日産 新型セレナのサイズや燃費、価格、内装、おすすめグレードなどを紹介
MōTA / 2024年6月11日 12時30分
2022年11月末に、およそ6年ぶりとなるフルモデルチェンジとなった日産 セレナ。 新型セレナは、初代から受け継がれる室内空間の広さや利便性はそのままに、移動時の快適性を追求し、最先端技術の搭載や機能の拡充が行われています。 当記事では、そんな新型セレナのパワートレインやボディサイズ、燃費、内装、価格などについてカーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎さんが詳しく解説します。
日産 新型セレナとは?
日産 セレナは、1991年に初代モデルが発売されて以来、国内での累計販売台数が200万台を超える日産を代表するミニバンです。2022年11月末に発売されたされた新型セレナは、6代目にあたります。広い室内空間と使い勝手の良さ、先進の安全運転支援機能が特徴です。
主な特長
広々とした室内空間3列シート
5ナンバーサイズ(全長4700mm×全幅1700mm×全高2000mm、排気量2000cc以下)のミニバンでありながら、3列目シートでも大人3人が座れる広さです(グレードによっては3ナンバー)。
また、2列目シートはロングスライドシートの機構により、多彩なシートアレンジが可能です。
使い勝手の良さ
バックドア(リアゲート)の上部だけが開閉できる「デュアルバックドア」や、足の動きを感知してスライドドアを自動的に開閉させられる「ハンズフリースライドドア」など、使い勝手の良い機能が充実しています。
先進の安全運転支援機能
高速道路での手放し運転が可能な「プロパイロット2.0」や駐車支援機能など、先進の安全運転支援機能が搭載されています。
e-POWER
日産独自のハイブリッドシステム「e-POWER」により、力強い加速と燃費性能を実現しています。
当記事では、まずは新型セレナの特徴であるパワートレインやボディサイズから紹介をしていきます。
新型セレナのパワートレイン
新型セレナのパワートレインには、ガソリンエンジンに加え、ハイブリッドエンジンに分類される「e-POWER」の2種類が用意されています。
e-POWERとは、エンジンで発電を行い、発電された電気を使ってモーターを駆動させるパワートレインです。この仕組みによって、電気自動車に匹敵する瞬発力・加速力・静粛性を実現しています。
また、e-POWER仕様ではアクセルペダルの操作のみで加減速を行える「e-Pedal Step」により、ブレーキペダルへ踏み替える頻度を大幅に減らすことができます。
新型セレナになり、e-POWERの発電用エンジンが、従来の直列3気筒1.2Lから1.4Lに拡大され、バッテリーへの発電能力が向上しました。さらに静粛性も高まっています。また、駆動を行うモーターも性能が変更され、先代セレナでは最高出力が136馬力、最大トルクは320Nmでしたが、新型セレナは最高出力163馬力、最大トルクが315Nmとなりました。最大トルクは少し下がりましたが、最高出力は27馬力アップしています。
ちなみに、先代セレナのガソリンエンジンには、マイクロハイブリッドがありました。これは減速時のエネルギーを回生してバッテリーに蓄積し、電力をサポートする仕組みです。新型セレナになってこのタイプは廃止されました。
新型セレナのボディサイズ
全長 | 全幅 | 全高 |
---|---|---|
4690~4765mm |
1695~1715mm |
1870~1895mm |
新型セレナのボディサイズは、標準ボディの場合、全長4690mm、全幅1695mm、全高1870mmで、前述の通り5ナンバーサイズに収まります。
上級グレードのハイウェイスターは、全長4765mm、全幅1715mm、全高1870mm(最上級のLUXIONは1885mm)で、3ナンバー車です。
先代セレナに比べると、新型セレナ ハイウェイスターVの全幅が1740mmから1715mmに抑えられるなど若干の違いはありますが、ほぼ同じ大きさです。
ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は10mm伸びて2870mmになりましたが、プラットフォームは先代セレナと共通で、意図的に伸ばしたわけではないでしょう。
