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第3回『よろしく! スズキ・ジムニーシエラ』それほど待ちに待たなかった納車の日・たった5分の納車レクチャー

MotorFan / 2018年6月19日 7時0分

第3回『よろしく! スズキ・ジムニーシエラ』それほど待ちに待たなかった納車の日・たった5分の納車レクチャー

クルマなんか気長に待てばいい・・・という持論に任せ、 契約しっぱなしでいたジムニーシエラだったが、 いつまでもお店に置かせてしまうのも心苦しい。 さてと、いよいよ引き取りに向かうことにしますか! TEXT & PHOTO●山口尚志(Yamaguchi Hisashi)

■のんびり待ったジムニーシエラ

 
 1月末の契約から1か月ちょいを経た2018年3月4日13:00。

 いよいよ納車である。
 
 天気の良い日曜日。

 ボディ傷の有無など外観その他、明るい日差しの下で確認できるから納車日和だ。

 2月20日あたりに「納車準備OK」の報を受けてはいたが、そのままほったらかしにしていたのは、冒頭リード文で述べたとおり、ふだんからクルマなんか気長に待てばいいと思っていて、お店にも「別に急ぎもしないので納車はいつでもいい」と伝えてあったからだ。

 もうひとつ、「歴代ハイエースすべて」の準備に向かっている最中で、時間が確保しにくかったという事情もある。

 発売は3月26日だったので、もし他の出版社の人がこの連載を読んだら
「発売が3月なのに、2月の時点で時間が作りにくいとは、たかだか80ページの本にどれだけ時間をかけてるんだ、こいつは」
と思うことだろう。

 明かしてしまうと、この時点ので発売予定は2月末だったのが、この少し後に、大人の事情ではない事情で、発売が1か月延びたのである。

 閑話休題。


 実は下取り車はティーダではなく、母親が使っていた2003年型ホンダフィット。

 ある時期にメーカーオプションのDVDナビが壊れたまま15年を迎えたため、車検を受けずにクルマを買いかえるといっていたのだが、「いっそナビがまだ使えるし、フィットを下取りに出して、車検が1年残っているティーダをここで使ったら」ということになったのだ。

 したがって、以後のジムニーシエラのレポートは、項目によっては、まだうちで現役にあるティーダとの比較ずくでお届けすることにする。

 第2回で触れたレックス、パルサー、ブルーバードも引き合いに出すかもしれない。

 たまにはカテゴリー違いの比較レポートがあってもいいでしょう。


下取り車となった母親の2003年式フィット。2001年「思いたったが吉日生活。」のキャッチと、前席下に配したセンタータンクレイアウトで、お世辞ではなく外観からは予想もつかない広大な空間と、アイデアいっぱいのリヤシートアレンジで大ヒットした。1960年代ならN360、70年代は初代シビック、80年代が初代シティ、90年代は初代オデッセイ、2000年代ならこの初代フィット・・・ホンダには西暦による10年ごとの初代型ヒット作が必ずある。2010年代ならN-BOXになるだろうか。
最後の降車直前に、記録としてフィットの積算距離をスマートホンで撮影しておく。15年間の総走行距離、97,560km。いかにも群馬県在住の主婦的な距離である。
そして運転席から、オーナーを犬のように待つシエラを写す。

 お店に入ってもろもろの手続きを終えたあと、実車を前に車両説明を受ける。

 それにしてもこのジムニーシエラ。

 登場時期がティーダの2004年よりさらに6年前の1998年だけに、あらゆる個所が前時代的だ。

 だからセールス氏の説明項目が少ない。

 同じスズキ車でも、最新モデルのクロスビーなら自動ブレーキや車線逸脱警報、自動ハイビームといった最新安全デバイス、ハイブリッドや現代的4駆システムの説明に、何だかんだで40~50分は費やすのだろうが、シエラときたらそういった先進機構は一切なく、説明はせいぜいパートタイム4WDのボタンと横滑り防止装置の使用法ぐらいにとどまる。

