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41kgの軽量化は偉大だった!新型ゴールドウィング試乗レポ【ホンダ】

MotorFan / 2018年4月21日 17時50分

41kgの軽量化は偉大だった!新型ゴールドウィング試乗レポ【ホンダ】

昨年の東京モーターショーを始め、大阪/東京モーターサイクルショーにも出展されて観客から熱い視線を集めていた新型ゴールドウィング。17年ぶりのフルモデルチェンジとなったこの注目車に試乗する機会を得た。(PHOTO&REPORT:近田茂)

Gold Wing Tour……2,959,200円

Gold Wing Tour Dual Clutch Transmission〈AIRBAG〉……3,315,600円

Gold Wing……2,732,400円

今回の試乗では女性1名を後席に乗せて行った



日本の「ホンダ」というメーカーの偉大さをつくづく思い知らされる。なぜならスーパーカブが世界市場を席巻する一方で、プレミアムな居住性で頂点を極めたゴールドウィングが、アメリカ市場を筆頭に大きな市場を開拓した。事実アメリカではリタイヤ世代の夫婦がゴールドウィングで旅をする姿が成功した者の証として一種のステータスになっており、まさに憧れの存在なのだ。片や庶民向け、一方はリッチなユーザー層という、両極端の市場で支持を集め、さらに近年ではビジネスジェットでも躍進する、その企業力には心底感心させられる。


さて本題に戻ろう。今回の主役は17年ぶりのフルモデルチェンジとなった新型ゴールドウィング。試乗車は“ツアー”の7 速DCT 仕様である。
同社4 輪のレジェンドを思わせる光学レンズ10眼のLED ヘッドライトとシグネチャーランプは斬新かつ精悍なフロントマスクを魅せる。全体のフォルムはシェイプされた印象で、親しみやすさを覚える。実際41㎏の軽量化と、全長55mmのダウンサイジングを達成。身長170cm、大柄とは言えない記者にとっては、とてもありがたい進化だ。
これに加えて、ウォーキングスピードモード(微速前後進機能)が追加され、車庫からの出し入れに押し引きする力が不要になる。モーターではなくエンジンを動力に活用おり、動き出しやギャップの乗り越えも挙動が優しい。巧みに制御されているのでとても扱いやすかった。

他にもスマートフォンと連携するApple Carplay にも対応するなど、まるで自動車のような最新機能の充実ぶりに、驚かされるばかりである。


今回のもう一つの見どころが、フロントに採用されたダブルウィッシュボーンサスペンションである。ステアリング軸もろとも懸架される方式で、ライダーが操作するハンドルバーからは2 本のタイロッドを介してステアリングを操舵する。サスペンションの作動特性とフロントフォークの剛性確保に優れるお題目は理解していたが、果たしてどうだろうか……。

それは荒れた路面で明確な差を体感することができた。非常に優れた乗り心地を発揮してくれたのである。従来型とはバネ下の動きが異なり、前輪は実に小気味よく上下に動いているが、その暴れは車体には伝わってこない。決してフワついたソフトな感触ではなく、衝撃吸収性が格段に進化しているのがわかる。片支持プロリンク式リヤサスペンションの作動特性も良く、大きなギャップでの突き上げ感が緩和されていた。後席にも優しい乗り味になっている。今回、試すことはできなかったが、おそらくアウトバーンレベルでの直進安定性にも大きな進化が期待でき、長距離高速クルーズでも安心感が伴い快適で疲れ知らずの旅を提供してくれることは確かだ。


あえて欲を言うならば、標準装備のクルーズコントロールに前車追従機能も追加して欲しかった。もし採用されれば、またひとつ世界初のエポックになったのに惜しいと思った。ホンダさんのことだから、今後の商品力向上に期待したい。

そしてもう一つ、走行中に気づいた点があった。極低速域での操縦安定性がいまいち把握しづらく、扱いにくい印象を受けたのだ。これは素直なインプレとしてクリアに書かせていただいたが、実は後日談があって、割と単純な整備ミスが発覚。詳細は割愛するが、タイロッドを採用した新しい操舵系には、今までとは違った整備要件があるのだという。設計ミスで無かったことに胸を撫で下ろした次第である。

注目のDCT はギヤリングが従来よりも高められ(6 速MTも)、なおかつクロスした7 速化で変速制御がスムーズ。手動操作もできるがそれは無用と思えるほど自動変速にお任せのままで気持ちよく走れた。6 速2000rpm当たりで7 速トップへ入る。その時の速度は80㎞/hエンジン回転数は1700rpmに過ぎない。その悠然たるゴージャスな乗り味は、まさしくゴールドウィングならでは。その乗り味は感涙ものであった。


リビング気分のタンデソファー! 

