次は酸化ガリウム AGC旭硝子 、次世代パワー半導体材料のノベルクリスタルテクノロジー社に出資
MotorFan / 2018年3月24日 18時15分
AGC旭硝子は、次世代パワー半導体材料開発会社であるノベルクリスタルテクノロジー社への出資を決定した。次世代パワー半導体に使用する酸化ガリウムウェハーの共同開発を両社で進め、2020年の実用化を目指す。
パワー半導体は、サーバー・家電製品・電車・生産設備などさまざまな電気機器に組み込まれ、電圧や電流の制御を行ない電力の消費を抑える電子部品である。電気自動車や再生可能エネルギーの更なる普及にともない、その需要は2030年には現在の約2倍に増大することが見込まれている。パワー半導体の市場規模は急速に拡大し、2025年に3兆8千億円規模、2030年に4兆7千億円規模に増大する見込みだ。
またパワー半導体の要求性能は日々向上しており、現在パワー半導体材料として使用されているシリコン材料より、高電圧で使用でき、大電流でも電力損失の少ない材料が求められている。
酸化ガリウムは、次世代パワー半導体材料として開発が進んでいるSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)と比較し、その材料の特性上、さらに高電圧・大電流で使用できる可能性があり、高い量産性が見込まれる新規材料だ。次世代パワー半導体の材料として注目されており、2030年には200億円規模の市場が見込まれている。
AGC旭硝子は酸化ガリウムウェハーの将来性に注目し、本材料を開発・製造するノベルクリスタルテクノロジー社に出資することを決定した。AGC旭硝子が半導体関連部材事業で培った材料・加工・量産技術を応用し、ノベルクリスタルテクノロジー社と共同開発を実施することで、酸化ガリウムウェハーおよび次世代パワー半導体の実用化を加速していく。
ノベルクリスタルテクノロジーは2015年に創業した、株式会社タムラ製作所からのカーブアウトベンチャーであり、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の技術移転ベンチャーとしての認定会社だ。
パワー半導体材料である、酸化ガリウム単結晶基板とエピタキシャル膜の製造・開発を手掛けている。2017年11月には、タムラ製作所との共同で、世界初の酸化ガリウムエピタキシャル膜を用いたトレンチMOS型パワートランジスタの開発に成功するなど、世界に先駆けて酸化ガリウムを用いたパワー半導体の実用化に向けた取り組みを進めている。
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