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ボッシュ:eCallを装備したコネクテッドカーが事故発生時に自動的に救助を要請

MotorFan / 2018年4月3日 16時0分

ボッシュ:eCallを装備したコネクテッドカーが事故発生時に自動的に救助を要請

ボッシュは、欧州市場で新車に標準装備されるeCallについて、テレマティクスソリューション&サービスを組み合わせた幅広いeCallラインナップを用意している。

欧州連合(EU)において、自動eCall(緊急通報)システムの装備が2018年3月31日から義務化され、交通安全の新たなマイルストーンとなった。これにより、どの車両も事故発生時に自動的に救助を要請するシステムが搭載されることになる。

「コネクテッドカーではさまざまなことを実現できます。コネクテッドカーは、この自動eCallシステムを通じて、今後は救命システムの役割も担うことになります」と、ロバート・ボッシュGmbH取締役会メンバーのディルク・ホーアイゼル氏は述べている。

eCallは、2018年3月31日以降に欧州市場で型式認定を受けた新型の乗用車全車に標準装備される。これらの車両には、EU共通の緊急通報用電話番号「112番」を介して現地の救急サービスに自動的に通報する標準化されたeCallが装備されるため、救急隊員は事故現場により迅速かつ正確に到着できるようになる。

このeCallの導入により、毎年約2,500人の命が救われ、重傷者の数も約15%低減するとEUは試算。一部の自動車メーカーは、義務化以前からすでにナビゲーションシステムの一部としてeCallを顧客に提供している。ボッシュはテレマティクスソリューション&サービスを組み合わせた幅広いeCallナインナップを用意しており、例えばテレマティクスeCallプラグの場合、このプラグをシガーライターに装着するだけで、すでに販売済みの車両もeCallソリューションを利用できるようになる。

迅速な支援が標準に

視認性の高いベストを身に着け、三角表示板を設置し、救助を要請するなど、緊急時には一刻を争う状況下で対処しなくてはならないことがいくつもありますが、多くの人は事故によりショック状態になってしまう。また、ひどい状況では、事故で意識を失ったり、車両に閉じ込められたりして、救助を要請できない場合もある。しかし、こうした場面でこそ、自動eCallシステムが頼りになる救命システムとして活躍してくれる。eCallシステムは、夜間の人気のない道路や高速道路であっても、どこで事故が発生したかを正確に把握し、その情報を救急サービスに自動的に送信するからだ。

「eCallは、人が通常対応できる早さを上回る速度で緊急通報を発信し、救命活動を迅速にスタートさせます」(ホーアイゼル氏)。SOSボタンは車両のダッシュボードにもあるため、乗員はこれを押して手動で緊急通報を発信することもできる。どちらの場合も、事故の詳細を伝えるために、事故車両と現地の救急サービスチームとの間にすぐに音声接続を確立し、ドライバーが応答しない場合には救急隊員が直ちに現場に派遣される。

このシステムでは、GPS座標をもとにした現場の位置情報が正確に伝わり、救急隊員は事故がどの向きで起きたのかも把握できるため、現場に向かう際に高速道路の最寄りのジャンクションで回り道をしなくても済むようになり、貴重な時間を節約できる。その結果、自動eCallを装備することで、救急隊員が事故現場に到着するまでの時間が、市街地では約40%、郊外では約半分まで短縮する。


命を守るコネクティビティ ボックス

一部の自動車メーカーは、すでに数年前から車載ナビゲーションシステムやインフォテインメントシステム の一部としてこのeCallを顧客に提供している。このような設定では、標準的なeCallボックスではなく、外界と通信するために使用する補助コントロールユニットが車両に採用されている。

ボッシュでは「コネクティビティ コントロール ユニット(CCU)」と呼んでいるこのコントロールユニットは、コネクテッドモビリティの心臓部に相当し、他の機能/サービスを実現するための通信ハブとなる。エアバッグやシートベルト プリテンショナーが作動した場合には、このCCUがその衝撃を記録し、 数秒以内に救急サービス、またはボッシュの緊急通報センターに事故を通報。救急隊員はこの送信されたGPS位置情報に基づき、事故現場に迅速かつ正確に向かえる。

CCUができるのはこれだけではない。CCUは車載の補助センサーとも接続されており、例えば何本のシートベルトが着用されているかを把握し、車内の乗員の数を認識できる。そのため、救急隊員は現場により早く到着できるだけでなく、準備を整えた状態で向かうことができ、出動する救急車の台数も直接指示できる。

eCallはフランス語にも対応

国をまたいで旅行している時に事故に遭い、現地の救急サービスチームにその状況を伝えなければならない場合に問題となるのは言語だが、ボッシュのeCallサービスはフランス語、スウェーデン語、トルコ語など16の言語に対応している。

112番を介して現地の救急サービスに直接通報する一般的な緊急通報システムとは異なり、ボッシュのeCallシステムは、ボッシュが運営する年中無休24時間体制の緊急通報センターに通報する。ナビゲーションシステムの言語設定をもとに、eCall対応スタッフはドライバーがどの言語を使用しているかわかるため、ドライバーと同じ言語でコミュニケーションをとれる。このため、特に事故のような深刻な状況でもコミュニケーション上の問題が発生することはない。

ボッシュの緊急対応チームは現地の救急サービスと現地の言語でやりとりするため、現地の救急隊員は事故の状況や救助方法を正確に把握しやすくなる。また、ボッシュの緊急通報センターからのコールにドライバーが応答しない場合には、センターのオペレーターが直ちに現地の救急サービスに通報する。

ボッシュのeCallサービスは欧州だけでなく、日本、ブラジル、北米など世界の50以上の国々で提供されている。多言語に対応したボッシュのeCallサービスは、すでにDaimler AGをはじめとした数多くの自動車メーカーで採用されている。

シガーライターが救命システムに

車両に自動eCallシステムが標準装備されるかどうかは、その車両がいつ型式認定を受けたかによって異なる。eCallの装備義務は、市場に投入される前に、EUで2018年3月31日以降に型式認定を受けた新型車に適用されるからだ。そのため、それ以前に型式認定を受けた車両はeCallを装備しない状態で製造・販売される場合がある。

「車両タイプが古いため、車両が救命システムになれないという事態が発生しないよう、ボッシュはテレマティクスeCallプラグという形でeCall後付けソリューションを開発しました」と、ホーアイゼル氏は述べている。どの車両でも、このeCallプラグを車両の12Vソケット(シガーライター)に差し込むだけで機能し、整備工場に調整を依頼する必要はない。

プラグには加速度センサーが組み込まれており、それをもとに衝撃や事故の程度が記録される。この情報がBluetooth経由でドライバーのスマートフォン上のアプリに送信され、自動車保険会社の事故対応サービスセンターに通報を入れる。こうして、後付けソリューションでもドライバーとの音声接続を確立でき、ドライバーが応答しない場合には救急隊員を直ちに現地に派遣する。


二輪車にも対応

バイクの運転車は、最も事故に遭うリスクが高く、自動車のドライバーよりも事故死のリスクが18倍も高くなっている。ボッシュはこの状況を変えるために、自動車用だけでなく、二輪車にも対応するeCallを開発した。

このモーターサイクル用CCUは二輪車の動作データを取得し、これを事故の検知に活用する。また、ここにはGPSモジュールが組み込まれているため、事故発生現場の位置が救急サービスコールセンターに正確に伝えられる。


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