トヨタ車体:木から始まる自動車部品 [人とくるまのテクノロジー展2018横浜]
MotorFan / 2018年5月25日 14時25分
環境に与える負荷を減らす取組みは数多く見られたが、ここでは間伐材や古紙・段ボールをパーツ製造に活かしてしまう珍しい取組みをご紹介しよう。 ●TEXT&PHOTO:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)
1936年に豊田自動織機製作所が自動車生産のために建設した自動車組立工場を前身とするトヨタ車体。現在はトヨタの子会社として、企画・開発から生産までトータルに手がける完成車両メーカーとして活躍している。そんな同社だが「木から始まる自動車部品」をテーマとして、サイズに応じて3つの製法の可能性を提示していた。
最も大きな素材は間伐材。それを利用して製造する材料が「タブウッド」で、2012年より実用化されている。杉の間伐材を線維化してPPを混練することでタブウッドを製造。それを射出することで自動車用パーツを製造する。フォグランプブラケットやワイヤーハーネスプロテクターなどとして製品化されている。岐阜プラスチック工業の技術により真空成形できることが判明しており、ハニカムボードとして成形すればラゲッジボードになどにも適用できる可能性が見えてきている。間伐材の有効利用による脱化石燃料化に向けた取組みという観点だけでなく、低コストと軽量化をも実現する優れものだ。
より小さなμm単位の素材を対象にした取組みも行われている。それが古紙や段ボールといったリサイクル材料をベースにした吸音材の開発だ。吸音パルプモールドとして成形して、天井裏・カーペット下・ホイールハウス周りへの適用が検討されている。
そして最小サイズnm単位の材料を対象にした取組みが、セルロースナノファイバーを補強繊維にした複合材料の開発だ。水にも浮く軽さながらもガラス繊維補強樹脂に匹敵する強度が出ており、現在スチールが用いられているパーツを置き換えることができる。製品化に向けて既に動き出している、今注目の複合材料である。
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