三菱日立パワーシステムズ、11.2万kWの微粉炭焚き火力発電設備で国内最高のバイオマス混焼比率34%を実現
MotorFan / 2018年3月30日 18時25分
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、微粉炭焚き石炭火力発電設備で木質ペレットのバイオマス燃料を熱量比にして最大34%の割合で混焼させることに成功した。MHPSが福島県相馬市で相馬エネルギーパーク合同会社向けに受注し26日に竣工した出力11万2,000kWの発電設備での混焼試験において達成したもので、10万kW級の大規模微粉炭焚き火力発電設備では国内最高となる、定格負荷で30%台半ばのバイオマス混焼比率を実現した。
バイオマス燃料は、成長過程で光合成によりCO2を吸収するため、「京都議定書」における取扱上、CO2を排出しないものとされている。このバイオマス混焼試験は、発電設備の引き渡しに先立つ2018年1月から取り組んできたもの。試験ではまず、設計時の計画通りにバイオマス混焼比率30% (バイオマス混焼比率は、重量比ではなく熱量比)で安定的に発電運転できることを確認。併せて、定格負荷でバイオマス混焼比率34%を達成するとともに、部分負荷では同50%を達成したことも実証できた。これにより、石炭専焼時に比べてCO2排出量を30%以上抑制することが可能となる。
このバイオマス混焼式発電所は、相馬エネルギーパーク合同会社が運営するものだ。MHPSは、2014年に三菱日立パワーシステムズ環境ソリューション株式会社(当時は三菱重工メカトロシテムズ株式会社)、三菱電機株式会社とのコンソーシアムによりEPC(設計・調達・建設)契約を結んで受注。MHPSは、石炭バイオマス混焼ボイラー、蒸気タービン、排煙脱硝装置ならびに脱硫装置などを製作・供給した。
このボイラーは、3系統の燃焼プロセスを備えており、そのうち1系統分の供給燃料を石炭からバイオマスに切り替えることにより、設備変更なしで運用することが可能となっている。三菱重工業株式会社の総合研究所で実施した燃焼試験の結果も踏まえ、バイオマス混焼比率を100%にまで高めることができることも確認。新設ボイラーへの適用に加え、既設ボイラーをバイオマス混焼比率の高いものに改造する際に活用することも可能だ。
MHPSは、石炭火力発電分野において、超臨界圧・超々臨界圧などの高効率発電技術などと並行して、バイオマスを高い比率で混焼させる再生可能エネルギー関連技術の高度化にも注力している。
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