トヨタの底力。TNGAのための新パワートレーンの凄み トヨタはエンジンもトランスミッションもまだまだ進化させる
MotorFan / 2018年3月13日 18時5分
2月下旬に行われたトヨタの新パワートレーン技術説明会。電動化、自動運転、コネテクテッドカーと言った技術に傾倒する自動車メーカーが多いなか、トヨタはエンジン、トランスミッションと言った従来のパワートレーンの刷新も急ぐ。発表されたのは、新型2.0ℓエンジンとそれに組み合わせるTHSⅡ(ハイブリッドシステム)と革新的な新型CVT、高効率小型軽量の新型マニュアル・トランスミッション、そして新4WDシステムだった。
トヨタの底力を見た気がする。
トヨタは、TNGAに基づくモジュール開発によって19機種37バリエーションを2017年から21年の5年間で一気に導入するという宣言通り、次々とエンジン、トランスミッション、HEVシステムなどを発表している。エンジンが9機種、トランスミッションが4機種、HEVシステムが6機種。優秀なトヨタ系サプライヤーを擁しているとはいえ、自動車の未来像と確固たる開発ロードマップを持っていなければできないだろう。それでもなお、大事業であることは間違いない。
トヨタは2050年に新車によるCO2排出量を10年比で90%削減し、グローバル工場CO2排出ゼロなどを目指す「トヨタ環境チャレンジ2050」に取り組む。そこではEVやFCEVなどの電動車両が重要な役割を果たす。それでもトヨタは、2030年では90%の車両に内燃機関が搭載されていると予想している。つまり12年後でもエンジンを積まない純電動車両は10%に満たないと予想しているのだ。エンジンとトランスミッションの進化は依然として重要なのだ。
Dynamic Force 2.0エンジンを中心にした新しいパワートレーンの技術説明を行なったのは、トヨタのパワートレーンカンパニー、山形光正チーフエンジニアだ。車種毎のチーフエンジニアと違って山形氏はパワートレーン全体を見るチーフエンジニア。2017年1月にスタートした制度だという。エンジン、トランスミッションそれぞれの個別最適ではなく、ドライブラインまで含めたシステム全体としての最適解を求める取り組みだ。
トヨタと言えども、急速に厳しくなる各地域の規制と商品ニーズに迅速に対応するには、戦略的なパワートレーンを指揮する司令塔が必要だ。それが山形氏である。そこから発する命令の共通言語がTNGAということになるのだろう。
新開発の2.0ℓエンジンもトランスミッションもTNGAによる開発の賜だ。
熱効率40%、41%という数字がさらっと出てくることも驚きだが、今回の注目はトランスミッションだ。詳細は次ページ以降をご覧いただきたいが、Dynamic Shift-CVTと名付けられた発進用ギヤを持つCVTは、「この手があったか!」と唸らせる新しさがあった。日本国内では一般的だが、伝達効率とフィールでグローバルではマイナーな存在なCVTに、まだまだ進化の余地があるということを気づかせてくれた。「燃費の目玉」がより大きく、深くなっている新開発エンジンと組み合わせたら、世界で通用するパワートレーンになる可能性も充分にある。1 速側にギヤを組み合わせたのが今回のDynamic Shift-CVTだが、オーバードライブ側に高速用のギヤを使うアイデアも可能だろう。CVT部の変速比幅を3.0程度に抑えてプーリーをさらに小型化して1速とオーバードライブ側をギヤ直結にして、さらにモーターを組み合わせる、という発展性もありそうだ。
マニュアルトランスミッションも新開発するという念の入れようにも驚いた。電動化、自動運転、燃料電池に開発リソースを割いて、まだパワートレーンをこのスピード、この規模で開発できるとは……。
当日、実物の展示はなかったが、新AWDシステムとしてトルクベクタリング機構の登場と、新しい電動リヤアクスルの登場も予告された。とくに、電動アクスルはアルファード/ヴェルファイアのE-Fourが使うモーター(50kW /139Nm)の1.3倍の出力を持つ新しいユニットが採用され、従来の生活四駆的ではない本格電動AWDとなり、通常使用の全車速域でAWD走行ができるというから、これも楽しみだ。
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