ヤマハ発動機が協業検討の電動スクーターGOGOROってナニモノ? サーキットで実力を検証してみた。

MotorFan / 2018年10月20日 5時20分

ヤマハ発動機が協業検討の電動スクーターGOGOROってナニモノ? サーキットで実力を検証してみた。

  2018年9月、ヤマハ発動機が発表した「GOGORO(ゴゴロ)と台湾市場におけるEVビジネスでの協業に向けた検討を開始」というガイダンス。じつは今、台湾では電動スクーター「Gogoro」の人気が沸騰中だ。そもそもGOGOROとは一体なんなのか?そして、Gogoroの実力はどれほどのものなのか?モトチャンプ誌でおなじみのキッシー岸田が実際に台湾で確かめてきた! PHOTO●やすこうちてつや(YASUKOUCHI Tetsuya) REPORT●キッシー岸田 (KISHIDA Toshimasa) 取材協力●Gogoro SPECIAL THANKS●Jack Ting

1分で分かるGogoro

Gogoro社は台湾で2011年設立。15年に7月に電動スクーター「Gogoro(現在はGogogro1に改名)」のデリバリーが開始された。16年8月には早くも販売台数1万台を突破し、17年5月にはGogoro2も登場。価格が抑えられたこのモデルが大ヒットし、1か月で1万5000台ものセールスを記録した。このGogoroが画期的だったのは、バッテリースタンドを各地に設置し、そこで充電済みのバッテリーに交換するシステムを採用したこと。これにより、バッテリーの充電時間の問題を見事に解決してみせたのだ。ちなみに日本では2月から石垣島でレンタルサービスがスタートした。

加速タイムは500ccのスクーターにも匹敵する。

 台北市より約1時間の場所にある、極限サーキットにてGogoro社のテストが行われる。そんな情報をキャッチした私(キッシー岸田)は、早速台湾へ飛んだ。
 年に何回か台湾を訪れるけれど、その度に街中でGogoroを見かける機会が急速に増えているのを実感していた。だから、Gogoroに乗れるチャンスを伺っていたんだけど、今回、いよいよそれが実現する。しかもサーキットで!
 ということで、台湾の空の玄関口である桃園空港から極限サーキットへ直行して、早速試乗を開始。ここは何度もレースで走ったことがあるのだが、テクニカルなセクションが多く、コーナーからの立ち上がり加速が重要となる。また、ブレーキも多用するハードなコースだ。
 Gogoroの主なラインナップは、2015年に発売された初代モデル「1」とその性能強化モデル「S」、そして17年発売の第二世代モデル「2」。まず試乗したのは、スタンダードのGogoro2だ。ゼロからの発進は電動バイクの最も得意なところで、スムーズかつ鋭い加速。もたつきなど皆無で、むしろ「速い!」と思わせるパワー感があって、ストレートもグイグイ伸びる。カタログデータによると、Gogoro2の0〜50mタイムは4.3秒。ノーマルの125㏄エンジンスクーターだと速くて5秒後半、500㏄スクーターでも約4.2秒というのが相場なのだから、速いわけだ。エンジン車のような駆動ロスがないが、エンジン車のような操作感覚で乗れるのもいい。
 そして、倒立サスペンションなどが装着されたGogoro1系のテスト車両(メイン写真)に乗り換える。こちらの0〜50mタイムはなんと3.7秒台!SS1/32mileマシンのようにリヤサスをリジッド化していない街乗り仕様では、驚異的な速さと言える。
 そして、このGogoro改の特筆すべき点は速さだけでなく、車体周りの剛性感もしっかりあるところ。サーキットというハードな環境でもガンガン攻められるのだ。台湾では市販スクーターの開発テストもサーキットで行われることが多いのだが、Gogoroも同社に勤務する台湾のトップライダーたちが精力的にテストを行っている。こうした開発姿勢によって、Gogoroはエコなだけではない、走っても楽しい電動スクーターに仕上がっているのだ。スクーターにうるさい台湾で人気が出るのも納得、の完成度である。

テスト終了後、みんなで記念撮影。中央が私(キッシー岸田)、その向かって右が、Gogoroに勤めているパオパオさん。台湾のスクーターレースのトップライダーで、彼を筆頭にGogoroでは動態テストを徹底的に行っている。だからこそ、ハードな走行にも応えてくれるマシンに仕上がっているのだ。

鋭すぎる加速&十分な航続距離

0〜50mの加速タイムは、最速のGogoroSが3.7秒。Gogoro1が4.0秒。Gogoro2(写真)が4.3秒。Gogoro2でさえ、2種スクーターより1秒以上も速いポテンシャルを有するのだ。なお、Gogoro2の航続距離は110㎞と、街乗りユースならば申し分ない距離を走ることが可能。バッテリー残量を気にすることなく、快適に走って使えることができるのも人気の一因だ。

