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若き研究者たちの英知と情熱この秋、いよいよ「4,000m級の深海」へ! 産・官・学のオール・ジャパンチーム「Team KUROSHIO」

MotorFan / 2018年5月7日 18時25分

若き研究者たちの英知と情熱この秋、いよいよ「4,000m級の深海」へ! 産・官・学のオール・ジャパンチーム「Team KUROSHIO」

米・XPRIZE財団が主催する海底探査コンペティション「Shell Ocean Discovery XPRIZE」。未知なる深海を舞台とするこのチャレンジには、海洋国家ニッポンの威信を賭けて産・官・学のオール・ジャパンチーム「Team KUROSHIO」がエントリーしている。同チームは、2017年2月の「技術提案書審査」、そして2018年1月に行われた「Round 1(技術評価試験)」を順調にクリアして、今秋行われる決勝「Round 2(実海域競技)」への進出が決定。いよいよ日本の若き研究者たちが、英知と情熱を結集して4,000m級の深海に挑む。

 Team KUROSHIOは、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)、東京大学 生産技術研究所、九州工業大学、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所等の 若手研究者を中心に、国内研究機関や民間企業に所属する海洋技術の専門家による オール・ジャパンチーム。そのチームの一員として、Team KUROSHIOの拠点であるJAMSTECに派遣されているヤマハ発動機の技術者・進藤祐太氏(写真・左)も、二輪車開発の現場から海洋コミュニティの世界に身を置いて早一年。自律型海中ロボット(AUV)や船型無人ロボット(ASV)の開発に関わる進捗管理、海域試験での裏方仕事や不慣れな広報活動などに汗を流し、「毎日が新鮮な経験ばかりで、あっという間の一年でした」と振り返る。

2018年1月に実施されたRound1技術評価試験をクリアして、Shell Ocean Discovery XPRIZEの決勝となるRound 2実海域競技への進出を果たしたTeam KUROSHIO。ヤマハ発動機派遣の進藤氏は、「ひとたび目的を共有したら部門の壁なく共に前進しようとする一体感、スピード感という点で、Team KUROSHIOとヤマハはとても似ている」と話す。

 まったくの異分野への挑戦ながら、すっかり海洋コミュニティに溶け込んでいるように見えるのは、「この世界の人びとやカルチャーと、ヤマハのそれがマニアックさという点で非常に似ているからかもしれません」と自己分析。とは言え、「ここで関わる人たちは、二輪車の開発では出会えなかったような人ばかり。この貴重な経験を社会や会社にどうフィードバックしていくか、残された日々はそうしたことも考えながら全力で取り組んでいきたい」。そんな思いをあらためて強くしているそう。

「Shell Ocean Discovery XPRIZE」は、AUVを用いて深海の広域3Dマッピングに挑み、そのスピードや精度を競う賞金総額700万ドルのコンペティション。13か国・計32チームがエントリーしたが、これまで2段階のステップを経てRound 2に進出したのはわずか9チーム。その決戦の舞台に向けて、進藤氏らはいまラストスパートに入ろうとしている。

「ヤマハの中にあるリソースを引っ張り出すのも、私の大切な使命の一つ」と話す進藤氏は、チームに派遣された後もことあるごとに静岡県のヤマハ発動機に足を運んでいる。「技術的な案件ばかりでなく、ロジスティックの相談などもするのですが、我われのチャレンジに前のめりに関心を持ってくれる人が非常に多い。『これはレースだろ? ヤマハが関わるなら勝ちにこだわれ!』と。ヤマハらしいですよね?」と苦笑い。
 
 このように、ヤマハ発動機という会社を客観的に眺められたことも、進藤氏にとっては大きな財産の一つ。「実際、何らかの課題が浮上した時、『ヤマハのあの技術、この製品が使えるのではないか?』と次つぎにアイデアが浮かんできます。あらためて幅広い技術と商品で、世界を相手にビジネスしてきた会社だなと実感しましたし、誇らしくも感じます」。

 1年前、「チームのためになることなら、なんでも屋にでもなるつもり」と話していた進藤氏。しかし、やはりエンジニアの血は抑えきれないものがあるようだ。「その初心はまったくブレていませんが、AUV本体の開発やASVの運用など、技術的な役割も合わせて担っていくことがいまの目標。地球の表面の7割を占める海底を知ることで、地球への理解を深めるという大きなモチベーションを持ち続けて頑張ります!」

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