「・・・これだけです。」
の言葉を最後に、5分で終わった。

 いよいよシエラ引取り。

 「よろしく! ジムニーシエラ」の瞬間である。

 太陽の光を受けたボディの輝きがまぶしい。

 ナンバープレートも真っ白だ。

 いい忘れていたが、勤め先が三栄書房であることから東京に身を置いているものの、クルマの購入はいつも実家のある群馬でと決めている。

「いつも」といっても、東京に出てきてからなら今回でたった2回目だが、種々の都合上、私にとってはそのほうがいいのだ。

 よってナンバープレートは「前橋」だ。

 ティーダまで「群馬」で走ってきた私にとっては違和感がある。

 さて、フィットとの別れはさびしい。

 自分の勝手で下取り扱いになったわけで、後ろめたさがある。

「代車として使うのか、オークションにまわすのかは決まっていないが、すぐにスクラップにすることはない」という言葉に救われながら、フィットのボンネットをなでなで、「ありがとね、さようなら。」と小声で別れを告げる。

 座面が高めの運転席に乗りこみ、販社を後にする。

 動かす前に、これまた引き取り時の記録としてメーター距離計の写真を撮っておく。

 普通の人ならこのままウキウキとどこかへドライブに繰り出すところだが、どっこい、すぐうちに帰ってしまうのが、私の冷静というか、しらけたところだ。

 どうせこのあと東京に向け、夜の国道17号を約100キロ、いやでも飛ばすことになるのだ。

新車なのに早くも積算距離計が「51km」を示しているのは、このクルマが生産ラインの最終工程で抜き打ちの念入りな検査を行った車両だからだ。つまりラッキーだったのだ。お、燃料計を見ると、頼んでもいないのにガソリンが半分入っている。サービスしてくれたのだろうか。あとできちんとお礼をいっておかなければ!

■ジムニーシエラがやってきた

 
 納車されたシエラがこちらである。

これは東京に戻ってからの写真。自前のクルマをテーマに、自分の会社のインターネット用に記事を書くなど思ってもいないので、納車当日に写真など撮っていなかったのだ。ティーダの車幅1695mmに対し、こちらシエラは1600mm。たった100mm弱せまくなっただけで、車庫入れの感覚がずいぶん変わった。右にハリアー、左にエスティマという3ナンバー勢に挟まれる身に、幅狭ボディは実にふさわしい。

 軽ジムニーより前後バンパーの突き出し量を増やし、前後タイヤトレッド(左右のタイヤ中心間距離)の90mm拡大に伴ってオーバーフェンダー化。

 軽ジムニーと同じボディに大型化したバンパー、樹脂パーツを追加しただけなのに、ボディそのものの20~30mmワイド化を錯覚するほど、外観の印象はずいぶん異なる。
 
 色は3色の中から白を選んだ。メタリックではない、ソリッドの「スペリアホワイト」である。

 自前でのタッチアップ補修がたぶん楽なのと、なぜかクルマは白がいちばんすっきりしていていいという持論からの選択だ。 

 正確にはボディ下がシルバーとなる2トーンの「スペリアホワイト/シルキーシルバーメタリック」で、他の2色に、濃いブルーと組み合わせた「ノクターンブルーパール/シルキーシルバーメタリック」、下半身のシルバーを全体に塗り広げた、ただの「シルキーシルバーメタリック」がある。

 白を選んだ理由はもうひとつあって、このカラーリングのボディは、よく晴れた青い空の下、雪に覆われた高原やスキー場など、太陽光を全面に受けてキラキラと輝く雪景色にこそふさわしいと認めたからだ。

 そんなシチュエーションにこのシエラを置いたら、さぞ魅力的に映ることだろう。

 次の冬には苗場あたりに行ってやろうと思っている。

 冬のスノーフィールドが似合うのは、何も広瀬香美の歌だけではないのだ。

後ろにまわってリヤビュー。新車ではあるが新型車ではないので、いまさら挙げるべき特徴点は見当たらない。横開きのバックドアが私個人に新鮮なくらい・・・おや、どこかひとつみょうなところがありますな。答えは後述②に。

 運転席に身をしずめると、意外に奥行きがある計器盤(インストルメントパネル)の上面と、どっしりした形状のセンターコンソールに目がいく。

 このどっしり感は使っているうちに圧迫感に変わってきて、このへん、私が以前乗っていた最終パルサーを思い出させた。

 軽ジムニーに3年前に一度乗っているのに、長い奥行きもコンソールのどっしり感も忘れており、カタログ写真からもつかむことができないでいたわけだ。

いたってオーソドックスなT字型を採るレイアウト。いまどきのクルマのような、ゴチャゴチャした複雑な面や、法則性も機能もない斜めの線で構成される造形とは無縁だ。本文ではどっしり感と圧迫感と書いたが、視界や解放感の観点から、本当は計器盤の上面は低く、そして乗員側に対して低くなってくるのがいい。新型ジムニーはどうなるかな。

