3気筒765ccは4気筒600ccに勝てるか!? 【トライアンフMoto2マシン緊急試乗レポ】
MotorFan / 2018年3月14日 15時45分
トライアンフが2019年シーズンから3年間、Moto2チャンピオンシップの公式エンジンサプライヤーとなることは既にご存知の方も多いだろう。これに先立ち、今回特別にトライアンフのエンジン開発用テスト車両に試乗する機会を得たので緊急レポートしたい。 (REPORT:ケニー佐川 PHOTO:トライアンフ)
![一見するとデイトナ675のSS仕様にも見えるが、実は次期Moto2用エンジンを搭載した先行開発テスト車である。](https://motor-fan.jp/images/articles/10003412/big_259145_201803141539380000001.jpg)
![デイトナ675ベースのシャーシはスリムでコンパクト。実際のMoto2では各チームが独自のシャシーを使用する。](https://motor-fan.jp/images/articles/10003412/big_259146_201803141541130000001.jpg)
![快音を響かせるアロー製レーシングマフラーや鍛造ワイドホイール、スリックタイヤがレーサーであることを主張。](https://motor-fan.jp/images/articles/10003412/big_259146_201803141541130000002.jpg)
![ストリートトリプルRS用水冷3気筒DOHC4バルブ765ccエンジンをベースに大幅にチューニング。クイックシフターはアップ側のみ。ABSやトラコンも装備されていない。](https://motor-fan.jp/images/articles/10003412/big_259147_201803141542290000001.jpg)
トライアンフのMoto2マシンに試乗してみないかという誘いに二つ返事でYESと答えた私が向かったのはスペイン・アルメリアサーキット。スーパーバイクのテストなども行われる1周4km強の本格的なサーキットだ。おもむろにガレージのシャッターが開くと、そこには黒光りする1台のマシン。タイヤウォーマーが巻かれた状態でいつでもスタンバイOKと告げられた。ごく限られたメディアに対して数周のみの試乗が許されるというシークレットなオファーに身震いが走る。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10003412/big_259148_201803141546450000001.jpg)
ストリートRS用をベースに133psまで底上げ
今回試乗したマシンは、正確にはMoto2エンジン開発用のテスト車という位置付けだ。そのエンジンとは新型ストリートトリプルRSに搭載される水冷並列3気筒DOHC4バルブ3気筒765ccをベースに大幅な改良が加えられたものだ。エンジン自体の完成度はほぼ100%ということで、まさにこれが2019シーズンから供給されるMoto2エンジンである。
エンジン内部は動弁系からピストン、シリンダー、クランク、ミッションまでほぼ全ての箇所に手が加えられ、吸気効率アップと高回転化により最高出力133ps、最大トルク80Nm(ノーマルは123ps/11,700rpm、77Nm/10,800rpm)まで高められている。シャシーはデイトナ675をほぼ流用したもので、Kテック製前後サスペンションとアロー製レーシングマフラー、鍛造ワイドホイールとスリックタイヤなどが装備されている。実際のMoto2マシンはプロトタイプと規定されているので、本番のレースでは「カレックス」などの有力コンストラクターが製造したシャシーが使われるはずだ。
未だ体験したことがない鋭い吹け上がり
逆チェンジを踏み込んで1速に入れると意を決してコースに飛び出していく。迫力あるハスキーヴォイスとともに溢れ出す分厚いトルク感はトライアンフ3気筒ならでは。特にミッドレンジのトルクの盛り上がりが顕著で、2速でも容易にスロットルを開けられないほどだ。市販車とのもっとも大きな違いを感じたのは吹け上がりの鋭さ。イナーシャを極限まで削り取ったピックアップの鋭さは未だ体験したことのないレベルで、故にスロットルを操作する自分の反射神経が付いていけずギクシャクしてしまう。さすがは世界最高峰レベルの若手ライダーが集うMoto2のエンジンである。簡単に乗りこなせる代物ではない。
ハンドリングは基本的にデイトナ675と似ているが、より軽量かつハイパワーなため、マシンの挙動はアグレッシブだ。コーナーでは自分のイメージより曲がってしまうので早くインに付き過ぎてしまう。明らかに自分の進入速度が不足しているためだ。このマシンに慣れるにはもっと時間が必要だ。ハードセッティングの前後サスにもなかなか馴染めないまま試乗を終えたが、それでもエンジン自体の持つポテンシャルの高さは十分に体感することができた。
現行Moto2マシンとどっちが速い!?
