ズバリ、”The優等生”でした! 新型フォルツァ インプレッション /ホンダ
MotorFan / 2018年7月27日 6時0分
2000年に初代デビューを果たしたフォルツァは今回のフルモデルチェンジで第5世代へと進化した。去る7月23日にツインリンクもてぎで開催された発表試乗会には、歴代モデルが勢揃い。技術説明会の後は、試乗する機会が得られ、パイロンスラロームから高速域の走りまで、たっぷりとその最新パフォーマンスを堪能した。 REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
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ホンダ・フォルツァ……646,920円
新型フォルツァに跨ると、まずは腰高なポジションが新鮮。先代モデルでは低く腰掛け、尾骨も後方へ少し傾き加減で、背中を丸めて乗る感じだった。しかし、新型ではキチンと背筋が伸びる。ライダーの目の位置も高く、前方の見晴らしが良い。
ワイドなシートはクッションの厚みもたっぷりあって、しっかりとコシのある座り心地。サポート具合が良く落ち着きを覚える。シートの上面は足着き性を考慮して、両肩の面取りによって前方が次第に細くなる。体格にもよるが、筆者の場合シートよりも膝の位置がやや下になって、カットされた斜めの部分に大腿内側の一部がピタリとフィットする。コーナリング時に太腿でシートをホールドできるので、安心感は高い。
左右セパレートタイプのステップボードは地上高が310mm。足の置き場は前後位置の自由度が多く、前方に踏ん張れば、腰をシートストッパーに押し当てることで、人車の一体感をさらに高めることができて急制動時も安心。
見栄えの良いメーターユニットには指針式のアナログツインメーターが目立つ。表示も大きく直感的にとても見やすい。スピードメーターのスケールは5km/h毎に目盛りを刻む160km/hスケール。右のタコメーターは500rpm刻み11000rpmスケール。レッドゾーンは9000rpmからだ。中央の液晶ディスプレーはインフォメーション機能が充実しており、時計や平均燃費、トリップ他14項目もの各種データ表示が可能。左手スイッチの操作で走行中でもその表示の切り替え操作は容易だ。
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過激さ不要の上質な発進
エンジンを始動すると排気音は低くマイルド。どこか上質な雰囲気で前述の腰高な乗り味と共に、かつてのフォーサイトの様な雰囲気が思い出された。右手のスロットルを静かに開けると2300rpmあたりで自動遠心クラッチが繋がりスムーズに発進する。さらに開けるとタコメーターの針は一度6000rpm付近まで上がるも、だいたい5800rpmあたりで一旦落ち着き、少しの間その回転がキープされながらストレスの無い加速力を発揮する。
荒々しさは感じられない。どちらかというとマイルドな印象の加速力だが、大人びた上質な感覚で、決して遅いわけではなく、ストレスの無いパフォーマンスは十分なものがある。
無段自動変速は常に細やかに変速されるので、走行状況に応じてエンジン回転が一定に落ち着くことは少ないが、平坦路クルージング時のエンジン回転をチェックすると、50km/h時で4200rpm、60km/hでは4400rpm、そして80km/h時は5100rpmと、速度に応じて徐々に上昇していく。ピークトルクの発生回転数は6250rpmだが、そこに至るまでの広範囲で高トルクが発揮されており、実用使用回転域を低く設定されている感じ。その走りは静かで穏やか、つまりは快適性に富み、燃費性能でも有利なセッティングと思えるものだった。
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一番大きな進化を実感できたのは、はやりフロント15インチホイールの採用だ。大径化による恩恵は大きく、先ずは走りに落ち着きがある。直進安定性はもちろんの事、旋回中に魅せる安定感は抜群。特に前輪の接地感が高く、どんな場面でも安心して乗っていられるレベルの高いスタビリティを発揮してくれた。特に綺麗な路面での転がり具合は抜群のものがあり、かなりのハイペースでワイディングロードを駆け抜けるようなシーンでもライダーの不安感は極めて少なく快適に走れるものだった。
右へ左への切り返しで、車体がバンクする(傾く)時の挙動はユックリとしているが、それが落ち着きのある大人びた操縦性に貢献している。また不意に大きなギャップを通過した時、それなりに大きな衝撃を受けてもライダーの驚きは少なくて済む。パイロンスラローム等のタイトターンでの操縦性は流石にクィックではないが素直に扱える物だった。
ブレーキも前後バランスが良く調教されており、いざと言う時も頼れる制動力を発揮。電動スクリーンを上げると、ウインドプロテクションが高まりヘルメット周辺で騒がしかった風のバタつき音もピタリと止み、高速クルージングの快適性が向上する。
新設計フレームによって車重が10kg軽くなったことで、押し歩きの転がりもよく、車庫からの出し入れする時の取り回しも良好。メインスタンド掛けも楽になったし、大型ラゲッジボックスの使い勝手も良い。日常の足として活用できるスクーターとしてトータルでの実用性は明確な進化を披露した。その快適性は、ロングツーリングにも使用してみたい気にさせるほど魅力的だ。
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■主要諸元■
通称名 フォルツァ
車名・型式 ホンダ・2BK-MF13
全長×全幅×全高 (mm) 2,140×750×1,355
軸距 (mm) 1,510
最低地上高 (mm) 145
シート高 (mm) 780
車両重量 (kg) 184
乗車定員 (人) 2
最小回転半径 (m) 2.4
エンジン型式・種類 MF13E・水冷 4ストローク OHC 4バルブ 単気筒
総排気量 (cm3) 248
内径×行程 (mm) 68.0×68.5
圧縮比 10.2
最高出力 (kW[PS]/rpm) 17[23]/7,500
最大トルク (N・m[kgf・m]/rpm) 24[2.4]/6,250
燃料消費率(km/L) 国土交通省届出値 定地燃費値(km/h) 41.0(60)〈2名乗車時〉
WMTCモード値(クラス)33.3(2-2)〈1名乗車時〉
燃料供給装置形式 電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)>
始動方式 セルフ式
点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火
燃料タンク容量 (L) 11
変速機形式 無段変速式(Vマチック)
タイヤ 前 120/70-15M/C 56P 後 140/70-14M/C 62P
ブレーキ形式 前 油圧式ディスク 後 油圧式ディスク
懸架方式 前 テレスコピック式 後 ユニットスイング式
フレーム形式 アンダーボーン
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