カーボンでスプリングを仕立てる [人とくるまのテクノロジー展2018横浜]
MotorFan / 2018年5月28日 12時45分
軽量化を追求した新素材の懸架ばねやEV/HEV向けのモーターコアを中心に、次世代自動車に向けた製品を展示していたニッパツこと日本発条。ここでは同社の主力商品であるコイルばねの先行開発品をご紹介しよう。 TEXT&PHOTO:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)
神奈川県横浜市に本拠地を構えるニッパツこと日本発条は1939年創立。社名にある"発条"とは"ばね"のこと。創業以来ばねを事業の中心に据えつつ、現在では情報通信分野や産業・生活分野に向けても、多様な製品を供給している。なかでも特に強いのは自動車分野。クルマの操縦安定性と快適性を左右する「懸架ばね」は世界一を誇る。
そんな同社が最も目立つ通路側に展示していたのは、看板商品である懸架ばね関連製品。ここでは"CFRPコイルばね" "中空コイルばね" "従来品"の3点の比較展示の様子をご紹介しよう。
最注目はCFRPコイルばね。高強度CFRP線材の開発により、世界最軽量と耐久性との両立を狙った先行開発品である。持ち比べが可能な展示品であったため従来品と比較した。驚異的な軽量化を体感したのだが、展示ボードには明確に数値が示されており、なんと従来品の2.62kgから1.18kgへと、50%を遥かに超える軽量化を実現する。
もう一点の先行開発品である中空コイルばねは、高強度中空材の開発により、従来品からの軽量と耐久性との両立を狙っている。重量は2.62kgから2.04kgへと軽量化されるという。
軽量化を実現する両コイルばねが装備されれば、燃費やステアリングフィール、それに乗り心地など、多くの面で良い影響を与えるに違いない。ところが残念なことに、現在のところ量産化には至っていない。ニッパツによると、その理由は材料費にあるとのこと。まずはスポーツモデルや上級車への採用に期待したい。
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