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第29回メディア対抗ロードスターレース参戦記⑤バクバクのコースイン

MotorFan / 2018年9月2日 13時40分

第29回メディア対抗ロードスターレース参戦記⑤バクバクのコースイン

モータージャーナリスト塩見智が10年ぶりにレースに挑戦するストーリー。ついにレースが始まった! 波乱のレースの展開は? REPORT◎塩見智(SHIOMI Satoshi) PHOTO◎市健治(ICHI Kenji)

5人のドライバー。右から第4走者コバ(StartYourEngines編集部技術顧問)、第3走者ヒロテル(StartYourEngines編集部)、アンカー清水和夫、第2走者の筆者、第1走者ヨシオカ(MotorFan編集部)

 予選9番手からスタートした我々のチームは、スタートドライバーが冷静にスタートを決める。が、我々は過去の好成績のため、ハンデとして最初のドライバー走行枠で1分間のピット停止が義務付けられていた。さっさと義務を果たそうと予定通り1周目にピットイン。こういうときの1分間はもどかしい。そのかわり、コース復帰後、スタート直後の集団から抜け出し、前後にだれもいないコースを順調に周回することができた。

 ところが、予報通り雨が降り出す。降り始めたと思ったら急激に勢いを増し、あっという間にクルマが走行すると激しい水しぶきがあがるほどになった。セーフティーカーが出るんじゃないか? とチームの誰かが呟いた瞬間、最終コーナーでどこかのクルマがスピン! イン側に巻き込み、ウォールに激しくヒットした。ほどなく赤旗が出た。全車両がピットインした。


 雨量が減った約50分後に再スタート。主催者協議の結果、それまでの走行分は関係なくなり、4時間耐久レースは3時間耐久レースに姿を変えてやり直されることになった。やり直しなので1分間の停止義務もやり直しだ。ドライバーは周回を重ねるごとに速いラップを刻んでいたが、あるとき突如それまでより一気に15秒ほども遅いタイムの周回があった。メインストレートを抜ける車両を見ると、タイヤが泥で汚れている。コースアウトしたか!? しかし次の周からまた元のラップタイムに戻った。ダンロップブリッジを過ぎたところにある80Rでスピン、コースアウトし、スポンジバリアに接触したとのこと。乗れてきた頃、慣れてきた頃が恐ろしいということか。


 まもなく2番手の私の番だ。すべての装備を装着し、ピットを一歩出たところで待つ。心臓はバクバク。乗り込む直前、チームいちのベテランドライバーから「君に速さは求めていない。安全に戻ってきてくれ」とはっきり伝えてもらって少し気が楽になった。事実上の3時間耐久レースに切り替わった際、えらいことになったと思った。燃費に厳しいエコラン要素の強いレースが、断続的に雨が降るなかを全開で走るレースに様変わりしたからだ。
 
 5500rpmまでというエンジン回転数の制限も撤廃された。各自が最速で走らなければならないのだ。「時間が減ったのだからドライバーも減らせば!?」といった意見が出た際、「それは勘弁してよー。せっかく練習してきたんだから」という顔をしつつ、本音では「それならそれで仕方ないよね」と考えていた。完全に雨の筑波にブルっていた。

チームいちのベテランドライバー清水和夫のアドバイスタイム

 結局、当初の予定通りドライバーは申請した順番で5人全員が乗ることになり、覚悟を決めた。車両がピット前へ戻ってきた。車両停止、ドアが開く、シートを下げる。降りる。すぐさま私が乗り込む。ポジションを合わせる。ベルトを装着。「好きに走ってこい」と送り出された。

 雨はあがって路面は事実上のドライ。しかし路面の色がまだウェットにしか見えないため、どこまで攻めてよいのかがわからない。しかしすでに何周か走っている他車はそのことを知っているため、自信をもってハードなブレーキングをしてくる。当然抜かれる。イン側からもアウト側からも抜きにくるクルマが絶えない。けれども、とにかくクルマを無傷で返すことだけを考えた。丁寧に運転した。ヨーが残っている状態でのブレーキングを避けた。砂子塾長にずっと指摘されてきたステアリングの戻し遅れに気を付け、早めにステアリングを戻した。


 2〜3周走らせてようやく人心地ついた。車内が暑いということに気づく余裕もできた。さらに1〜2周した時点でもうひとつ気付いたことがある。このクルマの楽しさだ。ステアリングは適度にクイックでハンドリングは素直、6速マニュアルトランスミッションは操作性がよく、ギアリングも筑波に合っている。これほど操る楽しみを最優先したクルマも珍しいのではないか。それを思い切り走らせられる幸せといったらない。このクルマの偉大さはビギナーからプロのレーシングドライバーまで、どのレベルのドライバーをも満足させる点にある。ドライバーのレベルに応じた楽しさを提供する実に懐の深いスポーツカーだ。レース中にもかかわらずインプレッションをしてしまうのは職業病か。

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