中国での生産から撤退! スズキの判断は何を意味する?
MotorFan / 2018年9月7日 19時40分
スズキが世界最大の自動車市場である中国を見限った? 長安鈴木のスズキ持ち分である50%の株式を長安汽車に譲渡し、 中国における自動車の生産からの撤退を決断したのだ。 その理由は、「市場の変化」にあるという。 多くの日本企業にとって他人事とは思えないことが起きている。
世界最大の自動車市場に見切り?
スズキは中国の長安汽車との合弁会社である重慶長安鈴木汽車有限公司(以下「長安鈴木」)のスズキ持ち分である50%の株式を長安汽車に譲渡し、合弁を解消することを9月4日に発表した。
今後、長安鈴木は長安汽車の100%子会社として経営を継続し、同時にスズキから派遣していた総経理(日本の社長に当たる)は辞任する。そして長安鈴木は引き続きスズキモデルのライセンス生産および販売を行うという。
スズキの鈴木修会長は「約25年前にアルトを投入し、中国市場の開拓に努力してきたが、中国市場が大型車の市場に変化してきたこともあり、今般、全持分を長安汽車に譲渡することとしました」とコメントした。今回の株式譲渡によるスズキの今期の業績に与える影響はほとんどないという。
スズキの並外れた外交センスから目を離すな
もちろんライセンス生産は細々と続けるようだし、中国は今年の7月に輸入車への関税引き下げを行っているから、日本から中国への輸出という選択肢も残されている。だが、いずれにせよスズキは世界最大の自動車市場である中国での自動車生産から完全に撤退するのである。
これはいったい何を意味するのか?
もちろん、公式コメントを額面通り受け取ればほぼ間違いはない。中国の顧客の嗜好が大型車やSUVにシフトし、スズキが得意とする小型車は販売が伸び悩んでいる。そもそも小型車は一台当たりの利益が低い。大型車ばかりが好まれるようになってしまっては、スズキにとって中国がそれほど重要な市場ではなくなるのは当然だ。
しかしよくよく考えれば、多かれ少なかれ「日本のメーカーの強み」は、「スズキの強み」とオーバーラップする。確かにレクサス、インフィニティ、アキュラといった高級ブランドや、大型ピックアップのような北米専用車など、人気の高い日本車はコンパクトカーに限らない。だが、欧州勢や北米勢に対して日本勢が大きなアドバンテージを築いているのは、やはりどちらかといえば小さいクラスだろう。
そして、引き下げられたとはいえ依然と存在する関税を避けるため、現地企業との合弁を余儀なくされ、技術の流出が懸念される中国市場の特殊性もある。今や人件費もけっして安くはなく、旨みは限りなく少なくなってきている。
これまでスズキは、並外れた「外交センス」でハンガリーやインドやインドネシアといった成長市場でイニシアチブを握ってきた。今回の彼らの判断を他山の石とする経営者はけっして少なくないはずだ。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
軽自動車メーカー・スズキが投げかけた波紋「重たいクルマで道路を傷めていいのか?」
財界オンライン / 2024年9月19日 11時30分
-
中国でのエンジン生産撤退 日野自動車、9月末
共同通信 / 2024年9月13日 19時18分
-
マツダの「新型セダン」発表に反響多数!?「本気で買いたい」「デザイン最高」後輪駆動+可変リアウィングで「人馬一体」極める「EZ-6」中国に登場
くるまのニュース / 2024年9月9日 19時10分
-
EVの生存領域は超小型車とスポーツカーのみ?異彩を放つ上汽通用五菱はGM系
Record China / 2024年9月7日 7時0分
-
「守る日本」と「攻める中国」ASEAN自動車最前線 中国メーカーが「東南アジア」を攻めるワケ
東洋経済オンライン / 2024年8月30日 9時30分
ランキング
-
1「無料にしろ」ラーメン店で恫喝してくる50代男性客に店主が反撃!すごすごと退散するまで
日刊SPA! / 2024年9月26日 8時48分
-
2「アレルギー患者」増加の一方で専門医不足の謎 「僅か2.5%」内科医に占めるアレルギー専門医
東洋経済オンライン / 2024年9月26日 10時1分
-
3ビジネスで「スニーカー」は本当にありなのか? 足元だけカジュアルにならない合わせ方のコツ
東洋経済オンライン / 2024年9月26日 9時0分
-
4【逆説の日本史】バボージャブへの「手のひら返し」が招いた「大きなツケ」とは何か?
NEWSポストセブン / 2024年9月26日 11時15分
-
5高嶋ちさ子、韓国での美容施術に失敗!医師が教える「かかってはいけない美容医療」美容クリニックには怪しい所も
女子SPA! / 2024年9月26日 8時45分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください