ズバリ、”The優等生”でした! 新型フォルツァ詳密解説/ホンダ
MotorFan / 2018年7月26日 10時40分
2000年に初代デビューを果たしたフォルツァは今回のフルモデルチェンジで第5世代へと進化した。去る7月23日にツインリンクもてぎで開催された発表試乗会には、歴代モデルが勢揃い。技術説明会の後は、試乗する機会が得られ、パイロンスラロームから高速域の走りまで、たっぷりとその最新パフォーマンスを堪能した。 REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
ホンダ・フォルツァ……646,920円
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フォルツァは2000年のデビュー以来ヤマハ・マジェスティのライバルとして、また250ccスクーターの代表格としてしての定評がある。スポーツスクーターとしての個性を磨き2004年登場のフォルツァZには6速マニュアル操作を可能としたSマチック搭載でも話題に。2007年の3代目ではエンジンの4バルブ化とSマチックは7速化と、二人乗り時や登坂時に有効な世界初の負荷判別機能の採用でよりパワフルな走行性能を得た。2013年の4代目フォルツァSiでは時代のニーズを踏まえ大容量ラゲージボックスを装備、エンジンも新開発されて優れた低燃費性能を発揮。前14、後13インチホイールを採用。しかもこのフォルツァSiは税込みで55万円以下という初代モデルに匹敵するリーズナブルな価格設定とし、インパクトのある革新を披露した。
そして今回、斬新な外観デザインを始め、全てをリフレッシュされての登場だ。タイで生産を行い、販売計画は年間3000台で7月20日の新発売だが、既に1600台ものオーダーが入り好調な滑り出し。初代モデルよりも廉価な価格設定で市場を驚かせた先代のSi(ABS)より6万円程高価な設定だが5年振りの刷新で披露された商品力の向上はユーザーにとってかなり魅力的だったに違いない。
主な変更点に着目すると全長、全幅、軸距のサイズが若干コンパクト化されている。ホイールベースは先代比較で35mmほど短い1510mm。前後ホイールは共に1インチサイズアップされて前15、後14インチとなった。フレームはバックボーンから新設計のアンダーボーンタイプに変更。車両重量は10kgも軽量化されて184㎏になっていた。一方シート高は65mm高い780mmとなった。
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搭載エンジンはフォルツァSiと同系統としながら、最新バージョンへと進化したMF13E型。水冷4ストロークSOHC4バルブの前傾単気筒。ほぼスクエア(厳密にはロングストローク)のボア・ストロークは68×68.5mmで総排気量は248㏄。欧州で販売されている300とも基本コンポーネンツは共用されている。
最高出力は17kW(23ps)/7500rpmを発揮。このデータは先代のSiと同じだが、最大トルクはSiの23Nm(2.3㎏m)/6000rpmより増強されて24Nm(2.4㎏m)/6250rpmを発揮する。ちなみにこのエンジンは、低フリクション化が徹底されており、例えばピストンスカートは油膜保持性を向上する二流化モリブデン+PTEE樹脂コーティングを採用。ローラーロッカーアームの使用、シリンダーボアの中心がクランク軸上真上よりも前方に移設させたオフセットシリンダーの採用など、各メカニカル部分は抵抗少なくスルスル動くように徹底されている。
もちろん吸排気系も熟成され、マフラーの軽量化や出力特性の向上に貢献。乾式多板シュー式の自動遠心クラッチや、Vマチックと呼ばれる無段変速は基本的に大きな変更はないが幅広い領域でストレスのないハイパフォーマンスを発揮するという。
また車体のディメンションではホイールの大径化に伴い、フロントのキャスターを0.5°立てて角度は26.5°に。89mmのトレールは同じだが軸距の短縮等も含めた総合的バランスにおいて、安定志向だけでなくクィックな操縦性追求も忘れていないのが、フォルツァのDNAらしい所だ。
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どこかホンダのウィングマークをイメージさせるフロントマスクのLEDヘッドライトを始め、アナログ指針付きデジタルメーター、ホンダ・スマートキー・システムの採用。スクーター初採用となるHSTC(ホンダ・セレクタブル・トルク・コントロール)など最新鋭モデルに相応しい仕上がりが印象深い。
さて、全身をブラッシュアップした新型フォルツァの走りは如何なものだろうか。走りのインプレッションは次回のレポートに続く。
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■ストリップ解説■
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![発表試乗会場に用意されたストリップモデル。フルカバードデザインのスクーターは、通常その中身を見ることはできない。写真はカウル等の外板ボディパーツとシート&ラゲージボックスを全て取り去ったものだ。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499538_201807251637580000001.jpg)
![・見るからに大きいことがわかるフロント15インチホイール。後輪は14インチ。リヤサスペンションはユニットスイング式。長めの2本ショックはその最後端に取り付けられ、優れた作動特性を発揮した。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499538_201807251638550000002.jpg)
![スチールパイプによるアンダーボーンフレームが新作された。11ℓ燃料タンクをラジエター前方にセット。ラジエターの上にはバッテリーを配置し、このレイアウトによってホイールベースのショート化を可能とした。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499539_201807251639450000001.jpg)
![標準装備されたABS(アンチロック・ブレーキ・システム)の要となるABS制御ユニット。ステアリング軸前方に配置。ブレーキ操作による車輪のロック(スリップ)を検知するとこのユニットでブレーキ力(油圧)の減圧(車輪ロックの解除)と再昇圧(制動力の発揮)を自動制御してくれる。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499540_201807251651410000001.jpg)
