ホンダNSXのメカニズムを徹底解説!

MotorFan / 2018年7月7日 7時0分

ホンダNSXのメカニズムを徹底解説!

500㎰オーバーのV6ツインターボエンジンとモーターが後輪を駆動し、 独立したふたつの専用モーターで、前輪がアシストだけでなく 緻密なトルクベクタリングも行なう新型NSX。 スーパースポーツに相応しい3モーターの独自のハイブリッドシステムが、 世界第一級の運動性能をホンダのフラッグシップに与えた。

V6ツインターボを極限まで低く搭載

バッテリーやハイブリッド制御系を車体中央に配置。エンジンはドライサンプ化により、一般的なウェットサンプに比べて約60㎜低く搭載するなど、マスの集中を徹底したレイアウトとなっている。前後重量配分は42対58だ。

パッケージの主なねらい
・低重心・コンパクト設計
・重量物を重心位置に集中化
・狙いの前後重量配分
・オーバーハングの短縮

強固な骨格をイメージ

ダッシュボード中央のガーニッシュに強固な骨格をイメージさせる意匠を採用しているのは、しっかりとしたスペースフレームを想像させる。コックピットのデザインテ ーマは「守られ感」にある。

専用の形状が与えられたステアリング

グリップ部分の断面は手に吸い付くようなグリップ感がテーマ。パドルシフトの配置と合わせて、9時15分、10時10分いずれの握り方でも自然にスポーツドライビングを味わえる形状とした。

サーキット走行を考慮した視界の確保

盛り上がったフロントフェンダーは、タイヤ位置を把握しやすくするための工夫という面もある。ドアミラーステーを細くしたことで横方向の視界を確保、コーナーをギリギリで攻めやすい。

圧迫感のない視界は初代からの伝統

スーパースポーツだからこそ視界を確保することが重要ということを示した初代NSXの伝統を受け継ぐ。細いAピラーや異型ステアリングなどにより、そのスタイルから想像できないほど広い視界を確保した。

ダウンフォースと冷却性能をバランス

エキゾチックなスタイリングは、冷却性能と空力性能の両方を追求した理詰めで生まれたデザイン。「トータル・エアフロー・マネージメント」の象徴、サイドインテークに続くフローティングリヤピラーは優れた整流効果を発揮する。

実用性の確保もNSXの伝統

さすがに初代モデルのようにゴルフバッグは載らないが、スーパースポーツとしては十分に実用性を感じさせるトランクを確保する。2人の小旅行であれば満足できるスペースといえよう。

軽さを目指した適材適所

3次元熱間曲げ焼き入れ超高張力鋼管によるフロントピラー以外は、アルミ部材を使用したスペースフレーム。そのアルミにしてもプレス加工や押出成形など適材適所で素材や製法を使い分けている。

カーボン、アルミ、樹脂を使ったアウターパネル

スペースフレーム形式の新型NSXにおいて、アウターパネルは応力を受けない純粋なカウルとなる。その素材はアルミや樹脂にとどまらずカーボンファイバーもルーフパネル等に積極的に用いて、軽さを追求する。

砂型に水をかけて高速冷却

サスペンションの取り付け部分に採用されている「アブレーション鋳造」は、砂型に流し込んだ上から水により急速に冷やすことで素材密度を上げる技術。NSXが量産四輪車で初採用だ。

優れたエネルギー吸収性能

アブレーション鋳造アルミ部材の採用理由は前後の衝突時におけるエネルギー吸収性能のため。とくにリヤは210kNの荷重に耐える設計で、後突時のパワーユニット前方移動を低減する。

マイナスリフトを実現したフォルム

目立ったエアロパーツは使わず、ボディ設計でマイナスリフトを発生させる。ホンダのムービングベルト式実車風洞を活用し、マイナスリフトの前後アクスルへの的確な配分を実現した。

新設計された3.5ℓV6ツインターボ

型式名「JNC」。NSXのために新設計されたこのV6ツインターボは、ホンダの歴代V6エンジンとはまったく異なる完全新設計のユニット。最大ブーストは105kPa、レブリミットは7500rpmとなっている。



目標パワーを達成するため縦置きに

初期のコンセプトモデルでは横置きエンジンだったが、500㎰以上の最高出力を目指したことにより、トランスミッションの容量も含めて縦置きへと大きく設計変更されている。

低重心とレイアウトの関係から導かれたバンク角

ドライサンプによる低重心設計となっているが、さらにバンク角を定石の60度より広げた75度にすることで、より重心を下げる効果を狙った。ちなみに吸排気バルブの挟み角は30度となる。

耐摩耗性に優れたプラズマ溶射シリンダー

アルミブロックのシリンダー内壁部分に施された「プラズマ溶射」は溶解した鉄粉を超音速で内壁に噴霧することで極薄の鉄粒子膜を生成する技術。耐摩耗性と熱伝導率を向上させる効果がある。

筒内直接噴射&ポート噴射

10.0というターボエンジンとしては比較的高めの圧縮比には、直噴によるノッキング抑制が効いている。ポートにセットされたインジェクターは高回転域で追加的に使われている。

