CBらしからぬ、その革新的な進化に惚れた。CB1000R試乗/ホンダ
MotorFan / 2018年6月7日 18時25分
CB1000Rは「公道を最大限に楽しむ」ことをコンセプトにCBとは何かを再定義したニューモデルだ。これまで「威風堂々」の伝統を連綿と受け継いできたCBシリーズの流れを大胆に変えた新世代のCBとはいかなるものなのか。CB1300SFとの比較も交え、検証してみたい。 REPORT●ケニー佐川(SAGAWA Kentaro) PHOTO●山家健一(YANBE Kenichi)
ホンダCB1000R……1,636,200円
CBという幻想
CB1000Rの実車を初めて見たとき、正直なところそのスタイルに違和感を覚えた。自分の中で勝手に作り上げていた「CBらしさ」と異なっていたからだ。というのも、個人的にCB1300SFを長年乗り続けてきたこともあり、それ以前もCB750やCB1000SFなどを含め公私ともに関わる機会が多かったことも影響していると思う。つまり、従来のCBが大好きだったのだ。特に40~50代以降の世代は、同じような感情を持つ人が多いと思う。
人間、今までに見たことがないモノやコトに触れると拒否反応を示すものだ。それは好奇心の裏返しだったりするのだが、ともかくすべてが「新しい」と感じたと同時にちょっと妬ましい気もしたのだ。それほど新型CBはよくできていた。
俊敏にしてスマートな走り
太陽の彩を表現したというキラキラと光る赤色のタンクにまず目がいく。そこを中心とした末広がりの台形プロポーションは、鍛えられたアスリートのような筋肉質な力強さとともに貴婦人のように上品な艶やかさを併せ持っている。その意味でちょっと中性的な雰囲気もある。今風に例えるなら、CB1300SFがゴリマッチョとするとCB1000Rは細マッチョな感じか。
先代CB1000RRがベースのパワフルな水冷直4エンジンを、新設計モノバックボーンフレームの軽量コンパクトな車体に搭載した新型CBのポテンシャルの高さは想像するに難くない。その走りはリニアにして軽快、俊敏にしてスマートだ。エンジンの回転フィールはホンダらしい緻密さで、当然ストリート向けに低中速トルクが充実していて扱いやすいが、スロットルを開ければリッターSS譲りの凶暴なほどのパワフルさが顔を出す。
高級グルメのような上質なもてなし
ただ、ひと昔前のSSと違うのは最新電子制御でサポートされている点。標準搭載されている「スタンダード」「スポーツ」「レイン」の3種類の走行モードは、それぞれ出力特性やABSとトラコンの介入度、エンジンブレーキの効き具合までもデフォルトで設定され、走行中でもボタンひとつで簡単に切り替えることができる。つまり、その日の気分や体調で選べるコース料理が予め用意されているようなイメージだ。加えて「ユーザー」モードがあり、アラカルト料理よろしく出力特性や電子デバイスの介入度を自分好みのセッティングに仕上げることも可能だ。
さらに、シフトダウン時に自動的にエンジン回転数を少し上げてスムーズに変速してくれるオートブリッバー機能搭載のクイックシフターや、過度なエンブレを緩和しつつ姿勢を安定させるアシスト&スリッパ―クラッチなど、至れり尽くせりの言わば“電子のソムリエ”が寄り添ってくれている。そして極めつけはサウンド。インテークダクトから吸い込まれるヒューンという透明感のある吸気音とともに、図太くワイルドかつメローな直4のエキゾーストノートが共鳴する。耳に心地よく響くように計算してサウンドチューニングされているそうだが、まさに高級グルメの味を引き立てる生演奏のようだ。
エンジンの見せ方やヘッドライトまわりなど細部の作りのグレード感といい、まさに大人のためのCBと言える仕立ての良さも魅力になっている。
CB1300SFと比べてみると……
さて、ここで個人的にも思い入れが深かったCB1300SFと新型CB1000Rをあらためて比べてみたい。
まずはスペックだが、新世代となるCB1000Rは最高出力145psで車重は212㎏、ホイールベースは1455mmであるのに対し、キング・オブ・ネイキッドと呼ばれたCB1300SFは同じく110psと268㎏、1520mmと明らかに車体は大きく重く、逆にパワーでは劣っている。運動性能で言えば新型CBのほうが圧倒的に有利であることは言うまでもない。
ただ、旧CBも負けてばかりではない。CB1300SFの最大トルクは12.0㎏mで、CB1000Rの10.6kgmを上回っていて、しかもより低回転で発生する。極低速域でも粘る出力特性とハンドル切れ角の大きさを生かしてUターンも得意だ。ゴリゴリした骨太なエンジンフィールや大型バイクらしいドッシリとした乗り味は1300ならではの美点だ。スタイリングに関しても、かつてない前衛的な造形美に挑んだCB1000Rに対し、CB1300SFの姿は日本人ライダーのDNAに染み込んだバイクそのもののカタチであり、安心感をもたらしてくれるものだ。