さて、現行のMoto2マシンはCBR600RRベースの直4エンジンが使われている。それとどっちが速いのか、というのが多くのファンの関心事だろう。今回試乗したのは開発テスト車であり、そもそも自分はMoto2マシンにも乗ったことがないので、その問いに対しては明確に応えることはできないが、ただ言えるのは、トライアンフ製Moto2エンジンは相当速いということ。自分もかつてデイトナ675でレースに参戦したことがあるので3気筒の特性を理解しているつもりだが、ミッドレンジに厚いトルク特性は特に低中速コーナーの立ち上がり加速で有利だった。同じカテゴリーの600cc直4勢に対して排気量的なアドバンテージもあったが、今回は765ccということでさらに有利になる。対する直4の強みは高回転域での伸び切るパワーだが、今回のMoto2エンジンは高回転化とともにオーバーレブ特性も向上しているはずなので、その点でも不安はないだろう。ということで、自分的にはMoto2はさらに面白くなると期待している。2019シーズンを楽しみに待ちたい。
![レース用アシスト&スリッパ―クラッチを装備。エンジン幅をスリム化するためカバー類なども専用パーツが使われる。](https://motor-fan.jp/images/articles/10003412/big_259155_201803141543570000001.jpg)
![増大したパワーに対応するためか、Kテック製倒立フォークとロータリータイプのステアリングダンパーを装備。](https://motor-fan.jp/images/articles/10003412/big_259156_201803141543580000001.jpg)
![素早い調整が可能な油圧プリロードアジャスターと高速・低速独立調整式の減衰機構を持つKテック製リヤショックを装備。](https://motor-fan.jp/images/articles/10003412/big_259157_201803141544260000001.jpg)
![スペイン・アルメリアサーキットで出番を待つトライアンフMoto2テスト車。当日もSS600全英チャンピオンらがテスト走行を行っていた。](https://motor-fan.jp/images/articles/10003412/big_259158_201803141544270000001.jpg)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
トライアンフから「Bonneville T120 エルヴィス・プレスリー Limited Edition」発表のお知らせ
PR TIMES / 2024年6月19日 18時45分
-
TRIUMPH x White Mountaineering - 伝統と革新のバイクと、ファッションの融合
PR TIMES / 2024年6月18日 10時45分
-
【ドゥカティ ハイパーモタード698モノ 試乗】Vツインから生まれた最強の単気筒!夢のようなマシンに感謝しかない…小川勤
レスポンス / 2024年6月9日 8時0分
-
【MotoGP第7戦イタリアGP】Moto2佐々木歩夢選手 チャタリングに悩まされ転倒。完走できず悔しさが残る週末に
バイクのニュース / 2024年6月6日 14時10分
-
ドゥカティがハイパフォーマンスシングルを新開発!! 「ハイパーモタード698モノ」で高揚感に浸る
バイクのニュース / 2024年6月6日 11時10分
ランキング
-
1Q. 納豆をより健康的に食べるには、どのような食べ合わせがおすすめですか? 【管理栄養士が解説】
オールアバウト / 2024年7月2日 20時45分
-
210位寝言、6位歯ぎしり、3位常夜灯をつけた…40~60代1012人調査で判明「早死にした人の睡眠特徴ワースト10」
プレジデントオンライン / 2024年7月3日 17時15分
-
3"ホワイト化"する企業で急増中…産業医が聞いた過剰なストレスを抱えてメンタル不調に陥る中間管理職の悲鳴
プレジデントオンライン / 2024年7月3日 9時15分
-
4アレルギー表示漏れ→体調不良者発生…… ビアードパパが限定シュークリームの販売を中止「深くお詫び」
ねとらぼ / 2024年7月3日 14時1分
-
5痩せたい人は注目!実は有能なきゅうりの痩せ効果&食べ方
つやプラ / 2024年7月3日 12時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)