経験ゼロ、ツナギも持ってないけどレースに出てみたくなった「TKレンタルバイクシリーズ」参戦記 練習編
MotorFan / 2018年5月5日 16時10分
2015年に「スズキ・アジアン・チャレンジ」で実際に使用されてたワークスマシン・スズキ・FU150をレンタルし、参戦できるレースがサーキット秋ヶ瀬で昨年から開催されている。レースから離れてしまった腕に覚えのあるライダーや、サーキット未経験者にも最適なレースに、運動音痴(しかもバイクに乗るのも下手)だけど、バイクが大好きな筆者、石川順一が挑戦。サーキット走行そのものが初めてとあって、事前に上手な曲がり方や、サーキット走り方を教えてもらいました。(大会3日前のオハナシです)。 REPORT●石川順一
「バイクもツナギもなくてもレースデビューできる!?」
そんな夢のような話をモーターファン編集部担当から聞いたのは4月も末のころ。都心からもっとも近い埼玉のサーキットで、サーキット初心者向けのレンタルバイクレースが開催されているという。この「TKレンタルバイクシリーズ in サーキット秋ヶ瀬」は、元全日本ライダーの武田雄一さん主宰するレース。実際にアジアでレース車両として使用されていたバイクを使ったワンメイクレースなので、自分で車両を用意する必要がない。しかも、必要ならMFJ公認のツナギやヘルメット、レーシンググローブにレーシングブーツまで一式レンタルしてくれるので、“手ぶらでサーキットデビュー”というのも可能なのだ。
バイクを手放してから早10年。最近では取材でバイクに乗ること機会が増えてはいるが、カメラマンに撮ってもらったライディングフォームは初心者そのもの。もっと上手に、もっとカッコ良くという熱い思いがふつふつと湧き出し、参加を決めた次第である。
レーシングライダー直々のレクチャーを受講可能
私の自宅である東京大田区から、電車とバスを乗り継ぎ約1時間。最寄りのバス停から歩いて約10分。都心の喧騒を忘れ、荒川河川敷近くののどかな農道を越えるとさいたま市のサーキット秋ヶ瀬にたどり着く。ここ秋ヶ瀬は、加藤大治郎選手や阿部典史選手といったワールドクラスのライダーを幾人も輩出した聖地としても知られている。
今回訪れたのはレース前の練習をするため。まったくのサーキット初心者ということもあり、ぶっつけ本番はさすがの私も正直怖い。それに最近は日頃の出不精もあり、階段を上がると息が切れてしまうほど体力が衰えている。
こんな自分で大丈夫か?と少し心配になってきていたところに「安全に楽しくいきましょう!」と朗らかな声で話しかけてくれたのが、本レースのプロデューサー・武田雄一選手。かつては全日本ロードレース選手権や鈴鹿8耐で輝かしい成績を残したレーシングライダーの彼がコーチをしてくれるのだからこれほど心強いものはない。むしろこんな機会はめったにないとワクワク感に変わった。
ワンステップごとだから身につきやすい
![燃料タンクがシート下なので、いつものようなニーグリップができずできないことに戸惑っている一コマ。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004075/big_344673_201805051545460000001.jpg)
![「目線は先! 手元を見るとフラフラするよ〜」と武田さん。頭では理解していても、うまくいかないのがもどかしかったり……。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004075/big_344673_201805051546320000002.jpg)
もはやアスリート(私)と名コーチ(武田さん)の気分
革ツナギも持っていないし、自前のヘルメットはフリップアップタイプ(サーキット走行はちゃんとしたフルフェイスじゃないとダメ)、でもこのTKレンタルバイクシリーズなら装備一式を借りられるので問題なし。慣れぬ手つきでツナギを着たら、いざ練習開始!ツナギに身を包むとすでに速くなったような気がしてくるから不思議である。今日にでも膝が擦れてしまいそうだ。
使用するマシンはホンダ・スーパーカブのようなアンダーボーンフレームに、4ストローク130ccエンジンを搭載したスズキ・FU150。スズキが若手育成のために開催しているレース「スズキ・アジアン・チャレンジ」で実際に使用されたワークスマシンなのだ。ヨシムラのマフラーやバックステップがレーシーさを高めている。
まず最初に習ったのはポジショニング。レーサーレプリカを所有していた私には、アンダーボーンフレームでバンクする際、どうしていいのかあまり想像がつかなかった。「腕に力が入らないように、少し猫背気味に」と、武田さんが的確に教えてくれたので、それっぽい乗車姿勢をとれるようになってきた。
