航続距離はわずか120km、、、なのに人気絶大! ハーレーダビッドソン「フォーティーエイトスペシャル」試乗レポ
MotorFan / 2018年7月6日 8時25分
ハーレーダビッドソンのニューモデル、フォーティーエイトスペシャルに乗る機会をクロアチアで行なわれたジャーナリストミーティングで得た。2010年夏に11年モデルとして登場したフォーティーエイトのバリエーションモデルであり、スタイリッシュなティアドロップ型の燃料タンクがアイコンとなっている。 TEST RIDER&REPORT●青木タカオ(AOKI Takao) PHOTO●HARLEY-DAVIDSON JAPAN
ハーレーダビッドソン FORTY-EIGHT Special……1,524,400円〜
![前後16インチの足まわりにファットタイヤを履き、ハンドルは「トールボーイバー」と名付けられたアップライトなもの。伝統の空冷Vツインは1200ccの排気量を持ち、ブラックエンジンのなかでプッシュロッドカバーやクランクケースなどをクローム仕上げとし、美しいコントラストを演出している。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004779/big_456341_201807060758280000001.jpg)
![ハーレーダビッドソンのラインナップはエンジンやシャシーによって「ツーリング」や「ソフテイル」などファミリー毎にカテゴライズされるが、このフォーティーエイトスペシャルが属するのは「スポーツスターファミリー」。ハーレーのなかではその名の通りスポーティ路線のシリーズだが、ボバーカスタムに仕上げることで新たな魅力を見出している。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004779/big_456342_201807060759490000001.jpg)
車名の48はAKBではなく、伝説のタンク形状が生まれた年式
フォーティーエイトといっても、某有名アイドルグループではない。その名は、1948年式に初採用された小振りな燃料タンクに由来する。「フォーティーエイトタンク」とも呼ばれ、容量はたった7.9ℓしかない。大型バイクにしては極端に小さいが、その美しいシルエットのためなら実用性など度外視といった姿勢を感じる。ハーレーダビッドソンとはそういったバイクメーカーであり、これを選ぶ人は航続距離よりもこのフォルムこそが重要なのだ。
実際、走行距離100km前後でもう燃料警告灯が点灯し、120kmほど走ったら給油しなければならない。しかしフォーティーエイトは、2010年夏に発売されて以来、常にハーレーの中で1〜2位をあらそう好調なセールスを誇っている。フォーティーエイトはこのままでいい……、その人気ぶりが証明しているのだ。
そして、バリエーションモデルとして“スペシャル”もデビューした。前後16インチのカスタムホイールやスポーツスターファミリーの中ではもっとも太いインナーチューブ径49mmの正立フォークなど車体の基本構成をそのままに、ハンドルを「トールボーイバー」と呼ばれる高く迫り上がった形状に変更。燃料タンクには、70年代にインスパイアされたカラフルなグラフィックを採用している。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10004779/big_456344_201807060801110000001.jpg)
ライディングポジションのクセがスゴイ……!?
