ローランド・ベルガー:自動運転が地方を再びつなぐ
MotorFan / 2018年3月15日 11時20分
欧州系コンサルティング会社であるローランド・ベルガーは、地方での自動運転普及に関する最新スタディ「地方を再びつなぐ ― 地方の移動手段の不足を解決する自動運転」を発表した。本スタディでは、 地方で自動運転車を普及させるための考えを提示した。
・高齢化社会では、自動運転車の普及、特に地方での普及に、新たな勢いをもたらすだろう。地方における人口をみると、ドイツでは65歳以上の住民が22%を超えており、日本では30%を上回る。多くの高齢者は、通院、公共施設の利用、買い物などの足として公共交通機関に頼っている。ところが、そうした高齢者の居住地域では、公共輸送サービスの供給が手薄だったり、まったくなかったりしている。
・決まったルートを走る無人自動運転バスと、融通の利く「ラストマイル(目的地までに残された距離)」サービスを提供する他の自動運転車とを組み合わせたシステムが実現すれば、住民、特に高齢者が地域社会の活動的な一員であり続けるのに役立つことになる。
・自動運転をめぐって現在行われている議論はおおむね高速道路や都市部への影響に焦点が当てられている。しかし、道路が空いていて、交通環境が複雑でない地方の方が、自動運転による移動サービスの実験場にはるかに適する。地方で公共輸送機関に対する需要が増している状況にも合致する。車を運転できない、あるいは運転したくないが、それでも移動の足は必要だという人たちが、地方では増加している。
■地方の輸送事業者が利益を見込めるビジネスモデル
自動運転車による移動サービスの確立は、地方自治体に大きなメリットをもたらすだろう。地方の公共交通が恒常的な赤字となっている現状とは逆に、自動運転による輸送サービスは黒字経営も可能である。
「小規模の市町村で移動サービスが不足している一因は、公共輸送が非常にコストのかかる事業であり、運賃だけでは経費を賄えないことにある。そのため、公共輸送システムが補助金頼みになっているケースが非常に多い。たとえば、ドイツでは運営費のおよそ50%を補助してもらっているが、地方自治体は、補助の削減を常に求めている」と同社パートナーのウルフギャング・ベルンハルト氏は指摘する。
コスト負担の最大の要因は運転手の人件費である。ということは、自動運転車を導入すれば、地方の輸送サービスの運営費は大幅に安上がりになるということだ。
■ラストマイル ― 利益の出る新サービス
地方での自動運転による公共輸送は、事業者が既存路線の自動運転化に加えて、利用者にラストマイル自動運転移動サービスも提供する。利用者自身が無人の自動運転車を予約して、好きな時間と場所に送迎してもらうことができる。たとえば、買い物帰りなどに路線バスの停留所まで来てもらい、自宅までの足にすることもできる。「利便性が増すのだから、利用者は料金が高くてもこのサービスを喜んで利用するだろう。これにより、輸送事業者は純利益を16%増やし、収益性の高いビジネスモデルを構築することが可能になる」と同社パートナーの貝瀬斉氏は指摘する。
さらに、地方は自動運転車を公共輸送に利用するための路上走行試験に適した場所である。「これにより、OEM(自動車メーカー)、公共輸送事業者、自治体にとって、大きな将来性が期待できる交通モデルの実証試験を行う絶好の機会だと私たちは捉えている。地方で得る貴重な経験は、後々、都市環境に合わせて応用することができるだろう」と貝瀬氏は述べている。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
日本でも水資源・水リスクに関する経営コンサルティングサービスを拡充
PR TIMES / 2024年12月4日 16時40分
-
【官民連携】自動運転実用化へ地元住民も参加し実証実験…高齢者利便性想定し新交通網構築目指す(静岡・袋井市)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年12月3日 17時59分
-
長野県・駒ヶ根市で公共ライドシェアサービス実証実験を実施
PR TIMES / 2024年11月29日 12時45分
-
地方の移動手段が変わる? 駅から目的地までの新しい選択肢「公共ライドシェア」とは
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月25日 9時40分
-
実は「安く買えてラッキー!」と喜んでばかりもいられない…「送料無料で当たり前」の危ない落とし穴
オールアバウト / 2024年11月24日 21時50分
ランキング
-
1年金だけで生活が苦しい時、生活保護以外に手だてはありますか?
オールアバウト / 2024年12月19日 21時40分
-
2「い、一発で撃沈…」フランス海軍 標的艦を“派手に破壊する”新型魚雷のテスト映像を公開
乗りものニュース / 2024年12月20日 6時42分
-
3不倫した妻、された妻に聞く「略奪愛のその後」 人を不幸にしてまで手に入れた幸せは今……
オールアバウト / 2024年12月18日 22時5分
-
4「三菱UFJ貸金庫事件」の全容は闇の中…"家宝のダイヤ"を失った男性が「被害届は出さない」と肩を落とす理由
プレジデントオンライン / 2024年12月20日 8時15分
-
5定年直前で〈最高月収80万円〉を記録した60歳・大企業サラリーマン…〈貯金2,000万円〉〈退職金3,200万円〉で勝ち逃げのはずが、わずか2年で「老後破産」のワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月20日 5時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください