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7000rpmで過激なキャラが顔を出す!! CB1000R試乗レポ/ホンダ

MotorFan / 2018年5月14日 15時40分

7000rpmで過激なキャラが顔を出す!! CB1000R試乗レポ/ホンダ

昨年、EICMA2017(ミラノショー)で世界初公開されて注目を集めた極めてホットなネイキッドモデルCB1000R に試乗した。ミュゼオ御殿場で開催された報道試乗会。そこには同125と250も顔を揃え、一気に充実したシリーズ完成への戦略も披露されていた。 REPORT●近田茂(CHIKATA Shigeru) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ホンダCB1000R ……1,636,200円





 先ずは写真を見て欲しい。ホンダファンならずもCB1000Rに熱い視線を送ってしまうのはそれなりのワケがある。何よりもそのデザインには力があるからだ。物言わぬ佇まいの中にも、秘めたるパフォーマンスが本物である事が、キチンと伝わってくる。カタログのキャッチコピーには、「トラディショナルと最先端の融合による巧みな進化」と記されていた。まさにスーパーネイキッド。ホンダの意欲作だ。
 古い言い方をすればレプリカ系ネイキッドと呼んだ記憶もあるが、今やレトロ系、レジェンド系等数あるネイキッドの中でも完全に主流となりつつある斬新かつ人気のカテゴリー。ネイキッドながらも極めてエキサイディングな乗り味を誇っている。裏話をすれば、ホンダは“CB”というホンダドリームを象徴するブランドネームをどうすべきか悩みに悩んできたが、ようやく靄の中を抜け出してリリースしたひとつの回答をここに見ることができるのだ。

「Neo Sports Cafe Concept」を基に製品化したこのモデルは、マスの集中化や車体の軽量化を徹底。スポーツ性を高め、スロットル・バイ・ワイヤーシステムの採用で4つの走行モードがチョイスできる。降雨や街中を穏やかに安心して走れる、郊外は程よいパワー感で、サーキットではエキサイティングにという出力特性の違いを楽しめる。
でも、そんな機能面の凄さ以上に、メーカー開発陣の想いや作り手のこだわりが判りやすく巧みに表現された仕上がりの素晴らしさに魅せられてしまう。ギュッと塊感のある凝縮されたスタイリング、2室構造マフラーの迫力ある造形。アルミプレスにヘアライン加工が施されたラジエターシュラウド等々。

 早速跨がると、若干腰高で上体が微前傾となるライディングポジションが絶妙に決まる。下半身とバランスのとれたスポーティな乗り味と通常走行の快適性もカバー。それは掛け値なしに心地よい。発進時に気づかぬ程度にアイドルを高めてくれるアシストや、クラッチミート後のスムーズな回転フィーリングはとてもジェントル。その一方で7000rpmを超えてから発揮される本領は本当に凄まじい。だからこそ絶対的なユトリを覚える穏やかな心持ちと、それが控えるワクワク感を携えて走れる雰囲気が何とも贅沢。若々しい気分になれることも請け合いだ。
実際、少し低めに設定されたギヤレシオは、常用域での動力性能でCBR1000RRのそれを凌ぐ実力がある。本気を出せば何時でも強烈なパンチ力を発揮。繰り返すようで恐縮だが、7000rpm前後のレスポンスは胸のすく思いがする。軽妙に身をひるがえすハンドリングの素直さも絶妙でサスペンションの作動性も抜群。

 たまのオフに、少し早起きして混み始める前にお気に入りの峠まで、サクっとスプリントツーリング。美味しいモーニングコーヒーで一服して昼には戻ってくる。そんな楽しみ方がお似合いではないか。バイクライフのひとつとの形としてとっても贅沢なシーンを演出できることは間違いなく、相棒にするに相応しい存在感には正直憧れてしまうほどであった。




ディテール解説

フロントフォークはショーワ製SFF-BF(セパレート・ファンクション・フロントフォーク)の倒立式を採用。左側にはダンピング、つまり減衰力調節機構を採用。伸び側と圧側それぞれを好みの硬さに調節できる。

フロントフォークブラケット部トップエンド右側の写真。右側フォークは減衰機構を持たない構造とし、スプリングのイニシャル調節のみできる。

10ピンでフローティングマウントされたφ310mmのディスクローターをダブルで装備。ラジアルマウントされたキャリパーはTOKICO製の4ポットモノブロックタイプ。コンパクト軽量なABSモジュレーターはNissin製だ。

プロアームと呼ばれた片持ちスイングアーム方式を採用。マスの集中化を図られたフレームとの組み合わせで、抜群のロードホールディングを発揮。リヤタイヤは190-55偏平の17インチを履く。ブレーキはφ256mmのシングルディスクと2ポットキャリパーの組み合わせ。

リヤのモノショックは分離加圧式。ダンパー室内のオイルとガスが混ざらないような構造とし、ダンピング特性の安定化が図られている。赤いスプリングは、高強度材料の使用で従来比で300gの軽量化を実現。

いかにも斬新なフロントマスクを提供するLED式ヘッドライト。エクリプスシェイプと呼ばれるラウンドするラインを基本としたデザインが印象深い。

細く短くシャープにフィニッシュするリヤエンド。やはりLED式のテールライトは、二重構造のレンズを使用しフロントと同様にエクリプスシェイプが演出されている。

モード切り替えスイッチも左手に集中レアウトされている。スイッチボックス左端、グリップ側にある小さなスイッチはグリップヒーター用で、5段階もの温度調節が可能だ。

右側のハンドルスイッチはシンプル。赤いスイッチひとつでエンジンキルスイッチとスターターボタンを兼ねるタイプだ。

セパレートされたリヤフェンダーデザインも異彩を放つ。写真は片持ちスイングアームで支持されるライセンプレート。

体重移動がしやすい。シートデザインには作り手のコダワリが感じられた。オプションでシングルシートカウルや、より上質なアルカンターラシートも用意されている。

キーロックを解除すると取り外しできるリヤシート。シート下にはETCが装備されていた。もちろんカード挿入の有無を示すETCパイロットランプもメーター内にセット済み。




■主要諸元■

通称名 CB1000R
車名・型式 ホンダ・2BL-SC80
全長×全幅×全高 (mm) 2,120×790×1,090
軸距 (mm) 1,455
最低地上高 (mm) 138
シート高 (mm) 830
車両重量 (kg) 212
乗車定員 (人) 2
最小回転半径 (m) 3.0
エンジン型式・種類 SC80E・水冷 4ストローク DOHC 4バルブ 直列4気筒
総排気量 (cm3) 998
内径×行程 (mm) 75.0×56.5
圧縮比 11.6
最高出力 (kW[PS]/rpm) 107[145]/10,500
最大トルク (N・m[kgf・m]/rpm) 104[10.6]/8,250
燃料消費率
(km/L) 国土交通省届出値 定地燃費値(km/h) 22.5(60)<2名乗車時>
WMTCモード値 (クラス)※6 16.7(クラス3-2)<1名乗車時>
燃料供給装置形式 電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)>
始動方式 セルフ式
点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L) 16
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比 1速 2.538
2速 1.941
3速 1.578
4速 1.363
5速 1.217
6速 1.115
減速比 1次/2次 1.604/2.933
キャスター角(度)/トレール量(mm) 25°00´/100
タイヤ 前 120/70ZR17M/C (58W) 後 190/55ZR17M/C (75W)
ブレーキ形式 前 油圧式ダブルディスク 後 油圧式ディスク
懸架方式 前 テレスコピック式(倒立サス) 後 スイングアーム式(プロアーム)
フレーム形式 ダイヤモンド

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