パタンと閉まらないための技術 [人とくるまのテクノロジー展2018名古屋]
MotorFan / 2018年7月11日 18時0分
センターコンソールのふたがスーッ……ピタッと開閉する様は、あなたのお持ちのクルマに備わっているだろうか。パタン!バチャン!とならないのは、軸部のロータリーダンパーが動きを制御しているからである。
ギヤシャフトがローター構造になっていて、それを収めるケース内にシリコーンオイルを充填。その粘性と抵抗によってかの動きを実現している。動かしたいものの重量や速度は、ローター径やオイル粘度によって細かく調整が可能。Oリングで封じられる構造で、漏れないのかと訊いてみたところ、数十万サイクルの試験を行っていて問題なしという結果を得ているらしく、どうやら心配はなさそうだ。オイルを用いているだけに、温度によって特性の変化はないのかと立て続けに訊いたら、やはりそこは速度の違いとなって現れるらしく、使用条件を0℃〜50℃としていた。
その不二ラテックスのロータリーダンパーの新しい製品が、写真に示すスナップ式。従来品がネジ留め構造としていたところ、スナップ構造とすることで工数削減と部品点数減少を両立させた。
ロータリーダンパーとともに紹介されたのがショックアブソーバ。ロータリー式の回転運動緩衝に対して、直線運動を緩衝する部材である。外観と名称から想像できるように、サスペンションに用いるショックアブソーバと機能は同様。では何に使うかといえば、引き戸構造の直線運動において、最後の閉まるときだけゆっくりにするという運動を実現する。ああ!ニトリのたんすがスーッと閉まるアレですか!と言ったらどうやらそのとおりらしく、システムキッチンの引き出しなどにも使われているそうだ。
ねらいは指はさみ防止。確かに運動全域を緩衝すると「早く開いてくれ!」ともなりかねないわけで、閉まる直前だけ速度が落ちるというのは理にかなっている。
さらに訊けばロータリーダンパーは劇場の折り畳み椅子、自動販売機の取り出し口ふた、コピー機のトレイ──あちこちに使われているとか。なるほど、パタンと閉まらない技術はクルマにとどまらないのかと納得した次第である。
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