冷却系はフロントに集中配置

インタークーラーとミッションオイルクーラー以外の冷却系はフロントにぎっしりと効率的に配置。300㎞/hオーバーでも問題なく冷やし、またリフトを抑えるエアフロー管理が行なわれている。

3種類のボルトで回転バランスを調整

エンジンは単体のベンチ試験後に回転バランスを調整している。フライホイール側は3種類のバランス用ボルトにより、クランクプーリー側はボルトの取り付け位置により回転バランスを適正化する

電動ウェイストゲートターボチャージャー

左右それぞれにシングルスクロールのターボチャージャーをセット。過給圧制御の自由度が高い電動ウェイストゲートを採用することでレスポンスの向上を狙っている。

モーターがターボラグを解消する

クランクシャフトに直結されたリヤの駆動モーター。適切なアシストによりターボラグを感じさせないエンジントルク特性に貢献する。またエンジンスターターも兼ねている。

重心バランスを考慮したハイブリッドシステムの配置

リチウムイオン電池などで構成されるIPUはシート後方に、3つのインバーターを内蔵するPDUはセンターコンソール下に配置。いずれも低重心化を優先したレイアウトだ。

モーターのダイレクト水冷システムを採用

熱による磁気特性の変化で性能が落ちてしまうモーター。後輪用には新たにダイレクト水冷システムを採用することでサーキット走行などの限界領域でも安定したパフォーマンスを約束する。

200㎞/hまで駆動をアシスト

フロントのTMU(ツインモーターユニット)は、左右独立モーターをワンウェイクラッチでつないだレイアウト。許容回転は15000rpm、200㎞/hまで駆動をアシストする。

27kWのフロントモーター

片側27kW(37㎰)の駆動モーターを車体中心に配置。ドライブシャフトを介してフロントタイヤを駆動する。冷却やバネ下重量の関係から、インホイールより有利なレイアウトだ。


トルクを増幅させるプラネタリーギヤ

ダブルピニオンタイプのプラネタリーギヤを使い、フロントモーターのトルクを増幅。減速時にはリングギヤを固定、タイヤからの反力でモーターを回転させエネルギーを回生する。

フロントのヨーモーメント制御

ブレーキ制御によるアジャイルハンドリングアシストにより鋭くターンイン、コーナー後半ではフロントのTMUを使ったトルクベクタリングで旋回力を高めるのがNSXのコーナリングでの制御だ。

縦置きツインターボエンジンと3つのモーターを組み合わせた、スーパースポーツに相応しい新型NSXのパワートレーンを開発した本田技術研究所のエンジニアの皆さん。

伝統の平行軸式トランスミッション

専用に開発された9速デュアルクラッチトランスミッションは、ギヤセットを効率的に配置することでコンパクトな筐体を実現し、慣性マスを低減。平行軸式を基本としたギヤ配置は、ホンダ独自のATで長く培ってきた技術の応用だ

2~8速がクロスしたギヤ比に設定

1速は発進用、9速はクルージング用に設定。2~8速をクロスさせてパワーピークゾーンを維持、スポーティな走りを楽しむことを優先したギヤ比となっている。

吸排気サウンドをコントロール

吸気系の途中に小型バルブを配した「インテークサウンド・コントロールシステム」と、サイレンサー部分にバルブを用いた「アクティブ・エキゾーストバルブシステム」でコックピットに届く吸排気音を心地良いものに調律する。

ダブルウイッシュボーン式フロントサスペンション

ハブキャリアやサスアームなどはオールアルミ製のフロントサスペンション。ストラットアッシーは、ドライブシャフトを通すために逆U字型のステーを介してロワアームにつながる。

マルチリンク式リヤサスペンション

リヤサスペンションはハンドリング性能を重視してマルチリンク式を採用。フロント同様、構成パーツはオールアルミ製となり、軽さと剛性をバランスさせている。

磁性流体式減衰力調整

電子制御アクティブ・ダンパー・システムの核をなすMRダンパーは、金属粒子を含む専用オイルを使い、電磁コイルによってオイル粘度を瞬時にコントロールすることで減衰力を調整する。

トルクステアを低減するロワアーム

フロントのロワアームがダブルジョイントになっているのは、仮想キングピン軸をホイールセンターに近づけることで、トルクステアを低減することを狙った設計だ。

可変ギヤレシオのパワーステアリング

モーターとステアリングシャフトから離して路面からのフィードバックをクリアにするデュアルピニオン型としている。ギヤ比は可変で、切り始めはスローな設定となっている。

カーボンセラミック・ブレーキ

耐フェード性に優れ、23.5㎏も軽量になるカーボンセラミックのドリルドローターをメーカーオプションとして設定。前後ともエアダクト(リヤは中空サブフレームを利用)を設け、ブレーキを適切にクーリングする。

ブレーキフィールの調整

日常領域では回生ブレーキをメインに使う電動サーボブレーキシステムを採用。初期はペダルストローク、深く踏み込むと踏力をセンシングすることで、自然なフィーリングを実現している。

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