凝ったメカニズムを採用する初代モデル  Gogoro1シリーズは、フロントサスがベスパのような片持ち式になっているのが特徴で、前後タイヤは12インチとなる。フレームはアルミ製モノコックだ。写真はGogoro1をベースとした最速モデル「GogoroS」で、0〜50m加速は3.7秒という俊足ぶり(普通のGogoro1は4.0秒)。

Gogoro 2 Series

Gogoro 1 Series

IT装備を多数採用したハイテクマシン  現在、Gogoroの主力ラインナップとなっているのがGogoro2。タイヤサイズはフロント14インチ、リヤ13インチ。0〜50m加速は4.3秒、最高速は90㎞/h。航続距離は約110㎞。写真は装備が充実した「プラス」というグレード。さらに顔認証アンロックシステムなどを採用した最上級「デラックス」も最近登場した。

SPECIFICATIONS
全長×全幅×全高:1860mm×670mm×1090mm
軸間距離:1306mm
シート高:770mm
車両重量:122kg(バッテリー2本搭載時)
最高出力:8.58hp/3000rpm
最大トルク:25Nm(モーター)/0~2500rpm
航続距離:110km(40km/h定地走行)
最高速度:90km/h
ブレーキ(前・後):ディスク・ディスク
タイヤサイズ(前・後):100/80-14・110/70-13

Gogoro2シリーズはフルフェイスヘルメットも収納可能。Gogoro1シリーズはやや狭く、ジェットヘルメットなら収まるスペースがある。

Gogoro(一部車種を除く)のウリが、スマートフォンやスマートウォッチとの連動。メーターパネルのカラー照明の色変更が行えるほか、バッテリー残量や走行距離、駐車位置も表示される。

スマートフォンでは、モーターの始動もアプリ上でできてしまう。また、Gogoroの駐車位置も地図上に表示してくれる。何とも便利な機能だ。

簡単で早いバッテリー交換

Gogoroのバッテリー交換が行えるスタンド(Go Stationという)はGogoroのディーラー、ガソリンスタンド、コンビニなどに併設されており、その数は台湾全土で521か所も(2018年1月現在)。スマホのアプリで「Go Station」を検索することができるので、初めて行く場所でも安心。

シートを開けると、2本のバッテリーが収まっている。バッテリー1本の重量は9.8㎏。使用済みのバッテリーをスタンドの空きスロットに入れると……
充電済みのバッテリーがポンと浮き上がってくる。それを抜き取って、車体にセットすれば完了。まったく手を汚すことなく、わずか30秒で交換可能というシンプルさ!

街中の2人乗りも快適・快速!

2人乗りで台湾の街を走行テストしてみた。まず驚いたのが、発進時のパワフルさ。アクセルを開けると軽々と加速して、交通の流れに乗るのは余裕。2人乗り時のリヤの沈み込み、車体の不安定さなども感じることがなく、安心感が非常に高かった。また、アクセルオフして低速走行になると、マシンからサウンドが流れて歩行者へ注意を促すようになっているのは、電動スクーターならでは。とにかく、これまでの電動スクーターのイメージを覆すポテンシャルだ。

駐車スペースがそこかしこに!

台北市内にもバイク駐車スペースが多く設けられているので、日本の街中のように「どこ停めればいいの?」ってことはなさそう。バイクが市民の足であることを行政が理解しているんだよね。

スクーターの大群が道路を占拠!

朝の通勤時間帯になると、台北市に入るための台北橋はご覧の通り。こんな状況が約2時間続く。2スト時代は煙モクモクだったが、行政が4スト化を一気に推し進めたことで、今はクリーンな環境に。

車両価格は高いが、補助金がもらえる!

Gogoro2シリーズになってグッと抑えられた車両価格だが、それでも一般的なガソリンスクーターと比べると高価。しかし、見逃せないのが補助金の存在だ。地域によって金額が異なるのだが、桃園市の場合は約10万円、旧式の車両を引き取ってもらうなら約12万円もの補助金を受け取ることができる。

バッテリーのレンタル料も必要

Gogoroに乗るには、車両を購入するだけでなく、バッテリーのレンタル使用料金が必要だ。四つのプランが用意されているが、プランAの場合、1km走行するのに約11円。ガソリン1ℓで30kmくらい走れるガソリン車と比べると割高ではあるものの、新車で購入すると2年間走行距離無制限保障、定期メンテナンスや緊急時の24時間ロードサービスなどアフターフォローが充実しているのもGogoroの魅力なのだ。

Gogoroスタッフのみなさん、謝々!

右からGogoroショールームで説明してくれた李さんとマーケット部の陳さん、アテンドしてくれた余さん。電動スクーターの最先端を教えていただき、ありがとうございました。左から二番目は、アジアタレントカップを戦う56レーシングの松山拓磨選手。彼もサーキットで初めてスクーターに乗ったのだが、Gogoroの速さには驚いていた。

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