三菱電機:「火花がほとんどでないファイバーレーザー溶接技術」を開発
MotorFan / 2018年5月20日 9時5分
三菱電機は、100%子会社である多田電機と共同で「火花がほとんどでないファイバーレーザー溶接技術」を開発した。ファイバーレーザー溶接の不良や溶接速度低下の原因となる溶けた金属(溶融金属)が火花状態で飛び散る量(飛散量)を95%以上削減し、鉄鋼、自動車や電気機器など高出力のファイバーレーザー溶接を行う製造現場での溶接品質と生産性の向上に貢献する。
レーザー溶接機には、従来はCO2レーザーが採用されていたが、近年は消費電力が低くビーム取り扱いが容易なファイバーレーザーの採用が多くなっている。これまでのファイバーレーザー溶接は、溶融金属の飛散量の多さにより発生する接合部表面のくぼみや飛散物の固着を原因とした製品不良と、飛散を抑制するために溶接速度を遅く設定せざるを得ないことによる生産性の低下が課題だった。三菱電機は今回、多田電機と共同で、10kWの高出力ファイバーレーザーを用いた溶接時において、溶融金属の飛散量を95%以上削減できる「火花がほとんどでないファイバーレーザー溶接技術」を開発した。これにより、さまざまな製造現場での溶接品質と生産性の向上に貢献する。
■1.強弱ふたつのレーザー光照射で溶融金属の飛散量を95%以上削減、溶接品質を向上
レーザー溶接では、レーザー光を集光して照射した部分の金属が瞬時に溶融し、深い溶け込み孔と周辺の溶融金属溜りが形成される。レーザー出力が高くなると、溶け込み深さは大きくなるが、溶融金属の飛散量は増加する。また、溶接速度が速くなっても、溶融金属の飛散量は増加する。
今回、10,000件を超えるさまざまな溶接条件下で金属の溶融状況を高速度カメラで詳細に観察した結果、強いレーザー光の照射により金属を深く溶かしている部分の周囲に弱いレーザー光を照射すると、溶融金属の飛散を大幅に抑制できることが分かった。これを踏まえ、レーザー光を伝送する光ファイバーの出口に設置した集光光学系に独自の工夫をすることで、強いレーザー光の周囲に弱いレーザー光を同時発生させることに成功(図2)。この結果、10kWの高出力ファイバーレーザーを用いて従来と同一速度で溶接した場合、溶融金属飛散量を95%以上削減できた(図3)。
■2.溶接の標準速度を2倍に高速化し、生産性の向上に貢献
従来のファイバーレーザー溶接には、一定の溶接速度を越えると溶融金属の飛散量が急激に増加する特性がある。溶接品質を確保するためには溶融金属の飛散量が少ない状態を維持する必要があり、溶接速度を遅くせざるを得なかった。
今回の開発技術では、溶接速度を上げても溶融金属の飛散量がほとんど増加しないため、ファイバーレーザー出力の限界近くまで高速化が可能。例えば、厚さ4.5mmのSPHC(熱間圧延材)を使用した溶接試験では、従来比2倍の高速化を実現した(図3)。
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