懐かしのロータリーモデル3選┃コスモスポーツやファミリアプレスト、サバンナRX-7を振り返る
MōTA / 2022年4月24日 15時0分
マツダは2022年9月に「 RE(ロータリーエンジン) レンジエクステンダー」を搭載した新型MX-30 PHEVの発売を予定している。マツダの代名詞とも言えるロータリーの新しい形として登場した同システムだが、かつてはさまざまなモデルにロータリーエンジンが搭載されていた。ここでは懐かしのロータリー搭載モデルを振り返っていく。
マツダ 初代コスモスポーツ
最初に紹介するのは、1963年の東京モーターショーで、未来的な見た目と「世界で初めてのロータリーエンジン(2ローター)搭載車」というセンセーショナルなデビューを果たした初代コスモスポーツ。キャビンを中央に据えた宇宙船のようなフォルムは、当時すでにコモディティ化の一途にあった他車とは全く異なる特異なデザインであった。コスモスポーツは、同時期に登場したトヨタ200GTにならび、誰もが憧れる存在だった。
当時の新車価格は約148万円。コスモスポーツ発売時の1967年(昭和42年)の平均年収が62万円であったことを考えると約2.4倍。2020年の平均年収は約441万円なので、およそ1,000万円前後の高級スポーツカーということになる。ロータリーエンジンを公道で走らせるために作られたといっても過言ではないコスモスポーツ。その構造は、ピストン運動でエネルギーを生み出すレシプロエンジンとは全く異なり、回転運動によってエネルギーを生み出す画期的なものだった。軽量・コンパクト・ハイパワー・低燃費(当時の基準で)という特徴をもつ唯一無二のエンジンで、高速化の一途をたどる時代に注目された最高速度は185km/h(デビュー当初)を誇る。
コスモスポーツは、その未来的なデザインと軽量コンパクトかつハイパワーな“ロータリーエンジン”を武器に、世界に“マツダ”の名前を轟かせた1台だ。
マツダ ファミリアプレスト ロータリークーペ
マツダはコスモスポーツでロータリーエンジンの実用化に成功したのち、「ロータリゼーション」という言葉を掲げて大衆乗用車にまでロータリーエンジンの普及を目指した。ロータリーエンジン搭載車第2弾として1967年登場の2代目ファミリアを選び、1968年に「ファミリア ロータリークーペ」を発売。10A型ロータリーエンジンはコスモスポーツのそれをデチューンしたものだったが、それでも最高出力は100psを発生。小さく軽い車体には必要充分。強烈すぎるパワーを与えていた。
2代目ファミリアは1970年に車体幅を拡大した「プレストシリーズ」に発展。この際も、ロータリーエンジン搭載車がもちろんラインアップされていた。そのひとつがこのファミリアプレスト ロータリークーペだ。今でこそロータリーエンジンというと、RX-7やRX-8などスポーツカーのイメージが強いが、1990年代までは高級乗用車ルーチェ(コスモ)に、さらに遡ると1970年代にはファミリア、カペラ、サバンナなどの小型~中型クラスのモデルのセダンやワゴンにまでロータリーエンジン搭載車が存在していたという事実は(※ちなみにマイクロバスにもあった)、ロータリーエンジンの歴史を語る上で大切なトピックだ。
マツダ サバンナRX-7
最後に紹介するのは、1978年3月に誕生した初代RX-7。当時、国内ではサバンナRX-7と呼ばれていた。世界で唯一マツダが量産を実行したロータリーエンジンの軽量小型の特徴を活かした初代コスモスポーツの意思を受け継ぐかたちで、サバンナRX-7は、低重心により運動性を高めたスポーツカーとして十分に考え抜かれた設計がなされていた。
当時、第二次オイルショックの影響によりガソリンを自由に使うことがはばかられ、日本の自動車メーカーは厳しい排出ガス規制への対応に追われていた。そんな、もはや国産スポーツカーの存在は不可能と思われた中で登場したサバンナRX-7は、世界の人々に衝撃を与えた。
搭載する12A型2ローターエンジンは、当時の馬力表示であるエンジン単体でのグロス値で130psを発揮。ロータリーの特徴を遺憾なく発揮し、高回転まで軽やかに吹け上がる。レシプロエンジンに比べ圧倒的に軽量小型であるため、フロントにエンジンを載せながら車体の中心近くに配置する「フロント・ミッドシップ」と呼ぶパッケージングにより、前後の重量配分は、2名乗車時で50.7対49.3と理想的なバランスに。スポーツカーにふさわしい、軽快で、的確な操縦性を実現した。また、前身であるサバンナGTは、双子車のグランドファミリアと共通の車体にロータリーエンジンを組み合わせたものだったが、サバンナRX-7は、まさにスポーツカーならではの精悍なスタイルを持っていた。
初期型の空気抵抗係数(Cd値)は0.36と、空気抵抗の少ない優れた数値であり、低いボンネットフードは、軽量小型のロータリーエンジン搭載を象徴する姿を印象付けた。さらに、点灯時のみヘッドランプがボンネット先端へ顔を出すリトラクタブル方式は、2代目のFC、3代目のFDにも受け継がれ、ロータリーエンジンとあわせてRX-7の特徴的なポイントとなっている。
ここまで3台の懐かしのロータリーエンジン搭載モデルを紹介してきた。近年では新型ロータリーHVモデル登場の噂が絶えないマツダだが、果たしてファンを楽しませてくれる展開は待っているのか。今後の展開に注目だ。
[筆者:望月 達也(MOTA編集部)]
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