注意点は床の高さです。新型セレナの床の高さはトヨタ ノア・ヴォクシーやホンダ ステップワゴンの床の高さを70~80mm上まわります。
床が高いことで、サイドステップ(小さな階段)を使って乗り降りの必要があるため、前述のライバル2車に比べて乗降性は悪いです。
新型セレナのグレード
パワートレイン | グレード・駆動方式 |
---|---|
ガソリン車 |
X (2WD/4WD) |
XV(2WD/4WD) |
|
ハイウェイスターV Vセレクション(2WD/4WD) |
|
ハイウェイスターV(2WD/4WD) |
|
AUTECH(2WD/4WD) |
|
ハイブリッド車 |
e-POWER X(2WD) |
e-POWER XV (2WD) |
|
e-POWERハイウェイスターV(2WD) |
|
e-POWER AUTECH(2WD) |
|
e-POWER LUXION(2WD) |
新型セレナは様々なグレードを揃えています。
3列目のシートはトヨタ ノア&ヴォクシーやホンダ ステップワゴンよりも広く、5ナンバー車も用意されているため、車内の広さとボディのコンパクトさを求めるファミリーユーザーに最適です。
新型セレナの外観
外観はフロントマスクに特徴があります。LEDヘッドランプのロー/ハイビーム/車幅灯が縦方向に並び、日産車の特徴であるV字型グリルをランプで表現しています。
フロント、リアのすべてのランプはLED化され、先進性と美しさが追求されています。新型セレナの内装
新型セレナの内装は、先代セレナに比べてインパネのデザインが大きく変わりました。液晶のメーターとカーナビ画面が横に並び、インパネ中央の下側には、エアコンを操作する液晶タッチパネルが装着されます。
さらにその下側には、押しボタン式のシフトスイッチが配置されました。先代セレナはレバー式だったので使い勝手が異なります。先代セレナから乗り替える際は注意しましょう。 メーターの視認性は良いですが、e-POWERのスイッチは扱いにくいです。e-Pedalのスイッチがシフトスイッチの左側に装着され、エコやスポーツモードを切り替えるドライブモードスイッチは、インパネ右側の低い位置に配置されているためです。
運転感覚や走行性能を切り替えるスイッチは、まとめて装着した方が扱いやすいため、ここは若干の注意が必要でしょう。
新型セレナのシート
1列目シート
新型セレナの1列目のシートは、十分なサイズが確保されており、体重が加わる背もたれと座面は硬めで、しっかりとしたホールド感が得られます。長距離移動でも疲れにくい快適な座り心地です。2列目シート
新型セレナの2列目のシートアレンジは、先代セレナに比べて多彩になりました。2列目中央シートは、ロングスライドシート機構が備わっており、1列目シート間までスライドさせられるので、収納スペースを広く確保することができます。
この時、2列目中央にはゆとりある空間が生まれ、車内の移動もしやすくなります。2列目に中央シートを設置した場合、8人乗りとなります。ただし、最上級グレードのLUXIONは、キャプテンシートのため7人乗りとなっています。
2列目シートの座り心地
2列目の座り心地は、先代セレナに比べて向上しました。腰部をしっかりと支え、快適な座り心地を実現しています。
ただし、床と座面の間隔がやや広く、小柄な方は大腿部が圧迫されやすいと感じることがあります。試乗の際は座り心地を確認することをおすすめします。
先代セレナのe-POWERでは、1列目の下に配置された駆動用電池の張り出しが大きく、2列目に座る乗員の足が1列目の下に収まりにくかったのですが、新型ではこの点が改善され、足が収まりやすいため、着座姿勢も最適化されました。
3列目シート
新型セレナの3列目の足元空間は、ミニバンの中でも広く、快適に過ごせる空間となっています。身長170cmの大人6名が乗車した場合、2列目シートに握りコブシ2つ分の余裕を持たせて座った場合でも、3列目シートには握りコブシ2つ半の余裕が生まれます。
これは、新型ステップワゴンの握りコブシ2つ分、新型ノア&ヴォクシーの1つ半と比べて広い空間です。
新型セレナの3列目の座り心地は、2列目には劣りますが、先代セレナに比べて腰のサポート性が向上しています。シート自体の剛性も高まり、走行中の揺れによる不安定感が軽減されました。
新型セレナの荷室
広々とした荷室
