名車さまざま、カタチもさまざま。この個性が今の車には足らないのでは? その2
MotorFan / 2018年8月4日 17時20分
ここで紹介するのも極めて個性的なモデル。ある意味両極にある存在だが、互いにあるべくして存在しているし、またこうした存在があったことが今となっても嬉しい。ここではカースタイリング的デザイン視点で紹介するが、まだまだ現代の車はこれらの先人を超えられていないのではないだろうか。
まず紹介したいのは、ジャガーXJクーペだ。展示されていたのは、ディムラー・ソブリン4.2クーペと呼ばれる、ジャガーの中でも特別な上級ブランド。グリルの造形だけでなく、グリルの製作手法も異なる。実はこのディムラーはゴットリープ・ダイムラーのエンジンを製造・販売する権利を得たイギリスの会社ダイムラー・モーター・カンパニーのこと。一時期は自動車生産を行なうまでに至っていたが、ジャガーがその会社を買収。その後ジャガーが上級モデルにダイムラーへの敬意を表してネーミングされたといわれる。ちなみに、ディムラーと表記するのは、日本でダイムラー・ベンツ社と区分けするため。
ディムラーブランドに装着されるグリルは、冷却を目的として上部に窪んだ筋の入るフルーテッドグリルと呼ばれるもの。ダイムラー・モーター・カンパニーで開発された車の特徴でもあった。
そして、XJシリーズ2世代目のシリーズIIと呼ばれるこのジャガー/ディムラーは、きわめて美しく優雅。ダブルシックスと呼ばれるV型12気筒モデルも擁するだけに、そのロングノーズのプロポーションも大きな特徴だ。
先代のXJシリーズIに比較して、より優雅なEタイプ的なフォルムをまとったと見ることもできる、といえば言い過ぎか…。しかしながら、セダンの中で、群を抜く優雅さを持ったモデルで、単なる噂にすぎないかもしれないが、初代シーマ登場時点ではジャガーに似ているのでは? と言われた所在もこのあたりのデザインに由来するようだ。
加えて、サッシレス&Bピラーレスとなるクーペは、きわめて開放感が高い。大きく左右を絞り込んだリヤ周りもジャガー/ディムラーらしさを継承する特徴となっていた。
そして次に紹介するのが、シトロエンDSシリーズだ。
シトロエンDSシリーズは廉価モデルのID19と、DS21などが展示されていた。写真はID19。とにかくこんなクルマが50-60年代のパリを走り始めたのか、と想像するだけでもわくわくするクルマだ。
まさに今改めて見直すと、そのアバンギャルドぶりは自動車業界の中にあってトップにあった。
雲の上のような乗り心地を実現するのが、前後関連式油圧サスペンション、車高調整可能な”ハイドロニューマチック”だ。そしてまるでソファーのような、ふかふかのシート。
DS21など仕様によっては、リヤサスペンションやステアリングに連動して挙動の影響を受けずに、進行方向を照らすヘッドライト。さらには、クラッチ操作を必要としない、マニュアルトランスミッションなど、驚くほど先進的な装備を盛り込む。
そしてその独特な機構を包むのが、このボディだ。軽量化のためにボンネットはアルミ製。加えてルーフはFRP製徹底した空力性能を意識したボディは、ノーズを低く抑えるが、これが実現できたのは、エンジンをフロントミッドシップのように後方に配置できたため。
狙った重量配分はF2:R1というトラクション重視。その狙いもありボンネット先端にはスペアタイヤが配置される。長いノーズと極端なほど短く小さなリヤエンド。リヤにホイールアーチはなく、フェンダーですべてが覆われる。リヤタイヤの交換は、リヤエンドのボルトを緩めることでフェンダーを外して行なうというのも、極めて個性的だ。
そんな個性的なボディが、油圧サスペンションの特性によって、停止時には油圧が抜けて低く構え、エンジンを始動するとふわっと起き上がりまるで生き物を想像させるのも、シトロエン以外にはまずありえなかった。
プジョー・シトロエン・グループは現在、両者とは異なるDSブランドを立ち上げたが、このDSシリーズの持つ個性を再び重視する発想であるようだ。
ただし、60年以上も前のこの個性的な車には、まだまだ追いついていないようだ。
クルマというものをもう一度見直す、驚きに満ちたモデルに触れることができるのが、オートモビルカウンシルの魅力だろう。ここに紹介した以外にも、マツダはFFファミリア、スバルは初代レオーネエステートバン4WD、日産では何とミッド4 II (2世代目モデル)を展示するなど、コンパクトなショーながら様々な好みにヒットするモデルが多彩に展示されたイベントだ。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
約150万円のホンダ「“極小”7シーター」が最高すぎ!「フリード」より小さい“全長4m”に7人乗れる! パワフルな「1.5リッターエンジン」搭載した「超ミニマム・ミニバン」とは
くるまのニュース / 2024年9月13日 6時40分
-
トヨタの新型「“7人乗り”ミニバン」がスゴい! 全長4.4m級「ちょうどイイサイズ」に“ヨーロピアンデザイン”採用! めちゃ売れてる「プロエース シティ」 どんなモデル?
くるまのニュース / 2024年9月10日 6時10分
-
登場から50年、初代いすゞ『ジェミニ』はGMとの愛の結晶だった【懐かしのカーカタログ】
レスポンス / 2024年9月8日 17時0分
-
ホンダが「運転の楽しいクルマ」26年に発売へ! 期待の“新型モデル”はロングノーズの「お手軽スポーツカー」!? 名車「S800」風モデル投入はあり得るのか
くるまのニュース / 2024年9月4日 21時10分
-
日産『スカイライン クロスオーバー』は、今売られていてもおかしくない商品力【懐かしのカーカタログ】
レスポンス / 2024年9月1日 17時0分
ランキング
-
1和田アキ子の限界「アッコにおまかせ!」に終了説 強面キャラが本物の権力者として批判されるように
東洋経済オンライン / 2024年9月24日 12時0分
-
2「撤退するヤツも容赦なし!」“異形の戦車”主体のロシア軍部隊 ウ軍陣地に突撃するも返り討ちに
乗りものニュース / 2024年9月24日 11時42分
-
3中国、犬を偽装したパンダが「ワンワン!」吠えてバレる パンダ犬が裏ブームとなる闇事情
もぐもぐニュース / 2024年9月24日 10時28分
-
4「そうだったのか!」料理長が教える玉ねぎの剥き方が参考になる
おたくま経済新聞 / 2024年9月23日 18時0分
-
5広島に瀬戸内の自然×シャトレーゼの魅力感じるリゾートホテル誕生
モデルプレス / 2024年9月24日 7時32分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください