軽商用バンに生まれ変わりながらも車中泊などレジャー用途にも対応するダイハツ 新型アトレーと、よりビジネス仕様に特化した新型ハイゼットカーゴを徹底解説
MōTA / 2022年4月1日 12時0分
2021年12月に17年ぶりにフルモデルチェンジしたダイハツ 新型アトレー/ハイゼットカーゴ。室内空間や荷室の拡大、先進運転支援システムの搭載など大幅刷新した新型モデルをカーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんが解説する!
ユーザーニーズを鑑みて4ナンバーの商用バンとなった新型アトレー
軽商用バンは、日本の物流を支える大切な存在だ。その中でも2021年の最多販売車種は、ダイハツ ハイゼットカーゴだった。1ヶ月平均で約6000台が届け出され、軽乗用車でいえば日産 ルークスと同等の売れ行きだ。軽商用バンの販売2位は、スズキ エブリイバンの5000台だから、ハイゼットカーゴは大差を付けている。 そしてハイゼットカーゴとアトレーが、2021年12月下旬にフルモデルチェンジを行った。先代アトレーは、ハイゼットカーゴをベースにした5ナンバー規格の軽乗用車だったが、新型は4ナンバー車の軽商用バンになった。つまり新型アトレーは、新型ハイゼットカーゴの上級シリーズに位置付けられる。 この新型アトレーの規格変更は開発者によると「後席を使うお客様の多くは、弊社のタントを購入される。先代アトレーのお客様は、90%が後席を格納して荷室として使っており、重い荷物を積みたい方も多い。そうなるとアトレーを5ナンバーの乗用車にするより、4ナンバーの商用バンにした方が、お客様のニーズに合うと判断した」とのことだった。 その結果、新型アトレーは商用バンになったが、クルマ造りの基本方針は先代型と同じだ。外観を見ると前後のバンパーはボディ同色で、試乗した最上級グレードのRS・4WDでは、ドアミラーターンランプなども標準装着されている。荷室スペースが拡大し、仕事用から車中泊などのレジャー用としても最適に
車内に入るとインパネ周辺も乗用車のワゴン感覚で、メッキやシルバーの装飾も多い。全高が1890mmに達するので、フロントウィンドウの上側にはオーバーヘッドシェルフ(薄型の棚)が装着され、小物類の整理に役立つ。 前席はサイズに不足はなく、ヘッドレストは背もたれから分離した一般的な形状だ。座り心地にも不満はないが、リクライニング角度は改善を要する。一番立てた状態でも少し寝ており、上半身の体重を腰でしっかりと支えにくい。 後席は先代型に比べると取り付け位置が前寄りで、足元空間は大幅に狭くなった。4ナンバー車として届け出される商用バンでは、後席のスペースよりも荷室を広く確保する必要があるからだ。具体的にいえば、身長170cmの大人4名が乗車した時、先代型では後席に座る乗員の膝先には握りコブシ3つ半の余裕があった。それが新型アトレーではわずか1つ半に減っている。先代型と同じく床と座面の間隔が不足しており、新型アトレーでは足元空間まで狭まったため、後席に座ると膝が大きく持ち上がって腰は落ち込んでしまう。
荷室はボックス状の空間で広い。後席は床面へ落とし込むように畳めるので、2名乗車時には平らなスペースに変更できる。2名乗車時の荷室長は1820mmとされ、軽自動車でありながら、車内で宿泊するような用途にも使いやすい。このように新型アトレーは、先代型の軽乗用車から軽商用バンに変わりながら、個人ユーザーのレジャー用途にも適する。開発者は「先代型の使われ方を調べると、大きく3つに分けられる。個人のお客様の純粋なレジャー用、レジャーと仕事の兼用、仕事用のみという3パターンだ。この比率はすべて均等だった」という。
よりビジネス仕様に特化した新型ハイゼットカーゴ
一方、新型ハイゼットカーゴは、アトレーと違って大半の用途がビジネスのみだ。特にデラックスは低価格のグレードだから、後席の造りは簡素でヘッドレストも装着されない。つまり後席は緊急用の補助席で、基本的には格納された状態で使う。 その反面、内装の造りはシンプルなので荷室は広い。新型アトレーでは2名乗車時の荷室長が前述の1820mmだが、新型ハイゼットカーゴデラックスなら1915mmに達する。荷室幅は同程度だが、荷室高は新型アトレーが1215mm、新型ハイゼットカーゴは1250mmになる。2名乗車で、荷物を多量に積む機能を重視している。ここまで、新型アトレーと新型ハイゼットカーゴの仕様をお届けしてきた。次回は、そんな両モデルを実際に試乗した内容をお届けする。そちらもお楽しみに!
[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:島村 栄二]
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