新型セレナは広々とした荷室を実現しています。3列目シートを使用している状態でも、ベビーカーやゴルフバッグといった大きな荷物を楽々と積み込むことができます。さらに、2列目シートを倒せば、より一層広い荷室空間が確保でき、26インチの自転車がそのまま積み込めるなど、多種多様な荷物の積載に対応します。
デュアルバックドア
新型セレナには「デュアルバックドア」が装備されています。このバックドアは、大きく開くバックドアに加え、上部だけをコンパクトに開閉させられるハーフバックドアが備わっています。
これにより後方にスペースがないような場所でも、バックドアを開けることができるため、買い物などに便利です。
新型セレナの運転のしやすさ
発進時から優れた視界が実感できます。先代セレナも視界は良好でしたが、新型セレナではさらに進化。サイドウインドウ下端の前側が下げられ、斜め前方の視界が大幅に向上しました。 開発者によると、このおかげで左側の視界が改善され、ドアミラーに装着されていた補助ミラーも不要になったとのことです。最小回転半径は先代セレナと同じ5.7mで、取り回しも良好。小回りの利きはミニバンの平均水準と言えます。
新型セレナの動力性能
新型セレナの直列4気筒2.0Lガソリンエンジンは、実用域で十分な力強さを発揮します。ガソリンエンジンの特徴は、力強さを感じさせるトルク特性と静粛性の高さです。エンジン負荷が大きくなる場面ではやや非力に感じることもありますが、耳障りなノイズは抑えられています。
登坂路ではやや非力に感じる場面もありますが、2.0Lエンジンとしては妥当な性能でしょう。動力性能をさらに向上させるには、排気量アップやターボ装着などが考えられます。
一方、e-POWERは、発電用エンジンの変更と制御の最適化により、実用域での力強さが向上しました。
モーター駆動ならではの機敏な加速感はそのままに、さらに滑らかで力強い走りを実現しています。動力性能はガソリンエンジンで例えるなら3.0Lクラスに匹敵し、静粛性も高められています。ただし、エンジン音が静かゆえにタイヤノイズがやや目立つという声もあります。
新型セレナの走行安定性
新型セレナは、ライバル車と比べると走行安定性がやや劣ります。スポーティな走りに特化しているわけではありませんが、カーブを曲がる際には、ボディの傾きが大きめです。これは前述の通り、床の高さがライバル車より70~80mm高く、重心が高くなっているためです。唐突な挙動変化は起こりませんが、背の高い車であることを意識させられます。
一方で、高重心ながら後輪の接地性を高めることで、挙動の乱れを抑えています。そのため、操舵に対する反応はやや鈍く感じられます。峠道などを走行する際、車両の内側への旋回が鈍く、車線変更時も曲がりにくい印象を受けるかもしれません。
それでも新型セレナでは、ステアリングの支持剛性が向上し、ステアリング操作時の曖昧な動きが抑えられています。これにより、運転しやすくなり、上質な印象も受けます。
新型セレナの乗り心地
新型セレナの乗り心地は硬めですが、先代セレナに比べて角が取れて突き上げ感は抑えられています。
これは、タイヤサイズが従来の195/60R16から205/65R16に変更されたためです。タイヤ幅が195mmから205mmに、扁平率が60%から65%に大きくなったことで、接地面積が広がりました。指定空気圧は、燃費も考慮して前後輪ともに先代セレナと同じ280kPaと高めに設定されていますが、それでも乗り心地は悪くありません。
新型セレナの価格
新型セレナの価格は276万8700円~479万8200円です(2024年6月時点)。ガソリン仕様の最安グレードの価格は276万8700円~、e-POWER仕様の最安グレードの価格は319万8800円~です。
ガソリン
グレード・駆動方式 | 価格(税込) |
---|---|
X 2WD |
276万8700円 |
X 4WD |
303万4900円 |
XV 2WD |
308万8800円 |
XV 4WD |
335万5000円 |
ハイウェイスターV Vセレクション 2WD |
325万3800円 |
ハイウェイスターV Vセレクション 4WD |
352万円 |
ハイウェイスターV 2WD |
326万9200円 |
ハイウェイスターV 4WD |
353万5400円 |
AUTECH 2WD |
373万3400円 |
AUTECH 4WD |
393万3600円 |
e-POWER
