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10年ぶりに米国挑戦中のレーサー鹿島が、期待の若手に訊く!  「“アメリカ最高峰を目指す”ふたりの若手ドライバーの熱意とは?」

MotorFan / 2018年6月22日 9時25分

10年ぶりに米国挑戦中のレーサー鹿島が、期待の若手に訊く!  「“アメリカ最高峰を目指す”ふたりの若手ドライバーの熱意とは?」

アメリカ最高峰の「インディ500」を制した佐藤琢磨に続く日本人ドライバーは誰なのか? 現地のサーキットでは、レース関係者からこの質問を投げかけられることが多い。アメリカでトップドライバーとして活躍することを目論むふたりの若手ドライバーに、その秘めたる思いを聞いた。 TEXT●レーサー鹿島(RACER Kashima) PHOTO●服部真哉(HATTORI Shin-ya)/ MAZDA GLOBAL MX-5 CUP JAPAN

「MAZDA ROAD TO INDYの日本人第一人者になりたい!」

堤 優威

<ドライバー プロフィール> つつみ ゆうい・22歳。12歳でレーシングカートにデビューし、2013年にはカートの世界一決定戦に日本代表として出場。15年、「ロードスター・パーティレース」年間王者に。翌年、カリフォルニアで初開催された「GLOBAL MX-5 CUP 世界一決定戦(エキシビションレース)」で3位表彰台を獲得。現在、“世界につながるレース”「GLOBAL MX-5 CUP JAPAN」でランキングトップ。

-----「GLOBAL MX-5 CUP JAPAN」第2戦(6月10日)終了時点で、2連勝を挙げてシリーズランキングトップの堤選手、レースを始めたきっかけは?

堤:5歳の時、レース出場経験のあった父が、レーシングカートに乗せてくれたのが始まりです。最初の頃はモータースポーツにまったく興味がなかったのですが、週末はいつもサーキットにいるような状況で、小学4年生の頃にはレース以外のことが考えられないようになっていました。サッカーや野球も小さいころからやっていないと上には行けないので、もう自分にはこれしかないな、と。

-----その後、順調にステップを踏んできましたね?

堤:2013年にレーシングカートの日本一決定戦「ROTAX MAXフェスティバル」で優勝し、アメリカで行われた世界一決定戦に日本代表として出場しました。翌年は「スーパーFJ」というフォーミュラの登竜門クラスに参戦しましたが、資金的な厳しさもあって上のクラスのフォーミュラへの参戦が難しいなか「ロードスター・パーティレース」でチャンピオンを獲得することができて、翌年、カリフォルニア州のラグナ・セカで開催された「GLOBAL MX-5 CUP」の世界一決定戦(エキシビションレース)へマツダから招待していただき、3位表彰台に上ることができました。



-----二度のアメリカ挑戦で感じたことは?

堤:まずは、なんといっても観客の多さがあります。国民や国全体のレースに対する気持ちが違っていて、日本の野球やサッカーのように人気で、そこで勝つとスターになれます。レースへの取り組みという部分では、チームがまるでファミリーのようなムードで団結力が凄いなと感じました。

-----今季、私は「GLOBAL MX-5 CUP」米国シリーズで、堤選手が表彰台を獲得したコープランド・モータースポーツで走っていますが、いつも「ユウイはどうだ?」と聞かれますよ。

堤:覚えてくれているんですね! チームの雰囲気が良くて優しくて、英語がそれほど話せない僕にも丁寧に接してくれました。今後、アメリカで活動するようになったら、また一緒に仕事をしたいですね。レースの世界では結果を出すだけではなくて、コミュニケーションも大事だと思っています。

-----今季の目標は?
堤:一昨年、非常にレベルの高い世界一決定戦 では3位表彰台に上ることができて、アメリカ のレース関係者にもアピールができたと思って いますが、今年は日本シリーズのチャンピオン を獲って、リベンジしたいですね。そして、マツダのドライバー育成システム「MAZDA ROAD TO INDY」の日本人の第一人者になって佐藤琢磨選手に続きたいです!


「GLOBAL MX-5 CUP JAPANで、アメリカンドリームを!」

吉田 綜一郎

<ドライバー プロフィール> よしだ そういちろう・21歳。レンタルカートレースを経て、18歳で「N-ONE OWNER’S CUP」に参戦し、2016年にシリーズチャンピオンを獲得。“世界につながるレース”「GLOBAL MX-5 CUP JAPAN」では昨年、2勝を挙げてシリーズ3位、惜しくも「世界一決定戦」の出場権を逃す。今季は新チーム体制でチャンピオンを目指し奮闘中。

-----吉田選手とサーキットで初めて会ったのはかなり前でしたね?

