大坂なおみ選手にもプレゼントされた「日産GT-R」。その走りは、やっぱり常人離れしていた!!
MotorFan / 2018年9月14日 17時25分
先日、日産自動車のブランドアンバサダーに就任したプロテニスプレイヤーの大坂なおみ選手。日本人初女子シングルスでの世界4大大会優勝はもちろん、同社のハイパフォーマンスカー「GT-R」がプレゼントされたことも話題を呼んだ。デビューから10年経つが、その実力はなお第一線なのか? TEXT●今 総一郎(KON Soichiro)
いまでは多くのTVやCMには細かな注釈が添えられている。
「作中の人物や場所は実際のものとは関係ありません」
「これはCM上の演出です」
「特別な許可を得て、撮影を行なっています」
しかし、それらがフィクションであることは明らかだし、特別な許可を取ったことなど知ったこっちゃない。と、言いたいが、04年に放送されたドラマ『オレンジデイズ』は例外だと言わざるを得ない。明青学院大学を舞台に描かれたキャンパスライフは、世間一般のオトナたちから伝え聞いた「人生における最も輝かしい4年間」と大筋で同じに感じられた。受験勉強さえ頑張れば、誰にでも平等に訪れる当たり前の光景だと世の男子中高生は思ったはずだ。
ともかくボクは期待を胸に大学生になった。何百ものサークルがひしめく新歓会場の中には、もしかしたら想像通りのキャンパス☆ライフが待っていたかもしれない。しかし、新歓会場でボクの目に留まったのはパワーとスピードとテクノロジーを一身に詰めた「NISSAN GT-R」だった。おかげで、大学生活は鉄とオイルとエキゾーストノートに満ちたものとなってしまった。
気付いた時にはもう遅い!? 怒涛の加速力!!
重厚なボディに巨大なブレーキ、4本出しマフラー、そして当時で500psに迫るV6ツインターボを搭載した「GT-R」は、登場からすでに10年が経過した。さすがに、あの頃の感動は薄れると思っていたが、改めて対面するとそんなことはなかった。
冷却効率と空力を高め、立体感と逞しさを際立たせたボディから放たれる闘気。ドライバーのためだけを考えて設計された緻密なコックピット。そして、570ps/637Nmを発揮するエンジン。ビリビリと空気が震え、その場の雰囲気を支配していた。
ゆっくりとブレーキを緩めれば、クロノグラフの時計が正確に時を刻んでいくように、何万ものパーツが一斉に動き出す。それを五感で感じながら、熱狂と興奮のドライブの第一歩を踏み出した。
まず感じるのは、1760kgの車重を感じさせない瞬発力だ。重い、重いと散々指摘されるが、わずか3秒ほどで100km/hに到達する加速が重いはずがない。200km/hオーバーのサーブに常人がまったく反応できないのと同じように、「早っ」と思った瞬間にはすべてが終わっている。
抉るようなコーナリングで、チャンスを逃がさない
にもかかわらず、ハンドルにしがみつくような緊迫感はなく、ストレートもコーナーも4輪が地面に沈み込んでいるかのように安定している。さらに、試乗車の「Track edition engineered by nismo(1396万9800円)」は、一番リーズナブルな「Pure edition(1023万840円)」よりも373万8960円も高いが、スポーティなサスペンションやホイール&タイヤに加えて、ボディ製造時に構造用接着剤を使うことで体幹が鍛えられており、抉るようにコーナーを曲がっていく。ネット際のドロップショットやベースラインぎりぎりを捉えたショットなど、相手の決め球に追いつくための“あと一歩”を逃さないほど、その身のこなしは軽快だ。
ただし、乗り心地は硬い。マンホールを踏むと地雷が炸裂したような衝撃が襲ってくる。が、それもほんの一瞬のこと、次の瞬間には何事もなかったかのように走る。ひたすらに前へ、先へ、遠くへと。息をすることも忘れるほど、その走りはドライバーを熱中させる。「GT-R」は細かな注釈がひとつもいらないサイエンス・ノンフィクションだ。
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