初代センチュリーに見るトヨタの高級車への意気込み デザイン編
MotorFan / 2018年7月6日 19時45分
超高級車のトヨタ・センチュリーがフルモデルチェンジを受けて登場。その新型に繋がるDNAを探るというテーマのもとに、前回は初代センチュリーのメカニズムを紹介した。今回はデザインについて見てみよう。
初代センチュリーは発表当時から、そのスタイリングについては新しさを感じられないと評されていた。センチュリーの発表は1967年となるが、その2年前に日産よりプレジデントが登場。こちらはピニンファリーナデザインで、欧州車の先端を行くような洗練された形が特徴だった。(しかしながら、プレステージセダンとしての威厳がなく、後に大きくリファインされるが…)
プレジデント発表から2年後に登場したのが、トヨタ・センチュリー。当時のフロントデザインの特徴はヘッドライト一体型。大きな枠の中にヘッドライトとラジエターグリルが収まるスタイルだ。それ以前のヘッドライトが突出し、グリルが独立した形状から、空気抵抗の少ないローノーズな形状となってきていたのが当時のトレンドだった。
プレジデントはある種そうした流れに乗りながら、わかりやすい新しさを表現したともいえる。しかしセンチュリーは、あえてのグリルが独立した造形。異形角形ヘッドライト部分は後方にスラントする超の付くほど意欲的な造形であるものの、フェンダーとグリルの別れたような形状は古風にも見えたようだ。
トヨタとしては、1962年に発表されている2代目クラウンからまさにそうした流れに乗っており、大きな進化を果たしていた。センチュリーの発表同年に登場した3代目クラウンでは、さらにトレンドを一歩進めたデザインを披露した。…というくらいに、トヨタデザインとしては、もちろんトレンドは熟知していた。それだけにセンチュリーのデザインについては、一般のトレンドとは流れを異にする狙いだったといえるだろう。
メカニズムで数多くのトライアルを行なっているように、デザインにおいても革新を生み出そうとしたようだ。
しかし、プレステージセダンにとって必要とされる「格式」は、「斬新」や「刷新」といったキーワードから生み出すのは極めてリスキーだ。
そんなこともあり、センチュリーのデザインはクラシックとモダンを融合させている。今の視点で見るならば、かなり攻めたデザインと言えるだろう。
例えばフロントグリルは大きな直立した造形だが、その左右のヘッドライトはスラントさせて空力性能を重視する姿勢を主張。また大きなラジエターグリルは、ロールス-ロイスやメルセデス・ベンツのようでもあるが、それ自体が独立した形を持っていない。つまり、両車がラジエターグリルを見ればすぐ分かるほどの独自の造形なのに対して、センチュリーではあえてその存在を誇示していない。このあたりに、既存のプレステージセダンに対する抵抗が感じられる。
サイドビューでは、無理にひねりを効かせない、フロントからリヤへの一文字の流れが印象的。その中に据えられたキャビンも必要にして十分。後席のプライバーシも保たれる、太いCミラーも魅力的。全長や幅の広い3ナンバー専用ボディであることもあり、広い室内を確保しながらも伸びやかさも魅力。そして長いトランクエリアが、伸びやかさをさらに印象付けている。
そしてリヤビューは左右端を後方に伸ばした、欧米トレンドに則ったスタイル。さらにウインカーは3つのライトが並び、ウインカーを作動させると内側から外側に向けて順番に点滅する方式を日本で最初に採用した。(その後、ローレルや510ブルーバードが採用)
実はこのスタイルは、のちにウインカーが橙色に指定されるとなくなっていった。また、左右の張り出したリヤスタイルも、途中のマイナーチェンジで一般的なフラットな造形へと修正されていった。
しかしながら、2代目、3代目と受け継がれる中でも、全体的なセンチュリー・スタイルは堅持され、とりわけフロント&リヤビューでは一目見てもセンチュリーと分かる形が出来上がってきた。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
トヨタ最新型「クラウン“セダン”」どう思う? 斬新「サメ顔」&クーペ風ボディに賛否! 全長5m超えの「ビッグな王道セダン」に寄せられた声とは
くるまのニュース / 2024年9月14日 11時10分
-
“超凄い”トヨタ「クラウン“スポーツ”」公開! 斬新“黒マスク”顔&スポーティデザインがイケてる! 迫力の“エムズ仕様”登場
くるまのニュース / 2024年9月10日 7時10分
-
トヨタの「最強・最上級セダン」がスゴい! 全長5m級“重厚ボディ”にV8エンジン搭載! 実は「VIPが乗車」したことも!? 歴史的すぎる「スゴいセンチュリー」石川に存在
くるまのニュース / 2024年8月31日 11時10分
-
トヨタ新型「クラウン エステート“シャコタン”」公開! 「車高下げ」で美しすぎる“ステーションワゴン”爆誕! 市販後やる人いそうな「ベタベタ仕様」を予想してみた!
くるまのニュース / 2024年8月30日 12時10分
-
トヨタの「小さな高級車」がスゴい! 「センチュリー」並み“匠の手作り”ボディ×旧車デザインの「斬新ドアセダン」! 直6搭載の「オリジン」とは
くるまのニュース / 2024年8月26日 20時10分
ランキング
-
1東京都、018サポートで新たに134人への重複支給発覚 マイナ申請の照合設定に誤り
産経ニュース / 2024年9月20日 19時47分
-
2メルカリで「マイナス評価」が1つでもあったら売れなくなる? 購入を敬遠される可能性も……
オールアバウト / 2024年9月20日 20時40分
-
3「ぜんたーい、止まれ!」その入場行進なんのため? 元体育主任が語る、運動会で廃止すべきこと3つ
オールアバウト / 2024年9月20日 20時35分
-
4「SHOGUN」エミー賞受賞を喜ぶ人と抵抗ある人 日本人がアメリカで最多受賞した本当の理由
東洋経済オンライン / 2024年9月20日 13時0分
-
5ダウンタウン浜田雅功の“くちびる寿司”を食べてみた ユニークな見た目に笑ってしまう
オトナンサー / 2024年9月20日 23時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください