トヨタ 新型クラウンの本命はアウトドア派のSUVだった! クラウン・アウドドア・コンセプトが市販化に匹敵するワケ【東京オートサロン2023】
MōTA / 2023年1月23日 16時0分
2023年1月13日(金)〜15日(日)まで千葉県・幕張メッセで開催されていた東京オートサロン2023。ホール11では、同時開催として「東京アウトドアショー2023」も行われていました。 クルマの展示のほか、アウトドアグッズ・アイテムなども展示されていた同ホールでは、トヨタの人気SUV「クラウンクロスオーバー」のカスタマイズモデルが展示されていました。クラウンクロスオーバーのカスタマイズモデルを詳しく見ていきましょう。
トヨタ 新型クラウンクロスオーバーの概要
トヨタ クラウンは長年にわたり、日本向けの上級セダンとして発展してきました。しかし、2022年に発売された新型クラウンクロスオーバーは、その名前の通りSUV風のデザインです。2021年のクラウンの売れ行きは、最盛期だった1990年の10分の1程度まで落ち込み、生き残りを賭けて大幅な路線変更を行ったのです。
新型クラウンクロスオーバーの基本スタイルは、ボディの後部に独立したトランクスペースを備えるセダンですが、タイヤは大径です。19インチと21インチをグレードに応じて標準装着しています。フロントマスクは精悍な印象で、全高は1540mmと高く、外観の存在感も強いです。 そして東京オートサロン2023と併せて開催された東京アウトドアショー2023には、クラウンクロスオーバーをベースに開発された「クラウン・アウトドア・コンセプト」が出品されていました。クラウン・アウトドア・コンセプトの外観(エクステリア)
クラウンクロスオーバーの本質を表現したコンセプトモデル
クラウン・アウトドア・コンセプトの外観を見るとワイドなフェンダーが装着され、全幅は60mm広がって1900mmです。タイヤサイズは18インチ(265/60R18)で、銘柄は走破力の優れた悪路向けのBFグッドリッチ・オールテレインT/Aでした。
タイヤの変更と相まって、最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)も50mm高い195mmとしており、悪路のデコボコを乗り越えやすいです。全高も1590mmに持ち上がりました。 このほかフロントまわりにはLEDライトと牽引用フック、ルーフにもアルミ製キャリアとLEDライトを装着しています。アウドドア・コンセプトという名称通り、冒険に出かけるような雰囲気です。 クラウン・アウトドア・コンセプトの外観を見て気付いたことは、オーバーフェンダーなどを装着しながら、外観の視覚的なバランスが整っていることです。パーツの後付けによる違和感がありません。最低地上高も50mm高めながら、通常のグレードのように見えます。ショーモデルなのに、完成度は市販車並みです。その理由は、開発の初期段階におけるクラウンクロスオーバーの外観イメージが、クラウン・アウトドア・コンセプトに近かったからです。これが開発の過程でスポーティ感覚を強め、全幅も1840mmに抑えられ、市販車の外観に仕上がりました。
いい換えれば、クラウン・アウトドア・コンセプトは、クラウンクロスオーバーの本質を表現したモデルといえるでしょう。
新型クラウン七変化! 新型クラウンエステートにも期待が高まる
そして開発段階では、クラウン・アウトドア・コンセプトのスポーティなワゴン版(シューティングブレーク)も検討されたようです。
クラウン・アウトドア・コンセプト、あるいは市販されているクラウンクロスオーバーのルーフを後方まで長く伸ばし、その後部をリヤゲートを備えた荷室に変更すると、メルセデス・ベンツ CLAシューティングブレークのようなルーフの低いワゴンになります。
このシューティングブレークのアイデアは採用されず、今後登場する新型クラウンエステートは、既に披露されたようにSUVの典型です。荷室に装着する3列目シートも採用され、広い居住空間と荷室によって実用性も高く、エステートはクラウンシリーズの売れ筋モデルになります。 新型クラウンの使命は、売れ行きを着実に高めて、未来に向けて存続させることです。そのためにクラウンを人気カテゴリーのSUVにして、ボディタイプも豊富に用意します。販売面で中心に位置付けられるのが新型クラウンエステートですから、売れ行きを伸ばしやすい実用性と、上質感を兼ね備えたSUVになります。今後クラウン・アウトドア・コンセプトやシューティングブレークのようなモデルが登場する可能性も!
しかしその一方で、クラウン・アウトドア・コンセプトやシューティングブレークが登場する可能性もあるでしょう。理由は2つあります。
まずは前述の通り、クラウン・アウトドア・コンセプトが市販可能な状態に仕上がっていたことです。
市販されている新型クラウンクロスオーバーが採用していないトランクスルーも備わり、後席の背もたれを前側に倒すと、トランクスペースの床面積を拡大できます。後席のノイズは拡大しますが、積載性が高まり、実用性の向上はクラウン・アウトドア・コンセプトの外観とも親和性が高いです。
2つ目の理由は、今後の新型クラウンクロスオーバーの売れ行きです。SUVとしては荷室の実用性が低く、セダンに求められるフォーマルな雰囲気も希薄です。特にSUVのユーザーから見ると、商品力に中途半端な面があり、そこを補う意味でもクラウン・アウトドア・コンセプトやシューティングブレークを加える可能性があります。クラウン・アウトドア・コンセプトの外観を見ると、新型クラウンがSUVに発展した意味が良く分かります。開発チームが本当に造りたかったクラウンも、クラウン・アウトドア・コンセプトのようなSUVなのでしょう。
その意味でクラウン・アウトドア・コンセプトは、いわゆるショーモデルとは性格が違います。今後の市販化に期待したいですね。
【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:堤 晋一/MOTA編集部】外部リンク
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