その日の気分によって食べたいものが変わるように、乗りたいバイクも変わって当然と思う。洒落たレストランで気の利いたコース料理をいただくのもいいが、たまにはガッツリとんかつ定食も食べてみたくなる。バイクの場合、日替わりというわけにはいかないが、個性的なCBがまた新たなファミリーとして加わったことは嬉しい限りである。選ぶのは貴方なわけだから。
主要諸元
通称名 CB1000R
車名・型式 ホンダ・2BL-SC80
全長×全幅×全高 (mm) 2,120×790×1,090
軸距 (mm) 1,455
最低地上高 (mm) 138
シート高 (mm) 830
車両重量 (kg) 212
乗車定員 (人) 2
最小回転半径 (m) 3.0
エンジン型式・種類 SC80E・水冷 4ストローク DOHC 4バルブ 直列4気筒
総排気量 (cm3) 998
内径×行程 (mm) 75.0×56.5
圧縮比 11.6
最高出力 (kW[PS]/rpm) 107[145]/10,500
最大トルク (N・m[kgf・m]/rpm) 104[10.6]/8,250
燃料消費率
(km/L) 国土交通省届出値 定地燃費値(km/h) 22.5(60)<2名乗車時>
WMTCモード値 (クラス)※6 16.7(クラス3-2)<1名乗車時>
燃料供給装置形式 電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)>
始動方式 セルフ式
点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L) 16
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比 1速 2.538
2速 1.941
3速 1.578
4速 1.363
5速 1.217
6速 1.115
減速比 1次/2次 1.604/2.933
キャスター角(度)/トレール量(mm) 25°00´/100
タイヤ 前 120/70ZR17M/C (58W) 後 190/55ZR17M/C (75W)
ブレーキ形式 前 油圧式ダブルディスク 後 油圧式ディスク
懸架方式 前 テレスコピック式(倒立サス) 後 スイングアーム式(プロアーム)
フレーム形式 ダイヤモンド
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
バイクの電脳「ECU」は、やることがテンコ盛り!?
バイクのニュース / 2024年12月13日 11時10分
-
スポーツネイキッドの王道か「7kg」の軽さか? 100万円で買える大型バイク、スズキ『SV650』とホンダ『CL500』を乗り比べてみた
レスポンス / 2024年12月11日 12時0分
-
スバルから新型の「クロストレック」e-BOXER(ストロングハイブリッド)
マイナビニュース / 2024年12月5日 19時41分
-
国産50ccバイクが終了!? ということで最速の50ccマシンを振り返ってみた
&GP / 2024年12月1日 7時0分
-
ホンダの現行・歴代スポーツカー12選! シビックRSやプレリュードなど新型モデルも紹介
MōTA / 2024年11月27日 18時0分
ランキング
-
1トースターでお餅を焼くと中がかたいまま…上手に焼くコツをタイガーが伝授!「予熱」より「余熱」がおすすめ
まいどなニュース / 2024年12月25日 17時45分
-
22024年に取ってよかったと思う資格ランキング、1位は? - 2位簿記、3位TOEIC
マイナビニュース / 2024年12月27日 9時39分
-
3えっ…私の血、すごすぎ!? 献血したら赤十字社から驚きのお願いが 2000人に1人の「たいへん貴重」な血液だと判明→何がすごかった?
まいどなニュース / 2024年12月26日 6時50分
-
4「盗んだハイヒールを肛門に挿れて…」やめられない性衝動、依存症専門医が語るどぎつい症例と患者の結末
集英社オンライン / 2024年12月27日 14時0分
-
5【お歳暮の正解・不正解】贈ってはいけないもの、知ってる?必ず喜ばれるセンスのいい選び方のコツ!
HALMEK up / 2024年12月27日 13時56分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください