(笑)。

GR86とBRZの大きな武器がアルミ材を多用した軽量ボディ。専用設計の低重心FRパッケージも非常に優秀で、両車ともにキビキビしたハンドリング特性を備える

トヨタは自社の安全デバイスがあるが、トヨタ 新型GR86にはスバルの安全テクノロジーである「アイサイト」を採用。衝突回避、全車速追走機能付きのクルーズコントロールなど、カメラを使った運転支援機能・安全機能が数多く備わる

ボディサイズは全長4265×全幅1775×全高1310mmと両車とも同じ。ATとMTが用意され(どちらも6速)、乗員人数は4名となっている。燃料消費率はWLTCモードで11.7〜12.0km/hとスペックもほぼ共通。写真はスバル 新型BRZ

二人の会話に登場したマツダ ロードスター。1989年に発売された初代は大ヒットとなり、世界中に2座オープンスポーツブームを巻き起こした。現在は2015年から発売されている4世代目(写真)へと進化している

[筆者:iconic/撮影:トヨタ自動車、スバル、マツダ]

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