【2022年7月デビュー】日産 キックスは4WDの追加や第2世代e-POWERで走行性能がパワーアップ! 価格は279万8400円〜
MōTA / 2022年7月23日 11時0分
日産のコンパクトSUV、キックスが2022年7月19日(火)にマイナーチェンジを果たしました。 今回の改良では4WDを追加し、e-POWERも最新の日産 ノートに採用されたものに刷新されています。 実際にテストコースにて試乗を行った、ジャーナリストの今井優杏さんに改良のポイントを解説してもらいました。
キックスは日産初のe-POWER専用モデルとして登場した
ボディサイズ
コロナ禍で密を避けるレジャーが好調になったことで、SUV販売台数が伸びたというのはよく語られることではありますが、その前からグローバルでも好調だったのがコンパクトSUVというセグメントです。よってこの分野は国内外ともに競合がひしめき、大混戦の様相を呈しています。
日産 キックスも全長4290mm×全幅1760mm×全高1605mmとコンパクトなボディサイズで、販売当時は大売れに売れ、それまでニューモデルに飢えていた販売店を大いに喜ばせたと言いますが、その後のライバル勢の追い上げやコロナによる生産の遅れなどが重なり、近年は販売台数を落としていました。
しかしそんな現状を巻き返すべく、キックスが魅力的なマイナーチェンジを受けました。そもそも、キックスが日本に登場したのは2020年6月。日産初となるe-POWER専用モデルとして発売されました。
日産のデザインアイコンである“Vモーション”を大型化した「ダブルVモーショングリル」を採用し、押し出し感の強い都会らしさが印象的です。
また、日産お馴染みのプロパイロットを搭載し、高速道路での高度な運転支援システムなど、アシスタンスも充実していました。しかし、SUVとしては決定的な欠点がありました。それがFFのみの設定だったということです。キックスのマイナーチェンジは走行性能を中心に新しくなっている
スペック、エンジン、駆動、グレード
今回のマイナーチェンジでは、持ち前のスタイリッシュさに加え、走行性能を中心に刷新されました。というか、ほぼ走行性能のみの刷新に集中したと言ってもいいと思います。
エクステリアへの変化はリアのエンブレム“e-POWER”の文字の下に“4WD”と追加されたこと(もちろん4WDモデルのみ)。
そして、内装としては新設計のコンソールが導入されたこと、上品なベージュ内装が追加されたことが挙げられます。さらにステアリングヒーターや前席ヒーター付きシートなど主要メーカーオプションが標準装備になり、シックなブラウン内装が施された「スタイルエディション」という新グレードが追加されたことと、かなりの小改良に留まっています。なので、2WDモデルの通常外装を選択した場合、外装は先代と変化なし、ということになります。
なお、スタイルエディションはリアコンビネーションランプがセンターまで繋がった意匠を採用し、こちらはかなり印象が新しくなっているので、是非チェックしてみてください。 そんな小改良にとどまったかのように見えるキックスの走りはベツモノに生まれ変わりました。まず、e-POWERがノートシリーズと同じ最新世代(第2世代)に置き換わっています(ですので、内装ではノート同様の電子制御シフトノブを採用し、コンソールもノートと同形状になっています)。
これによりモーター出力とトルクが大幅にアップしました。さらに、従来のFFのみに加えて待望の四輪駆動であるe-POWER 4WDが搭載されています。また先進安全装備として、インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)がクラス初で搭載されました。加速の後押しをしっかりと感じられるため、滑らかに走行できる
走行性能、価格
実際に試乗してみると、先代との差は歴然でした。
今回の試乗はe-POWER 4WDのみに留まりましたが、ただでさえ爽快だった電気モーターの瞬発的なトルクがさらに増大され、出だしだけでなく走り出したあとの低~中速域、つまり加速の後押しも体感として手応えを得られるほどになっていますから、FFでも恩恵を十分に享受できることかと思います。
四輪駆動としては、ハンドリングの愉しさを、雪道などの悪路でなくとも堪能することができました。ワインディングを模した、高低差のあるワインディングも走行しましたが、特に登坂の際のトルクの継ぎ目に当たる部分では、薄くアクセルペダルを踏み足しただけで即時に大きなトルクが生まれ、後輪からもしっかり押し出してくれるので、モタつきを感じさせない滑らかな走行が出来たのが印象的でした。
また、カーブの後半ではしっかり後輪でもライントレースをマネジメントしてくれるので、クルンとラクに曲がりきれるのがメリットだと感じました。e-POWERというのは、搭載されたガソリンエンジンを発電機として使用することでバッテリーに電気を貯め、それを動力に走行する、という電気自動車の一種です。
ですから、通常のシーンであれば直接的にエンジンが走行の動力として使われることがないのですが、アクセルペダルを踏み込むと、それだけバッテリーに搭載された電気を消費しますので、エンジンは充電しようと燃焼を始めます。
先代であればこの燃焼のタイミングがもっとこまめで、特に高速道路などをクルーズしている際には、ガソリンエンジンと変わらないほどに終始エンジンサウンドが聞こえるような状態でしたが、新型ではモーターの出力を向上させたことで、エンジンの再始動の頻度を減らすことができ、高負荷時の静粛性にも効果を表しています。
今回のテストコース試乗でも、常にアクセルペダルを踏み続けるようなハイスピードを中心にしたシーンでしたが、静粛性に関しても高い効果を実感しました。一般市街地での乗車であれば、もっと高い静粛性を実感できるかと思います。対して、トルク・出力ともに大きくなったぶん、すこしシャシーにはしわ寄せが来ているかな、というのが率直な感想です。
特に、連続して荒れたような路面に入ると、パワーが上がったぶん進入速度も上がっているので、ややバタつくような印象を受けるシーンもありました。
今回、プラットフォームは先代のまま、つまり先代ノートと同じプラットフォームをそのまま使用していますから、これは仕方のないことかもしれません。しかし、そういう傾向にはあるものの、神経質に気にするほどのネガティブではないでしょう。ここを気にして購入を諦める、というほどの人はいないだろうと思われるくらいのレベルかと感じました。
キックスの価格(税込)は4WDモデルだと306万1300円〜344万8500円です。2WDモデルでは価格変更がされています。キックスの登場当時は約276万円〜287万円だったのに対し、グレードも追加されて279万8400円〜318万5600円と価格帯が少し上がっていますが、これまで紹介してきた改良度合いから考えればお得なモデルと言えるでしょう。
四輪駆動によって、これまで購入対象でなかったエリアの皆さんのショッピングリストに上がってきた新型キックス。きっと降雪時でなくとも、生活四駆としての魅力を感じることでしょう。
【筆者:今井 優杏】外部リンク
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