ライディングポジションが独特なのでは……、と警戒されそうだが、実際に跨ってみると、グリップは両腕を伸ばした自然な位置にあり、さほど高くない。ステップは両足を前方に投げ出すフォワードコントロールだが、ヒザの曲がる近い位置にフットペグがあり、届かないなんてことは決してない。小柄な人には扱いづらそうにも見えるが、意外と乗り手の体格を選ばない。なんといってもシート高は705mmととても低く、足着き性が抜群にいい。
余裕ある1200エンジンが、常用速度域で気持ちいい
エンジンはオーソドックスなOHV2バルブの空冷Vツイン。88.9mm×96.8mmのボア×ストロークから1202ccの排気量を稼ぐ。スポーツスターファミリーはこの1200モデルと、“パパサン”と呼ばれる883cc版の2本立てとなっているが、883ccエンジンはボアが76.2mmでストロークは1200モデルと同じ。つまり、883ccの方がロングストローク設計となっていて、“パパサン”の根強いファンはそれを好む傾向にある。ロングストロークなほど、ドコドコ感が強くなるからだ。
1200エンジンはやはり全域で力強く、特に低中速はトルクフル。回転を引っ張り上げなくとも、2000rpm前後で街乗りなら充分にこなしてしまうから早めにシフトアップしていく。速度にすれば70〜90km/h程度で、このあたりのスピードレンジがじつに気持ちがいい。トップ5速での100km/h巡航は2800rpmほどでこなしてしまい、883でも3200rpmで済んでしまう。クルージング能力にも長け、給油の手間さえ煩わしいと思わないなら長距離走行も快適だ。
フォーティーエイトと比べてみると……
前後16インチにワイドタイヤを履き、太いフロントフォークを採用するという点ではベースモデルとなるフォーティーエイトと同じ。フォーティーエイトのハンドリングは、コーナーの特に進入時にヘヴィで、積極的に車体を寝かし込んでいくアクションが求められてたが、スペシャルではローハンドルをアップタイプに変更しているため、ステアリングフィールが軽くなっているのがいい。荷重をイン側に意識させるだけで自然に車体が倒れ込み、バンク角が深くなってもグリップ感が伴って落ち着いているから、安心して狙ったラインをトレースしていける。
45度Vツインならではの不等間隔爆発がもたらすトラクション性能も持ち味で、駆動輪がしっかり路面を捉えている感覚が絶えずあり、アクセルをどんどん開けていけるのも相変わらず楽しい。トラクションコントロールなどなくとも、不安なく大排気量エンジンを操れる。このダイナミックでアグレシッブなライディングこそ、スポーツスターらしさ。フォーティーエイトスペシャルはスタイリングにばかり目を惹かれがちだが、走りもまた痛快きわまりないのだ。
ディテール解説
![ダークカスタムの車体に合わせ、グロスブラックで仕上げられたアップハンドルは「トールボーイバー」と名付けられている。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004779/big_456353_201807060805200000001.jpg)
![前後16インチのキャストホイールは、細身のスポークを9組18本持つ繊細なデザイン。フロントには130mmのワイドタイヤがセットされた。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004779/big_456354_201807060805240000001.jpg)
![ブラックパーツで統一するダークカスタムとしたフォーティーエイトに対し、スペシャルではクロームパーツも随所に採用。ゴージャスさも感じさせている。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004779/big_456355_201807060805280000001.jpg)
![スッキリとしたテールセクションにもこだわっている。リヤフェンダーに備わるものはなるべく省き、テール&ブレーキ灯は左右のウインカーに内蔵した。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004779/big_456356_201807060807150000001.jpg)
![シートもシンプルそのものだが、表皮やステッチの質感が高く、座り心地も良好。エンド部のバー&シールドのロゴもオーナーの所有欲を満たすものだ。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004779/big_456357_201807060807190000001.jpg)
■主要諸元
●エンジン
ボア:88.9mm
ストローク:96.8mm
排気量:1,202cc
圧縮比:10:1
フューエルシステム:電子シーケンシャルポートフューエル噴射(ESPFI)
●ディメンション
全長:2,165mm
シート高:705mm
最低地上高:110mm
レイク(度):30.2
トレール:135mm
ホイールベース:1,495mm
フロントタイヤ:130/90B16 73H
リアタイヤ:150/80B16 77H
燃料容量:7.9ℓ
オイルタンク容量:2.6ℓ
車両重量:256kg
●パフォーマンス
エンジントルクテスト方法:EC134/2014
エンジントルク:96Nm/3,500rpm
リーンアングル右(度):27.1
リーンアングル左(度):27.1
●ドライブトレイン
プライマリードライブ チェーン ギヤ比:38/57
ギヤレシオ(全体)1st:9.004
ギヤレシオ(全体)2nd:6.432
ギヤレシオ(全体)3rd:4.783
ギヤレシオ(全体)4th:3.965
ギヤレシオ(全体)5th:3.4
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