【2022年】ダイハツ タントVSスズキ スペーシアVSホンダ N-BOX! 人気スーパーハイトワゴンの使い勝手と推奨ユーザーを徹底解説
MōTA / 2022年11月11日 11時0分
軽自動車の中で人気のボディタイプが背の高いスーパーハイトワゴンです。直近ではダイハツが同社のスーパーハイトワゴン「タント」に流行りのSUVテイストを盛り込んだ新モデル「ファンクロス」を追加しました。 今回はそんな注目車種タントとライバルであるスズキ スペーシア、ホンダ N-BOXをさまざまなポイントから比較検討します。
人気のスーパーハイト軽3台を各性能ごとに比較する!
軽自動車の主力車種とされるダイハツ タントが、2022年10月に一部改良を実施しました。その概要は10月15日に掲載したので、今回は試乗した印象をライバル車との比較を交えてお伝えします。
今回の試乗車は、タントカスタムRSと、タントファンクロスターボでした。両方ともにターボエンジンを搭載して、駆動方式は前輪駆動の2WDです。
このうち注目される試乗グレードは、一部改良で追加されたタントファンクロスターボです。
外観を眺めると、ボディをガードするような雰囲気の樹脂パーツが前後左右に装着され、SUVの雰囲気を濃厚に感じさせます。
タントファンクロスのライバル車として、筆頭に挙がるのはスズキ スペーシアギアです。タントと同様、全高が1700mmを上まわる背の高い軽自動車で、ボディをガードするような雰囲気のパーツも備わり、ヘッドランプは丸型です。タントファンクロス以上に、SUVらしさを感じさせます。 ホンダ N-BOXも同じタイプのライバル車です。ボディは標準タイプとエアロパーツを装着するカスタムだけで、タントファンクロスやスペーシアギアに相当するSUV風のグレードはありません。それでも小型/普通車まで含めた国内の最多販売車種なので取り上げましょう。内装の操作性/視認性/質感比較
まず内装から見ていきましょう。スペーシアギアは、助手席の前側にフタが上側へ開くアッパーボックス、中段には引き出し式の収納設備とカップホルダー、下段にはグローブボックスを装着しました。便利でオシャレな印象です。
N-BOXはメーターを高い位置に配置しました。長身のユーザーは見やすいですが、小柄なドライバーは前方が見にくく、インパネ全体が上下方向に厚いため、圧迫感も伴います。その代わり各部の造りはていねいです。タントファンクロスの内装は個性は乏しいですが機能的で、軽自動車の平均水準です。 *評価の順位・No.1:スペーシア
・No.2:N-BOX
・No.3:タントファンクロス
前後席の居住性比較
前席の座り心地は、N-BOXにボリューム感が伴って快適です。タントとスペーシアにも不満はありません。
後席はタントが比較的快適です。次はスペーシアです。N-BOXの後席は、前席と対称的に柔軟性が不足しており、居住性が下がります。身長170cmの大人4名が乗車した時の膝先空間は、N-BOXが握りコブシ4つ分で、タントとスペーシアは3つ半です。いずれの車種も足元空間は十分に広いです。
*評価の順位・No.1:タント
・No.2:スペーシア
・No.3:N-BOX
乗降性比較
乗降性ではタントの左側のドアが注目されます。中央のピラー(柱)をスライドドアに内蔵して、前後のドアを両方ともに開くと、開口幅が1490mmまで広がります。雨天時にベビーカーを抱えて乗り込む時などにも便利です。
N-BOXにこのような機能はなく、一般的なスライドドアですが、開口幅は640mmとワイドです。スペーシアは600mmです。 *評価の順位・No.1:タント
・No.2:N-BOX
・No.3:スペーシア
荷室とシートアレンジ比較
N-BOXとスペーシアは、後席の背もたれを前側に倒すと座面も連動して下がり、床の低い大容量の荷室になります。その代わり荷室の床に少し傾斜ができます。
タントも以前は同様のシートアレンジを採用していましたが、今は変更されました。後席の背もたれを単純に前側へ倒すだけです。そのために広げた荷室の床に段差ができて、床と天井の間隔も50mmほど減っています。その代わり車内後端のデッキボードを持ち上げてセットすると、段差が埋められ、平らな荷室になります。持ち上げたデッキボードの下側は収納設備になります。それでも使い勝手が変わったので、購入時には注意しましょう。
路面から荷室開口部下端までの高さは、N-BOXが最も低く470mmで、重い荷物も積みやすいです。スペーシアは510mm、タントは580mmです。*評価の順位
