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快進撃はまだまだ続く! 新プラットフォーム、CMAの第一弾・ボルボXC40 90/60の廉価版じゃない

MotorFan / 2018年4月8日 21時35分

快進撃はまだまだ続く! 新プラットフォーム、CMAの第一弾・ボルボXC40 90/60の廉価版じゃない

ボルボの商品ラインアップのなかではもっとも手頃なサイズとプライスのモデルが40シリーズだ。今回登場したXC40からプラットフォームを一新。まずは、上級のT5 R-DESIGNの限定車から販売が始まった。XC40、その出来はどうか? TEXT & PHOTO◎世良耕太(Kota SERA)

その数字から想像できるように、XC40はボルボの車種ラインアップのなかで一番下に位置するモデルだ。XC60はXC90より小さいように、XC40はXC60よりも小さい。そして、無意識にそう思い込んでしまうだろうが、価格帯も一番下だ。

「90」が買えないから「60」、「60」が買えないから「40」という商品選びをボルボは想定していないし、そういう商品開発もしていない。「ライフスタイル重視」だとボルボ・カー・ジャパンは説明する。XC90がフォーマル、XC60がファミリーだとしたら、XC40はパーソナルだ。「都市生活者が自分で運転し、自己表現しながら駆け抜けていく」イメージだという。

90/60/40は上中下の関係ではないから、クルマの形も相似形ではない。XC90をベースにひとまわり小さくしたのがXC60、XC60をさらに小ぶりにしたのがXC40という作り方ではないということだ。ひと目でボルボのSUVとわかるスタイルを持ちながらも、それぞれに個性が与えられている。



わかりやすい表現はサイドのプレスラインで、XC90はフロントからリヤまで一直線に伸びている。XC60は前後が分割され、肩やももの筋肉のような躍動感を演出している。対するXC40のプレスラインはリヤでキックアップしており、明らかにエッジが効いている。

自分はフォーマルが好みだからXC90、スポーティが身上だからXC60、カジュアルに生きたいからXC40と頭で決めるのではなく、感覚に従って気に入ったモデルを選択すればいい。シリーズごとにキャラクターを作り分けてはいるが、機能や装備はどのモデルを選んでも基本的には変わらないのがボルボの特徴だ。安いクルマだから機能や装備面で我慢を強いられることはない。ただ、サイズがコンパクトなだけだ。

ボルボの新プラットフォームCMA。ボルボの親会社吉利汽車(ジーリー)も使う。

あらゆる方面でのクオリティを落とさないために、ボルボはコンパクトなモデル専用のプラットフォームを用意した。CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)であり、XC40が初採用となる。90系と60系はSPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)だ。

CMAはSPAで開発した先進安全技術とインフォテインメントシステムを移植できるように設計されている。XC90やXC60と共通イメージのボルボのインテリアであり、ボルボが誇る先進安全技術をXC90やXC60と同じように享受できる(しかも標準で)。

SPAと同様に、CMAも電動化(PHEV/EV)への展開をあらかじめ織り込んだ設計だ。SPAの場合はモーターはリヤに搭載するが、CMAはフロントに搭載する。1.5ℓ3気筒ガソリンエンジンの導入も予定している。


ボルボは世界中のユーザーが「スカンジナビアンデザイン」と聞いて思い浮かべるイメージを絶妙に、インテリア全体のムードや、インテリアを構成する個々のパーツに投影することに長けているようだ。北欧出身の著名な建築家がデザインした建築物よろしく、眺めていて飽きることがない。その空間に身を置くだけで、充足感に包まれる。

美術作品はそれを展示する器によって印象が大きく左右されるが、そのクルマを気に入るか気に入らないかに関しては、内外装が醸し出すセンスやクオリティが重要な役割を果たす。ボルボの他のモデルと同様、いつまでも眺めていたくなるスタイルや、身を置いておくたくなる室内は、XC40の最大の魅力だ。

格好はいいけど使いづらいではデザイナーのエゴ丸出しだが、XC40はそんなことはない。収納がたくさんある(容量を確保するため、ドアポケットからスピーカーを廃した)し、スマホの非接触充電は可能だし(あいにく対応機器を持っていない)、フラットなラゲッジルームは「く」の字形に立てると下に小さなバッグを置くのに適したスペースが出てくるし、袋を引っかけておけるフックが現れる。「生活感を出さずに使い勝手のいいインテリアを目指した」というが、まったくもってスマートだ。





このクラスのSUVの全幅は1840mmが最大勢力だが、XC40の全幅は1875mmある。機能上必要な35mmではなく、デザイン上必要な35mmだった。デザイナーは「20mm違うだけで印象は大きく変わる」と説明したという。「このクルマいいな」と思わせるためにも、1875mmの全幅は必要だったのだ。

譲れないポリシーは他にもある。「クロスオーバーにはしたくなかった」とボルボは説明する。XC40は「SUVなのだ」と。この点に関しては、SUVに見えることが重要なのではなく、機能も含めての話だ。SUVらしく、運転席で着座姿勢をとるとボンネットフードを見下ろすような視界が開ける。その効果か、車幅の割に取り回しに苦労することはなさそうだ(短い試乗では皆無だった)。





XC40を実際のサイズ以上にコンパクトに感じさせるのは、きびきびした動きである。試乗車はあっという間に売り切れたT5 Rデザイン1stエディション(価格559万円)だった。車重は1690kgで決して軽量級とは言えないけれども、185kW/350Nmを発生する2.0ℓ・直4直噴ターボエンジンは、8速AT(アイシン・エィ・ダブリュ製)のクレバーな制御もあいまって、ドライバーの意思に忠実に、反応良く、ダッシュする。ひと言で言って速い(そして、なかなかいい音がする)。元気に走る分だけ燃費はそこそこな印象(短時間乗った限りでは)だが、楽しい思いをした対価にふさわしいと感じられるレベルだ。電動パワーステアリングのアシストが強く、軽々とタイヤが向きを変える(手応えはしっかりある)のも、軽快感に結びついているようだ。

CMAはSPAと同じ動的質感と機能を低コストで実現するため、フロントサスペンションをダブルウィッシュボーン式からストラット式に変更している。コストを抑えたから安っぽくなった、では消費者にそっぽを向かれてしまう。残念ながら筆者は、サスペンション形式の違いを知らされずに乗って、その違いを指摘できるほど精度の高いセンサーを持ち合わせていない。箱根の山道をたっぷり走り回ったが、たっぷり走り回るまでもなく、XC40からは「いいクルマ」感が伝わってきた。

不快な振動や音は上手に遮断されて動きは終始落ち着いており、静かだ。どんな状況でも、「あぁ、自分はいま上質な空間に身をゆだねている」という充足感を味わうことができる。ボルボの快進撃はまだまだ続きそうだ。


ボルボXC40 T5 Rデザイン 1st Edition
全長×全幅×全高」4425×1875×1660mm
ホイールベース:2700mm
車重:1690kg
エンジン:2.0ℓ直列4気筒DOHCターボ
エンジン型式:B420
排気量:1968cc
ボア×ストローク:82.0×93.2mm
圧縮比:10.8
最高出力:252ps(185kW)/5500rpm
最大トルク:350Nm/1800-4800rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:電子制御式AWD
サスペンション:Fマクファーソンストラット・Rマルチリンク
タイヤ」235/50R19
JC08燃費:12.4km/ℓ
価格:559万円

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