日産 新型キャラバンはハイエースの牙城を崩せるのか!? これまで両モデルの売れ行きに大差がついていた4つの理由とは?
MōTA / 2022年3月19日 11時30分
2021年にガソリンエンジン車を、2022年にはディーゼル車を大幅なマイナーチェンジした日産 新型キャラバン。ライバル「トヨタ ハイエース」との競争は今後どうなるのか。ここでは両モデルを比較解説していく。
ライバル「ハイエース」との競争力強化のためにマイチェンした新型キャラバン
それでもハイエースとの開きは大きく、このサイズの商用車シェアは、ハイエースとその姉妹車が70%以上を占めて、キャラバンは30%以下だ。そこで新型キャラバンとハイエースを比べたい。
動力性能は排気量の大きいハイエースがやや優勢ながら、燃費性能はキャラバンに分がある
一方、クリーンディーゼルターボのWLTCモード燃費は、新型キャラバン2WDプレミアムGXなどが11.3km/Lに対し、ハイエースロングスーパーGLの標準ルーフは9.2km/Lだ。燃費性能は設計が新しいこともあり、新型キャラバンが優れている。
ハイエースよりも乗用車に近い走行安定性と安全装備を備える新型キャラバン
安全装備は、以前はキャラバンが遅れていたが、新型になり少し追い抜いた形だ。新型キャラバンには、ハイエースが設定しない標識検知機能も備わる。メーター内部のディスプレイに、進入禁止、最高速度、一時停止の標識を表示する。
両モデルの売れ行きに大きな格差が生じた4つの理由
荷室の広さなどでは差が付かないから、キャラバンとハイエースの商品力に大きな隔たりはない。それでも売れ行きに大幅な格差が生じた背景には、4つの理由がある。
3代目キャラバンまではハイエースの方が商品力が高かった
1つ目は過去の商品力の違いだ。2001年に販売を終えた3代目キャラバンまでは、ハイエースの優れている点が多かった。特にユーザーの評価を分けたのがボディ剛性と耐久性だ。当時のキャラバンは、1輪だけ歩道に乗り上げて荷物の積み降ろしをすると、ボディが捩れてスライドドアが閉まらなくなることがあった。ハイエースなら、当時からこのような不都合は生じにくい。
その結果、「キャラバンはボディが弱い」という評価が生まれた。現行型のキャラバンであれば、既に対策が施されてこの問題は生じないが、仕事で使うクルマだからユーザーは慎重に選ぶ。先輩から後輩に語り継がれるような事情もあり、今でもハイエースが選ばれやすい。
資産価値の高いハイエース
要は資産価値が高く、事業を営んでいる方が所有するハイエースを売却して運転資金にすることだって可能ということだ。これは仕事で使うクルマでは大切な魅力だ。キャラバンの商品企画担当者も「今はキャラバンのリセールバリューを高めるために、中古車輸出にも力を入れている」と述べていた。
トヨペット店の販売力の高さ
3つ目の理由は、長年にわたりハイエースを扱ってきたトヨペット店の販売力だ。今のトヨタでは、全店が全車を売る体制に変わったが、以前専門に売っていたトヨペット店は法人営業が概して強かった。トヨタ店がクラウンを大切に育てたように、トヨペット店もハイエースをしっかりと売り続けた。その成果が今も続いている。
ハイエースはアフターパーツが充実
以上、ハイエースとの4つの違いを、キャラバンはいかに埋められるか。そこに今後の成否が掛かっている。
[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:和田 清志]
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