東芝:600mの長距離通信とモジュールの小型化を両立したBluetooth low energy SoCを開発
MotorFan / 2018年9月10日 14時20分
東芝と東芝デバイス&ストレージは、世界最高(注1)となる113dBのリンクバジェット(注2)と通信モジュールの小型化を両立したBluetooth® low energy Ver.5.0規格準拠のSoC(System on a Chip) (注3)を開発した。本技術により、従来製品の約4.6倍(注4)である600mの長距離通信を実現し、かつ同水準の通信距離を持つSoCに比べてモジュールの部品数を約半分に削減可能。9月6日(現地時間)にドイツ・ドレスデンで開催された半導体国際会議「ESSCIRC2018」にて受信側技術の詳細を発表した。なお、本技術を採用したBluetooth® low energy Ver.5.0規格の製品の量産出荷を今月から開始する。
近年、ドローンや忘れ物タグなど、Bluetoothを利用した製品にはさらなる長距離化が求められている。これらのアプリケーションには通信の長距離化のほか、使いやすさと普及促進の観点から通信用SoCを含むモジュールサイズの小型化が求められている。
Bluetooth low energyは、低消費電力を特長とした無線通信の規格であり、現在多くの機器に採用されている。同規格においてさらなる長距離化を図った新規格Bluetooth low energy Ver.5.0にSoCを対応させるには、送信電力の増加が不可欠であり、そのためには、新たな電源回路・部品を追加し、送信機の電源電圧を上げるか、送信機の負荷インピーダンス(注5)を下げる必要がある。電源電圧を上げる場合はモジュールが大型になる課題が、負荷インピーダンスを下げる場合は、受信時に受信電力が送信機側に流れてしまい通信距離を伸ばせない課題があり、通信モジュールの小型化と長距離通信の両立は困難だった。
そこで、両社は、Bluetooth low energy Ver.5.0向けに新たな送受信インピーダンス整合技術を開発した。
送信機の負荷インピーダンスを下げた際の受信性能劣化を避けるため、受信時に送信機の負荷をスイッチで切り離し、受信電力が送信器側に流れないようにすると、受信信号に雑音が混入し、受信感度が低下してしまう。従来、この雑音に対して送信機側のインピーダンスを小さくし送信機側に流すことで受信感度を向上させていたが、今回は受信機側のトランスを用いたインピーダンス整合回路に雑音除去フィルタを搭載した。
通常、インダクタ(注6)を用いたインピーダンス整合回路に雑音除去フィルタ機能を追加すると、コイルの巻き線が細く、巻き数が多くなり、損失が大きく受信感度が劣化するが、今回トランスを用いたことで、コイルの巻き線が太く、巻き数が少ないものになり、損失を小さく抑えることで受信感度向上が可能になった。
また、インダクタのチップ面積の大半は配線禁止領域であるため、トランスを用いたことによる送受信機全体の面積増加は1%程度。本技術により、通信モジュールサイズの小型化と600mの長距離通信の両立に成功した。
注1:Bluetooth low energy Ver.5.0規格に準拠した製品において、2018年1月時点、当社調べ。
注2:送信電力(単位:dBm)と受信感度(単位:dBm)の差を指し、大きいほど長距離通信が可能であることを示す指標。
注3:本製品には、東芝デバイス&ストレージが開発した、電力増幅器における不要波の抑制能力と電力効率を向上させる技術も搭載されている。
注4;同社製の従来製品「TC35678」との比較
注5:交流回路での電圧と電流の比のこと。単位は直流回路の抵抗と同じΩ(オーム)が使われ、数値が大きいほど電流が流れにくく、小さいほど流れやすいことを示す。
注6:コイルのこと。
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