とりあえず乗れるようになったら、駐車場で8の字走行に移る。楽勝と思っていたが、初心者であることを思い知された。コンパクトに曲がるのは難しく、加速減速もギクシャク。走っていてリズム感がないのである。見かねた武田選手がアドバイス。口頭での説明だけでなく、私を後席に乗せてラインどりやブレーキ操作を間近で観察させてくれた。そのおかげもあってか上達の兆しも見え、「次はサーキット走行です」と許可もいただけた(笑)。
![レンタルレースで使用するスズキFU150。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004075/big_344675_201805051544580000001.jpg)
![GPレーサー気分だったけれどあとから写真を見てまったくバンクしていないことにショックを受けた、、、](https://motor-fan.jp/images/articles/10004075/big_344676_201805051552280000001.jpg)
![ラインどりの解説もしてくれる武田さん。「アウト・イン・アウト」ができていないコーナーは、ブレーキングのタイミングから丁寧に教えてくれた。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004075/big_344677_201805051553090000001.jpg)
念願のサーキットを目前に、注意事項を入念に確認。この日はモトチャンプ杯直前(というかTKレンタルバイクシリーズも併催)ということで、ベテランライダーの方々がかなりのスピードで周回をしており「本当にこの中にはいっていけるのか!?」とおっかなびっくり。武田さんの「安全に楽しんで」という言葉に再度勇気づけられて飛び出してみる。
ところが、いざ走り始めてみると直前までの怖さや不安などなんのその。とにかく爽快で、カーブを曲がって直線のラインが見えてくるところなどアドレナリンがでまくってしまうほどだ。いつまでも走っていたくなる。へたっぴなライディングでもこれだけ楽しめるのだから、うまく乗れたらどれだけ快感なことだろう。
ピットインしたところで、武田選手がアドバイスをくれるのもうれしい。エンブレに頼りすぎてブレーキをおろそかにしていることや、膝すりを意識しすぎるあまり(擦れてはいない)、前のめりになりすぎて車体が安定していないことなど、日常のライディングで問題だった部分も気づくことができ、確実に上達への道筋を見つけることができた。一台だけ遅いバイクがコース内をウロチョロしても、にこやかに応援してくれたベテランライダーの方々にも感謝しきり。本当にお世話になりました!
レース本番は明日、5月6日。はたして今日一日だけの練習でどこまでいけるか。せめてビリにはならないようにしたいなぁ……。
![弟子を心配する師匠の眼差し! 武田さんの期待(?)に応えるべく、必至に走り込みました!](https://motor-fan.jp/images/articles/10004075/big_344678_201805051551210000001.jpg)
■開催概要
・開催場所
サーキット秋ヶ瀬
〒338-0824 埼玉県さいたま市桜区上大久保1099
・申込方法
開催日1ヶ月前から受付開始、開催日1週間前の16:00締め切り
現金書留郵便、または事務所窓口にて直接申込の事
・参加費
通常参加費¥35,000-
連戦割り¥30,000-(連続でエントリーされた場合)
(参加費、車両【スズキFU150】レンタル費、車両整備費ガソリン代込)
※転倒1回につき別途¥3,000-、また損害が大きい場合は部品代の実費あり
※車両の割り振りはメンテナンス管理者が実施
・レース前日練習費用
¥15,000-(走行料込み)
※サーキット秋ヶ瀬のライセンスをおもちで無い方はビジター料¥1,000-別途
(車両【SUZUKIFU150】レンタル費、車両整備費込)
※レース参加申込時にレース前日練習の有無を決定
・装備品レンタル料
レーシングつなぎレンタル¥5,000- レーシングブーツ¥1,000- グローブ¥1,000- ヘルメット¥1,000-
・レーススケジュール
【午前】
ライダーズミーティング
↓
タイムアタック7分間
↓
予選レース10周
↓
===お昼休み===
↓
【午後】
決勝レース12周
↓
表彰式
■都内からサーキット秋ヶ瀬へのアクセス
・浦和駅経由
湘南新宿ライン籠原行きに乗り、浦和駅下車。西口の国際興業バス、浦桜13-3大久保浄水場行に乗り、中島で下車。バス停より徒歩10分。
・南与野駅経由
埼京線大宮行きに乗り、南与野駅下車。西口の国際興業バス、志03-3 志木駅東口行に乗り、下大久保下車。バス停より徒歩15分。
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