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仏・ルノーが世界4強の一角を占めるなどと誰が予測しただろうか? 数の論理は変わらない【牧野茂雄の自動車業界鳥瞰図】

MotorFan / 2018年3月17日 17時25分

仏・ルノーが世界4強の一角を占めるなどと誰が予測しただろうか? 数の論理は変わらない【牧野茂雄の自動車業界鳥瞰図】

昨年の自動車グループ別世界販売台数4強はVW(フォルクスワーゲン)、ルノー・日産・三菱、トヨタ、GM。これに韓国ヒュンダイ・起亜、フォード、ホンダ、スズキ、FCA(フィアット・クライスラー)、PSAを加えた10強は規模のビジネスをひた走る。カーシェアや電動化など「自動車ビジネスの大転換」が叫ばれる昨今だが、やはり規模は正義である。 TEXT◎牧野茂雄(Shigeo MAKINO)

仏・ルノーが世界4強の一角を占めるなどとだれが予測しただろうか。昨年のグループ世界販売台数は1060.8万台、前年比6.5%増である。経営危機に陥った日産に出資したことで巨大グループへの道が開け、さらに青天の霹靂という表現がぴったりの電撃的な三菱自動車併合によりルノーは1000万台規模になった。昨年は三菱を従えた初めての暦年であり、三菱の販売実績をまるごと上乗せできたことで1000万台乗せが実現した。

1999年3月、フォードとの提携交渉が白紙撤回となり3月31日という決算年度内の資本注入期限が迫る日産に対し、ルノーは発行価額5857億円分の株式を第三者割当増資により取得し筆頭株主となった。日産は同年5月28日に払い込みを受け2928億5000万円を資本に組み入れた。ルノー・日産アライアンスがここに誕生した。

続いて2016年5月、今度は日産が三菱自動車に33.99%の出資を行なうことを決め、10月にこれが実行された。発端は三菱自動車が行なっていた軽自動車の燃費データ不正だったが、米国イリノイ州にある生産拠点の閉鎖やセダン系車種の自主開発中止など三菱自動車が一連の事業見直しを決めたあとに絶妙すぎるタイミングで日産は資本参加した。これによりルノー・日産アライアンス+三菱自動車という連携が生まれた。

2016年5月時点で、ルノー・日産の年間販売台数に三菱分が加われば年間1000万台が可能になることなど、足し算さえできれば簡単に想像できた。昨年の世界販売台数は日産581.7万、ルノー376.2万台、三菱103万台。日産の販売台数が盟主ルノーより多いことはルノーの期待通りである。

もともとルノーは日産より事業規模が小さかった。それでも出資した。約6000億円を出資しても、外科手術的な「切り捨て」事業規模縮小でまずは黒字復帰させ、体力が回復した時点で攻勢に出られる。クルマが売れれば莫大な株主配当が毎年ルノーに転がり込み、出資に遣った原資など簡単に回収できる。そいいう読みがルノーにはあった。「一度回収すれば、それ以降は献金マシーンになる」とは、1999年当時に私がコメントを求めた仏メディアの記者の発言である。実際、そのとおりになった。


昨年トップのVWグループは1074.2万台、前年比4.3%増である。2015年9月に米国で発覚したディーゼルエンジン車の排ガス不正問題が沈静化し、ドイツ国内以外での販売が軒並み前年実績を上回った。特筆すべきは中国であり、全欧州での販売実績432.9万台に対し中国はわずか一国で418.4万台である。次の目標は当然、500万台である。

おそらく3位と思われるトヨタグループは、傘下のダイハツと日野自動車を加えた世界販売台数が1038.6万台、前年比2.1%増だった。VWとの差は35.6万台、ルノー・日産・三菱との差は22.2万台。1モデルあるいは1地域での小さな成否で順位が変わるような僅差であり、まとめてグローバル・ビッグ・スリーあるいはGMグループを加えてビッグ・フォーと呼ぶか。近い将来に年間1億台に届くだろう世界の自動車市場で、この4グループはとりわけ大きな影響力を持つことになるだろう。

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