吉田:そうですね、弟ふたりと三兄弟が揃ってレンタルカートで走っていた6年前、15歳の頃だったと思います。僕は小さいころからレーシングカートを所有しないで、レンタルカートばかりで走ってきました。それほど裕福な家ではなかったこともあって、普通の10代の若手ドライバーであればフォーミュラカーにステップアップしたいと考えるところ、18歳で免許を取ったのをきっかけに、「N-ONE OWNER’S CUP」(軽自動車のワンメイクレース)に参戦、そこから上を目指そうと考えました。

-----レンタルカート出身のレーサーは珍しいのでは?

吉田:レンタルカートは、カートのゼッケンごとのベストタイムを掲示しているところも多いので、それぞれのトップタイムを目標にすることで、マシンの性能差を気にすることなく本当に速いのは誰かが分かるのが魅力でした。これは全員が同じ性能のレースカー、イコールコンディションで戦う「GLOBAL MX-5 CUP」でも役に立っています。



-----「N-ONE OWNER’S CUP」のチャンピオンを獲得し、「GLOBAL MX-5 CUP JAPAN」にステップアップ、昨年は2勝を挙げてシリーズ3位。勝つために心がけていることは?

吉田:トレーニングはもちろんですが、毎日、常にレースのことしか考えていません。朝起きたら、あのサーキットのあそこのコーナーはどう攻めようか? から始まって、家族との会話もすべてレースのことばかりです。父は、僕が物心ついた頃にはクルマ屋をやっていて、自然にクルマが好きになりました。ただ、父は、できることならお金がかかるレースはやってほしくないと思い、あえて電車のオモチャを与えたりしていたようですが、結局、こうなりました。でも、いまは父も母もレースのことならすべて許してくれて、「絶対に世界で活躍するプロドライバーになれ!」と強く言われています。ちなみに、寝る時には、あのドライバーとはバトルはこうすれば勝てるかな? などと考えています(笑)。

-----「世界一決定戦」の舞台、アメリカへの思いは?

僕の夢は、アメリカのふたつの最高峰レース、「インディカー」か「NASCAR」に出場することなので、先日、「NASCAR」のチームが集結する聖地、ノースカロナイナ州のシャーロットへ行って「NASCAR」のレースを勉強してきました。小学生の頃、映画「カーズ」を観て、アメリカにこんな面白いレースの世界があることを知ったことがキッカケだったのですが、アメリカのレースに出たいというモチベーションがさらに上がりました。「GLOBAL MX-5 CUP JAPAN」は、アメリカにつながるシリーズということで参戦させてもらっていますが、ちょっとずつアメリカに近づいている実感があります! 将来的にはシャーロットに住んでアメリカンドリームを実現したいと考えています。


インタビューを終えて・・・

 ふたりが収録スタジオに登場した際には、レーシングドライバーにしては優しくて大人しそうな印象を受けましたが、お話しを聞いてみると、内に秘めたる闘志、実力で“世界”へ飛び立という強い意志に圧倒されました。背景やアプローチは異なりますが、ふたりの若手ドライバーには明確なビジョンとモチベーションがありました。「GLOBAL MX-5 CUP JAPAN」のチャンピオンを獲得し、フロリダ州で開催される「世界一決定戦」への切符を手にするための最大のファクターは、彼らの心の強さであると感じました。残すところ3レース、情熱と情熱のぶつかり合いに注目しましょう。

レーサー鹿島

<プロフィール> レーシングカート、「全日本F3」などを経て、2000年代には米国「インディライツ」に参戦、今季は「GLOBAL MX-5 CUP」米国シリーズに参戦中。“世界”への挑戦経験をいかし、独自の時点でマツダのドライバー育成システムを取材している。FMラジオ「ドライバーズ・ミーティング」は20年目を迎えた。

「MAZDA GLOBAL MX-5 CUP」とは?


 マツダが米国で展開するふたつのトップドライバー育成システム、「インディカー」を目指す「MAZDA ROAD TO INDY」とスポーツカー耐久レース「IMSA」を頂点とする「MAZDA ROAD TO 24」の重要な登竜門として日米で開催。日本シリーズを制したドライバーには「世界一決定戦」の出場資格が与えられ、“世界”に通じる道が開かれることが最大の魅力。

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