新型アウトランダーPHEVの実燃費を測ってみた! 市街地・郊外・高速の合計158.2kmを走行しトータルの実燃費は25.51km/Lを記録
MōTA / 2022年3月27日 11時30分
今回の燃費テストを行ったのは、2021年12月に9年ぶりのフルモデルチェンジを果たした三菱 新型アウトランダーPHEVの最上級グレードである「P」グレード。進化したPHEV性能を搭載した新型アウトランダーPHEVの実燃費やいかに!?
話題の新型アウトランダーPHEVの実燃費やいかに!?
三菱 新型アウトランダーPHEVは先代よりもボディが大型化され、モーターの出力や駆動用バッテリーの大型化などによって名実ともに同社のフラッグシップモデルとなった。プラグインハイブリッドモデルではあるが、モーター駆動が基本で高速域でのみエンジンで走行しモーターがアシストするというシステムとなっており、20kWhという大容量の駆動用バッテリーも相まって、EVライクな走行感覚の強い1台となっている。
カタログ上の燃費性能はWLTCモード燃費で16.2km/L(市街地モード17.3km/L、郊外モード15.4km/L、高速道路モード16.4km/L)で、EV走行換算距離は83kmと、2トンを超えるSUVとしては驚異的とも言える性能を有している。ということで、今回テストに持ち出した新型アウトランダーPHEVは、最上級グレードの「P」に電動パノラマサンルーフやルーフレールと言ったメーカーオプションを装着したモデルで、同クラスのPHEVのSUVモデルとしては初となる3列シート(7人乗り)が設定される点も自慢の仕様となっている。
今回の燃費測定は2022年3月8日(火)に行い、天候は時折雨が降る不安定なもので、最高気温も10度に満たない肌寒さの中でのテストとなった。朝10時ごろに青山にあるMOTA編集部を出発し、高速、郊外路、市街地・街乗りの順で走行し、16時ごろに再びMOTA編集部へ戻るルートを選択した。
燃費の数値は区間燃費については車両に備わる燃費計を使用した。エアコンは24度設定のフルオート、全行程をDレンジで走行し、走行モードはノーマルモード、クルーズコントロールは未使用としている。
新型アウトランダーPHEVの実燃費は25.51km/Lを記録したが…
今回のテストではトータルで158.2kmを走行し、全行程を走り切ったトータルの実燃費は25.51km/Lとなった。ただし、新型アウトランダーPHEVは20kWhもの大容量バッテリーを搭載し、EV走行もすることができるモデル。今回も出発時点で8割程度のバッテリー残量があり、スタートから60kmほどはほぼEV走行となっていたため、カタログ値を大きく超える燃費数値となっていたというワケである。ちなみに駆動用バッテリーが空になり、通常のハイブリッド走行となってからは、市街地で14.8km/L、郊外で17.5km/Lという数値となっていたため、概ねカタログ数値の16.4km/Lに近い性能を持ち合わせていると言えそうだ。
それではここからは走行シーンごとの燃費や走りっぷりなどをお伝えしていこう。
アウトランダーPHEV 実燃費レポート|市街地・街乗り編
2トンを超えるボディと1860mmという、大柄なボディを持つ新型アウトランダーPHEV。しかし高出力の2モーターの綿密な制御によって、信号待ちからの発進でも重さを感じさせるケースはほぼなく、軽快さすら感じさせるほどだった。一方の乗り心地はその重量がいい具合に効いているようで、どっしりとした安定感のあるもので、都内の荒れた路面であってもバタつく印象がなかったのはさすがフラッグシップモデルといったところ。
ここでは52.4kmを走行し、メーター上の燃費は14.8km/Lを記録。すでに駆動用バッテリーは空の状態だったが、メーター上の電費計は5.5km/kWhとなっていた。これは恐らく回生などで発電した電気でEV走行したときの電費ということなのだろう。アウトランダーPHEV 実燃費レポート|郊外路編
郊外路は若干のワインディング風なコースで、三菱自慢のS-AWCの本領発揮…と言いたいところだが、常識的なスピードで走る上ではただただスムーズにコーナーをクリアしていくだけ。当然ながら変なクセはないし、非常にスムーズな乗り味だけが印象に残ったというのが正直なところ。ここでも重量級を思わせる動きはほとんどなく、走りは軽快そのもの。重さを感じさせるロール感もほとんどなく、20インチという大径ホイールでもバタバタする感じもしなかったが、ステアリングホイールの握り部分が非常に太く、左右に切り返すシーンなどではしっくりこなかったことをお伝えしておきたい。
郊外路では28.6kmを走行し、燃費計の数値は17.5km/L、電費計の数値は6.1km/kWhとどちらもかなり良好な数値となっていた。アウトランダーPHEV 実燃費レポート|高速道路編
最後は高速道路を通るルートを振り返る。今回も芝公園出入り口から首都高に乗り、東京湾アクアラインを経由して圏央道の茂原長南インターで下りるルートで、総走行距離は77.2kmのルート。このルートが出発して最初に通ったルートとなり、このうち60kmほどがEV走行ということになった。 その結果、燃費計の数値は75.2km/Lという数値をマーク。行程の8割程度をEV走行すれば燃料はほとんど使わないから、当然の数値ということになる。一方の電費は5.0km/kWhとやはり高速走行はEVの苦手とするところと言えそうだ。とはいえカタログ値の満充電での航続距離は83kmとなっているところ、8割ほどの充電で60kmも走行できるのであれば必要十分と言えそうだ。
特に自宅で充電ができ、朝には満充電となるような環境であれば、一般的な通勤や買い物程度であればすべてをEV走行でまかなうこともでき、56Lのタンク容量を持つガソリンを消費しきるのはなかなか難易度が高いかもしれない。
アウトランダーPHEV 実燃費レポート|総合実燃費編
今回の新型アウトランダーPHEVの燃費テストは、街乗り・郊外路・高速道路と合わせて158.2kmを走り、総合実燃費は25.51km/Lであった。EV走行がほとんどだった高速道路を除くと15.65km/Lということで、WLTCモード燃費の16.2km/Lにほど近い数値と言えるだろう。また、メーター上の電費については全行程で5.33km/kWhとなり、満充電であれば100km以上をEV走行することができる性能を秘めているということになる。
高い動力性能と静粛性、そして高級感に加えて低燃費と、ほぼ文句のつけようがない新型アウトランダーPHEVであるが、残念ながらその全ての魅力を享受できるのは自宅で充電することができるユーザーだけとなっているのが正直なところ。
駆動用バッテリーが空になってからもハイブリッド走行でその走り味を堪能することができるのであれば、いっそのことPHEV機構を省いた「アウトランダーハイブリッド」の登場を期待したい。単純な比較はできないが、トヨタ プリウスとプリウスPHVの価格差はおよそ75万円となっており、もしアウトランダーハイブリッドが400万円を切る価格で登場したとなれば、一気に高級クロスオーバーSUVの覇権を握ることができるのではないだろうか。
[筆者:小鮒 康一]
MOTA(モータ)の実燃費は実際に走って計測してます
MOTAの実燃費レポートは、都内から千葉県郊外を周回する高速道路約80km、郊外路約30km、市街地約60kmの合計約170km前後を実際に走行して計測している。法定速度を基本に、周囲の流れを乱さない走行で実施するのは言うまでもない。クルマのエアコンは基本的にオート・25度で設定。アイドリングストップ機能が作動しない等の特別な事情を除いては、燃費に有利なECOモード等は用いずノーマルモードで走行する。これらの条件のもと、車載燃費計の表示と距離計(トリップメーター)を基に燃費数値を算出した。
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