グレード・駆動方式 | 価格(税込) |
---|---|
e-POWER X |
319万8800円 |
e-POWER XV |
349万9100円 |
e-POWERハイウェイスターV |
368万6100円 |
e-POWER AUTECH |
415万300円 |
e-POWER LUXION |
479万8200円 |
新型セレナの燃費
新型セレナのWLTCモード燃費は、ガソリンエンジンのハイウェイスターV(2WD)が13.0km/L、e-POWERハイウェイスターVが19.3km/Lです。
ガソリンエンジンは先代セレナに比べて0.2km/L悪化していますが、e-POWERは1.3km/L向上しました。
2WD
グレード(パワートレイン・駆動方式) | WLTCモード(km/L) |
---|---|
X |
13.4 |
XV |
13.0 |
ハイウェイスターV Vセレクション |
13.0 |
ハイウェイスターV |
13.0 |
e-POWER X |
20.6 |
e-POWER XV |
19.3 |
e-POWERハイウェイスターV |
19.3 |
e-POWER LUXION |
18.4 |
4WD
グレード(パワートレイン・駆動方式) | WLTCモード(km/L) |
---|---|
X |
11.6 |
XV |
11.6 |
ハイウェイスターV Vセレクション |
11.6 |
ハイウェイスターV |
11.6 |
先代セレナの場合、アクセルペダルを戻した時に積極的な充電を行うe-Pedalを使わないと、減速エネルギーを使った回生充電の効率が悪化しました。
新型セレナではそこを改めて、e-Pedalを使わずにドライバーがフットブレーキを作動させた時でも、ディスクブレーキの使用を控えてモーターによる回生充電が行われます。運転の仕方にかかわらず、燃費性能を向上できるようになりました。
新型セレナのおすすめグレード
新型セレナでおすすめするパワーユニットはe-POWERです。ガソリンエンジンに比べて価格は約41万円高くなりますが、税額の違いによって差額は30万円以下に縮まります。さらに、e-POWERは燃費、動力性能、静粛性などでも優れており、ガソリンエンジンよりも推奨度が高いです。
そこでベストグレードはe-POWERハイウェイスターV(368万6100円)です。
最上級のe-POWER LUXION(479万8200円)は、さらに約111万円高くなりますが、高速道路でステアリングホイールから手を離しても運転支援が続くプロパイロット2.0、SOSコール、日産コネクトナビ、合成皮革の専用シート生地などが標準装着されています。長距離を移動する機会が多く、予算に余裕がある場合は、e-POWER LUXIONも検討しましょう。
逆に予算を抑えたい場合は、価格が最も安いガソリンエンジンを搭載する標準ボディのX(276万8700円)もおすすめです。
スライドドアの電動機能はオプションですが、ひと通りの安全装備などが標準装着されており、価格を280万円以下に抑られています。
新型セレナのカラーバリエーション
新型セレナのカラーバリエーションは、モノトーンが10種類、ツートンが4種類です。
モノトーン |
ターコイズブルー |
---|---|
利休-リキュウ- |
|
プリズムホワイト |
|
インペリアルアンバー |
|
ダイヤモンドブラック |
|
カーディナルレッド |
|
ダークメタルグレー |
|
ブリリアントシルバー |
|
アズライトブルー |
|
ホワイト |
|
ツートン |
ターコイズブルー/スーパーブラック |
利休-リキュウ-/スーパーブラック |
|
カーディナルレッド/スーパーブラック |
|
プリズムホワイト/スーパーブラック |
新型セレナの納期
新型セレナの納期の目安は1~3ヵ月です。メーカーが公式でアナウンスしている工場出荷時期目処は1~2ヵ月のため、早ければ1ヵ月程度で納車されることもあるようです。
一時期はe-POWERモデルのほうが納期が長いこともありましたが、2024年6月現在ではパワートレインによる納期の差はあまりありません。
他社のミニバンに比べると短納期のため、できるだけ早くミニバンが欲しいというユーザーにもおすすめです。
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