東邦テナックス:高弾性・高耐衝撃性プリプレグの開発について
MotorFan / 2018年3月3日 22時20分
帝人グループで炭素繊維・複合材料事業を展開する東邦テナックスは、このたび、同社が展開する高強度・高弾性率の炭素繊維と、カーボンナノチューブ(CNT)との複合により、高い弾性率と耐衝撃性を両立するプリプレグ(炭素繊維シートに樹脂を染み込ませたもの)を開発した。
1.開発の背景
(1)プリプレグは、炭素繊維複合材料(CFRP)の中間材料として使用されるもので、航空機や自動車、インフラ、レジャーなど、多岐にわたる用途において採用が拡大している。
(2)CFRPに求められる特性は用途により大きく異なるため、炭素繊維と樹脂の組み合わせ、成形方法などの技術開発が進められているが、その中で、成形品が衝撃を受けた際などに炭素繊維シートから樹脂が剥離し、弾性率などの物性が低下することが問題となっている。
(3)炭素繊維と樹脂の剥離を防止する方法のひとつとして、炭素繊維とCNTの複合化の研究が進められているが、CNTは分子同士の結束が強く、樹脂内で均一に分散しにくいため、プリプレグの品質が安定しないという課題があった。
2.新規プリプレグについて
(1)このたび東邦テナックスが開発した高弾性・高耐衝撃性プリプレグは、特殊な表面処理により分子を分散させたCNTを樹脂に添加し、その樹脂を、同社が展開する炭素繊維に含浸させたもの。
(2)炭素繊維とCNTの複合により、このプリプレグを用いて成形したCFRPの弾性率や耐衝撃性は向上し、CNTが均一に分散することで炭素繊維と樹脂の剥離が抑制されるため、CFRPの耐久性向上も実現した。
(3)この高弾性・高耐衝撃性プリプレグは、ミズノが新たに展開するゴルフクラブのシャフトへの採用が決定している。
(4)ゴルフクラブのシャフトにこのプリプレグを使用することにより、同じ肉厚の従来品に比べて約30%の軽量化、および弾性率の高さから、ボールが当たる際に適度にしなる設計を実現できる。また、衝撃強度も10%以上向上し、スイング時のブレを低減することにも成功している。
3.今後の展開
(1)帝人グループは、このたび開発した高弾性・高耐衝撃性プリプレグの用途開発を加速し、軽量化や高性能化の競争が激化するハイエンドスポーツレジャー分野をはじめ、将来的には航空機分野などでの採用拡大を図っていく。
(2)また、炭素繊維事業における川上から川下に至るまでのソリューション提案力、およびグローバル市場における顧客対応力を強化していく。
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