・No.1:N-BOX
・No.2:スペーシア
・No.3:タント
動力性能&エンジンノイズ比較
タントの試乗車がターボなので、ほかの車種も条件を合わせて比べます。タントは実用回転域で、余裕のある駆動力を発揮します。最大トルクは10.2kg-m(3600回転)ですから、ノーマルエンジンの1.7倍です。
N-BOXのターボは、最大トルクが10.6kg-m(2600回転)に達します。軽自動車のギヤ比では、発進直後には2600回転に達しており、実質的に走行中は常にターボが作動しています。N-BOXは遮音が入念に行われてエンジンノイズも小さく、動力性能に関する満足度は高いです。 スペーシアの最大トルクは10kg-m(3000回転)で、低回転域では駆動力が下がりますが、ノーマルエンジンで感じるパワー不足は抑えられています。*評価の順位
・No.1:N-BOX
・No.2:タント
・No.3:スペーシア
走行安定性&操舵感比較
タントは、全高が1700mmを超える軽自動車の中では走行安定性が優れています。スペーシアはボディが軽く、操舵に対する反応も軽快でセダンタイプの軽自動車であるスズキ ワゴンRに近いです。N-BOXはカーブを曲がる時にボディが大きめに傾きますが、挙動の変化が穏やかで不安を感じさせません。
*評価の順位・No.1:タント
・No.2:スペーシア
・No.3:N-BOX
乗り心地比較
足まわりが柔軟に動くN-BOXが最も快適です。タントも発売直後に比べると、足まわりの動きが滑らかになりました。スペーシアは少し粗さを感じさせます。
*評価の順位・No.1:N-BOX
・No.2:タント
・No.3:スペーシア
燃費性能比較
タントファンクロス ターボ 2WDのWLTCモード燃費は20.6km/Lです。動力性能は前述のようにノーマルエンジンの1.7倍ですが、燃費数値は6%しか悪化しません。効率が最も優れています。
しかもターボとノーマルエンジンの価格差は8万8000円で、前者には本革巻きのステアリングホイールなども装着されて、アルミホイールのサイズは15インチに拡大されます。従ってターボの正味価格は7万円と割安です。
N-BOXカスタム Lターボ 2WDのWLTCモード燃費は20.2km/Lです。スペーシアギア ハイブリッドXZターボ 2WDのWLTCモード燃費は、19.8km/Lで3位になります。マイルドハイブリッドを搭載していますが、ライバル2車の数値を下まわりました。*評価の順位
・No.1:タント
・No.2:N-BOX
・No.3:スペーシア
価格の割安度比較
タントファンクロス ターボ 2WDの価格は180万9500円です。N-BOXカスタム Lターボは198万8800円なので約18万円高いですが、タントファンクロス ターボが5万5000円でオプションにしている全車速追従機能付きクルーズコントロールなどを標準装着しました。そこも考慮すると価格差は縮まります。
スペーシアギア XZターボ 2WDの価格は180万2900円で、アダプティブクルーズコントロール、エアコンの冷気を車内の後方へ送るスリムサーキュレーターなどを標準装着しました。価格の割に装備を充実させています。
*評価の順位・No.1:スペーシア
・No.2:タント
・No.3:N-BOX
総合評価と推奨ユーザー
タントは3車の中では後席の居住性が快適で、乗降性は抜群に優れています。子育て世代のユーザー、あるいは高齢者のいる世帯に最適です。タントファンクロスは、クルマをアウトドアで使いたいユーザーに適しています。ただし荷室の使い勝手が変更されたので注意したいです。
N-BOXは後席の座り心地はいま一歩ですが、乗り心地が快適でノイズも小さいです。上質感はライバル車を大幅に上まわり、軽自動車の枠を超えています。「これで十分」と実感させるため、価格は少し高くても、国内販売の1位になりました。幅広いユーザーに適していますが、後席の座り心地は確認しましょう。 スペーシアはカジュアルな雰囲気が特徴で、快適装備を充実させて価格は割安です。スペーシアは内外装のデザインに楽しい雰囲気があり、スペーシアギアは、特にその傾向が強いです。乗り心地、エンジンノイズといった走りの質に注意して選びましょう。 【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:茂呂 幸正/和田 清志/MOTA編集部】外部リンク
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