![フロントタイヤは、120/70-15インチサイズ。IRC製SS560Fを装着。フロントフェンダーデザインは、フロントフォークのボトムケースもカバーするエアロデザインだ。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499541_201807251705280000001.jpg)
■ディテール解説■
![フロントブレーキはφ256mmのシングルディスク式。油圧ブレーキキャリパーは、NISSIN製2ピストンのピンスライド方式だ。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499543_201807251717000000001.jpg)
![キャタライザー内蔵マフラーの背後に隠れてしまっているが、リヤブレーキもシングル油圧ディスク式。ローター径はφ240mm。NISSIN製シングルピストンのピンスライド式キャリパーが採用されている。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499544_201807251708190000001.jpg)
![全体に統一感のあるシャープなイメージが漂うテールビュー。シート脇にある左右別体式グラブバーはタンデムライディング時の安心感が増す。またメインスタンド立ての時の持ち手としても好都合な物だった。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499545_201807251709200000001.jpg)
![ビジネススーツ一式を詰め込んで通勤。2~3日に及ぶロングツーリング。はたまたタンデムライディング用のアイテムを入れての迎車等、自由自在な使い勝手が楽しめる。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499546_201807251711420000001.jpg)
![SHOEIのJ-FORCE Ⅳを前方に納めた写真。フルフェイスでも2個のヘルメットが収納可能なラゲッジボックスはユトリのある容積と長さを誇る。また装着位置を変更できるセパレータープレート(パーテーション)も装備されており好みの使い方にセットできる。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499547_201807251711400000001.jpg)
![フルフェイスヘルメットが2個収納可能な大容量ラゲッジボックス内の左壁面には、ご覧の通り、お弁当箱程度の凹みが設けられており、車載工具等、ちょっとした物が収納できる。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499548_201807251712230000001.jpg)
![ウインドプロテクションに優れるクリアなフロントスクリーンはハンドル左手のスイッチ操作で電動による上下スライドができる。可動範囲は140mm。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499549_201807251706430000001.jpg)
![アナログ指針表示のツインメーターは、感覚的にとても見やすい。中央の液晶ディスプレイは、多彩な情報表示機能があり、ハンドル左手のABスイッチで表示内容を切り替えられる(呼び出せる)ようになっている。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499550_201807251713000000001.jpg)
![通常のスイッチの他にメーターディスプレイの内容を切り替えるINFO AとBのボタンスイッチがある。右上は電動スクリーンの昇降スイッチ。また写真には写っていないスイッチボックス背面には、HSTCのON OFFスイッチもある。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499551_201807251708210000001.jpg)
![スイッチボックス背面に配置されたHSTC(Hondaセレクタブルトルクコントロール:スロットルやロール角に基づいてエンジントルクを細かくコントロールする)用のスイッチ。人指し指の操作で長押しするとHSTCの働きを任意に切ることができる。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499552_201807251706400000001.jpg)
![ハンドル右側のスイッチはオーソドックスなレイアウト。スイッチノブはそれぞれ大きめで扱いやすい。上からキルスイッチ、ハザードランプスイッチ、セルスタータースイッチ。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499553_201807251709220000001.jpg)
![フロント左側に位置するインナーボックスはプッシュ開閉式。キーロックはないが、カチッと閉まり、開ける時もワンプッシュすれば良いので扱いやすい。ケース内は深く、ペットボトルやETCのセットも可能。中には12V2A出力の電源も用意されていた。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499554_201807251718080000001.jpg)
■電動スクリーン■
![電動で上下できるスクリーンの可動範囲は上下140mm。写真左はもっとも下げた場面で、写真右はもっとも上げた場面。角度は一定だが、ご覧の通りの差があり、プロテクション効果や風きり音の静粛性等が変化する。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499556_201807251719500000001.jpg)
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■足つきチェック■
![シート高は780mm。跨がった瞬間にやや腰高な印象を覚え、シート幅もワイドなので足つき性は先代モデルよりは劣る。両足のかかとはご覧の通り地面を離れる状態。ただ、スクーターを支えるのに特に不安は感じられなかった。](https://motor-fan.jp/images/articles/10004987/big_499558_201807251704220000001.jpg)
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