 内装色は黒1色だけ。

 レクサスLSやアルファードのようなサイズのクルマであろうと、その空間ボリュームは、しょせん人間が長時間過ごすには狭い。

 窓映りしないことを前提に、クルマの内装色は車室寸以上の広さ感が得やすい、明るい色が望ましいと思っている。

 そこでブルーバードではブラウン、ティーダではベージュの内装色を選び、とにかく黒を避けてきたのだが、シエラは黒1色しか用意されておらず、選択の余地がなかったのは致し方あるまい。

 私なんぞ黒1色のクルマの内装などつまらないと思っていて、2012年8月に出た現行型日産ノートの初期モデルの内装色など、カラーバリエーションが黒しかなく、安い機種も高い機種も、なんだか火事の焼け跡を見ているようでおもしろくなかった。

 このへん、好みは人それぞれで、私と同じように明るめを好む人がいれば、暗い方が「汚れが目立たなくて手入れが楽」とか「落ち着いていい」という人もいる。

 明るさと開放感を採るか、実用性を採るか。

 ジムニーも車両キャラクターからして黒基調こそが本分なのはわかっているつもりだが、選択の幅を広げる意味で、新型では明るい内装色も用意されれば、新たなユーザー層を獲得できるのではないかと思う。

運転席ドアから。カタログでは薄っぺらく見えたシートだが、実物はなかなか厚みがある。厚みといえば、シートとは逆に、左右ドアは薄っぺら。ボディ自体は軽ジムニーと同じだから仕方ないところだ。

■雑誌に載らない、ディーラーオプション公開

 
 さて、世のジムニーオーナーは、リフトアップやら、いかついタイヤやらで、外観をド派手に仕立てあげて楽しんでいるようだが、当方、もっかそんなお金も予定もない。

 Youtubeを見て感激したあのときの自分はどこへやら、これまでの車歴同様、いたってオーソドックスなスタイルのまま使っていく気でおり、販社オプションも最低限取り付けたにとどまる。

 

■販社オプション・地味地味平凡セレクション!

①ドアバイザー
(11,394円(消費税・取付費込み。以下同))
雨天時、わずかに窓を開けたときに雨水が入ってこないというメリットは知っていたが、「だから何だ。わずかでもサイド視界を遮るし、じゃまだこんなもん」と、もともとバカにしていた装備。父が2004年の3代目オデッセイ購入時につけていたので、どれほどのもんなのかいと試してみたら「あらま。こんないいもんだったの。」とコロリ宗旨替え。ティーダにつけ、引き続きシエラでも選択。


②スペアタイヤハウジング
(ランドベンチャー用・53,244円)
「本格4駆には興味がなかった(第2回)」頃から、街のランクルやパジェロで唯一注目していたのが背中のスペアタイヤ。みなむき出しで、不届き者のいたずらや太陽光による劣化が気がかりだったことから選んだ。雨ざらしにするのもスペアタイヤがかわいそうだ。標準ではむき出しスペアタイヤに樹脂製のハーフカバーとなる。用品カタログには安いの高いのいろいろあるが、カバー自体の劣化が少ないアルミ製の本格派を選択。既存のオプション用にはろくな柄がないから、標準型シエラにわざわざランドベンチャー・パールホワイト車用を別注文した。ヘンなイラストのない、文字だけのこいつがいちばんいい。特別仕様車専用ではあるが、黒字にサイ(?)のイラストがある用品「スペアタイヤハウジング」と価格は同じ。ボディの白とわずかに色調が違うのはカメラの故障ではなく、カバー部はパールホワイトのためだ。そこはわかっていたのだが、ために補修用タッチアップペイントがボディの2トーンと合わせ、3色必要になることについては後から気づいたのだった。


③フロアマット(21,222円)
ボディが軽ジムニーと同じならフロア形状だって同じ。当初マットも軽用の安い方を検討していたが、結局はシエラ用のフカフカ版を採った。妹の日産キューブにフカフカのマットがついていて、ひそかにうらやましく思っていたというのもある。