「まずは前のシートに跨ってからタンデムステップの上に両足で立って、そのまま後ろのシートに移動すると座りやすいですよ」とホンダ・ゴールドウイングの技術スタッフさん。

乗り降り慣れが必要ですが、大きな背もたれにどっかりと身を預けてみれば座り心地は抜群。ソファーのような安定感に包まれて、まるで自宅でくつろいでいるようなリラックスできる気分でした。 バイクや前のライダーにしがみつく必要がないので、オートバイに慣れていない人にもお勧めです。

誰もが安心してタンデムシートでの旅を楽しむことができると思いますよ。あまりに快適なのでうっかり寝てしまわないよう気をつけてくださいね(笑)

ストリップモデルから見て取れる最新機構

前方から撮影したフロント部分。ステアリング軸はフレーム側ではなく、フロントフォーク側についている。
これがダブルウィッシュボーンサスペンションの主要部分。前方に出された上下二つのアームで懸架する方式。操舵軸とハンドル操作軸とは上部2本のタイロッドでピローボール等を介して連結されている。
ダイヤモンド式アルミツインチューブフレーム。そのフォルムは低くて長い。後方まで埋没された黒い大型燃料タンク容量は21L。・フレームとスイングアームで旧型比約2㎏の軽量化を実現。新型サスペンションに合わせて車体剛性も見直された。
バイク界唯一の存在であるフラット6エンジン。ボアは1mm縮小し73mmスクエアに。コンパクト設計も徹底。ユニカムを採用したOHC24 バルブの1833㏄だ。

一新された水平対向6気筒エンジン

第三世代7 速+リバースDCT のカットモデル。メインシャフトは二重軸構造。右側に飛び出たシャフト部分に手前のデュアルクラッチが組み付く方式だ。 ・化粧カバーで仕上げられたエンジン右側部分。3本のエキゾーストパイプが集合し、一段ハネ上げられた後の大容量マフラーも地面と水平に後方へと伸びる。


装備、機能も超一級

フロントは孔空きディスクをダブルでフローティングマウント。ラジアルマウントされたブレーキキャリパーは6ポット対向ピストン式だ。

リヤサスペンションは、プロリンクと呼ばれる片持ちスイングアーム式。写真はその前端ボトム付近にあるリンク機構部分を撮影したものだ。

ウインドウスリーンは当然電動稼動式。左手ハンドルスイッチ上部右側にあるスイッチで簡単に上下でき、プロテクション効果が高められる。

こちらはスクリーンを下げた所。前方はスクリーンを通さない直接視界が得られる。・HMI(ヒューマン/ マシンインターフェース) と命名された主要操作スイッチ。メーター手前の中央に鎮座する。液晶表示も含む様々な制御や設定ができる。オーナーには全機能をマスターする楽しみもあるだろう。

数多くのスイッチが並ぶのは、それだけゴールドウイングは他に無い機能満載のバイクであることがわかる。


右側のハンドルスイッチ。左と比較するとシンプルだが、DCT や走行モード切り替えやクルーズコントロール等が操作できる。

まるでソファーに座るような乗り心地なので、むしろ後席に座りたい気分になる。シートは基本設計からタンデムを考慮してデザインされている。

ハンドグリップの脇には、後席専用のシートヒータースイッチがある。 ・前席周辺の写真。中央は給油口。右側にはコンパクトな収納ポケットもある


ツアーに標準装備されるリヤトランク。セキュリティも確保され、スマートキーとの連携で開閉操作も扱いやすい。

左右のサドルバックもオープナーボタンで開く。油圧ダンパー付きで蓋の開閉具合も上質。トータルでなんと110 Lもの収納スペースを誇る。

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