④ルームライト(13,770円)
由紀さおりの唄ではない。あちらの「ルーム・ライト(室内灯)」は音楽プレーヤーで聴くものだが、こちらは運転席側センターピラー上に設置して室内を照らす。あれば役立つ場面もあろうと思ってつけた割に、納車翌日から存在を忘れている。乗るときも乗っている間も降りるときも目に入っていないのだ。スイッチはON-OFF-DOORの3ポジションだが、頻繁な点消灯に不向きな蛍光灯だから「DOOR」では使いたくない。
というわけで、ほとんど使っていない。
これだけは不要だったかな。


⑤ボディコーティング
(5年保証つき・54,000円)
車名に反して白で買ったブルーバードの頃に洗車を夕方に行ったさい、落ち切れていなかった汚れに気づかずにワックスをかけてしまい、それがずっと残った。これに懲りてティーダでは5年コーティングを選んだのだが、これが効果てきめん! 通常洗車ではワックス不要。月1回の専用シャンプー洗車と1年ごとのメンテナンスを前提に、主に光沢、副次的にはっ水性を5年間維持。状態がいいのか、10年を迎えたいまもティーダは輝いている。
同じ性能を期待してシエラでも選んだ。
スズキの場合、シャンプーは市販品でよい。


 なお、ここまで読んで、
「おろ。ランドベンチャーなら専用のマットとタイヤハウジングが車両価格に含まれるのに、9万円安いからといって選んだ標準シエラにわざわざこのふたつを別につけたら、実際の価格差は9万円よりずっと縮まるじゃん。」
と思ったあなた。

 するどい。
 そのとおり。
 やかましい。
 だまらっしゃい。

 そのへん、値引きで何とかなるだろうと、承知の上で選んだ標準シエラだったのです。

 

■スズキ車の、販社オプションまめ知識

 
 私にとって、このジムニーシエラが初のスズキ車だが、それだけに初耳だったことがある。

 これまで販社オプションは、どこのメーカーも、クルマが届いた時点で販社が取り付けるものとばかり思っていたが、スズキ車の場合はオーナーの手に渡るまでにおもしろいまわり道をする。

 新車と同時購入される販社オプション品の取付作業は、例えば群馬県内で購入されるスズキ車なら、完成車を静岡の工場からいったん千葉県のモータープールに運んで行われるというのだ。

 プール拠点は全国に数か所あったと記憶するが、この作業は必ずしも地方単位・県単位での分担ではなく、関東地方の向こう側、中部地方に属する新潟県のオーナーに買われたスズキ車も千葉に集められるいっぽう、新潟県よりも千葉により近い埼玉県内からのオーダー車は静岡の拠点に向かう・・・このへんの分担は、店舗の規模によっても少しずつ変わってくるらしい。

 「ランドベンチャー」のカタログに「販売店装着品」とある特別装備「専用フロアマット」と「専用スペアタイヤハウジング」、これらは実は各プール拠点での装着だ。

 ただし、私のランドベンチャー用ハウジングは例外で、標準シエラにわざわざ仕様外の品を求めたという変則的な例だから販社取付だったが、それ以外の製品は販社到着時点で装着済み、コーティングも施工済みだったわけだ。

 

 だからといってオプションカタログの掲載品すべてが対象かというとそうでもなく、灰皿と置き換えに入れるだけの「プチポケット」や、置くだけでおしまいのトランク用マットなどは店舗で行われるし、輸送中の損傷回避で、取付は販社到着後が望ましいルーフキャリアの類も店舗作業に含まれる。
 
 新車購入後の心変わりで何か追加する場合は、さすがにすべて販社装着なので念のため。

 今回、何軒かのスズキ販社をまわったが、中には他社も同じと思っていて、用品取付をすべて販社が行うことを知らず、逆に新鮮に思うディーラーマンもいたほどだ。

 私のように、初のスズキ車を選ぶ方への、ちょっとした豆知識でした。

 というわけで、今回はここまで。

 また次回!

「販社オプション」といいながら、取付がモータープールでの作業なら、販売店のマージンがどうなるのかは聞き漏らしてしまった。左が軽ジムニーの、右がジムニーシエラのアクセサリーカタログ。

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