【連載】ホンダNSX再考③「プロドライバーの見解」《動画レポートあり》
MotorFan / 2018年9月26日 18時10分
前回、袖ヶ浦フォレスト・レースウェイにて検証したレポーターの島下泰久氏。そこで得たNSXのドライビング術が本当に正しいものか、答え合わせも含めて、今回は2名の若手プロドライバーに試乗を依頼、その特性を探ることにした。2019年モデルの注目度が高い今こそ、現行型の真価を探るのも悪くないだろう。 REPORT◎島下泰久(Yasuhisa Shimashita) PHOTO◎篠原晃一(Koichi Shinohara) MOVIE◎宮門秀行(Hideyuki Miyakado)
ポイントはフロントの2基の電気モーター。
前回はアマチュアドライバーを代表して、サーキットでのNSXを袖ヶ浦フォレスト・レースウェイで評価した。では、このNSXをプロドライバーはどのように走らせるのか。答え合わせという意味合いも込めて確かめてみることにした。
舞台はツインリンクもてぎ。週末にスーパーフォーミュラのレースを控えた金曜日にステアリングを握ってもらったのは、長期テストの第2回でも登場してくれた、スーパーGT300クラス参戦中のModulo KENWOOD NSX GT3のドライバー、大津弘樹選手だ。
サーキットでまず行なったのはタイヤ交換。販売店オプションのトラック用タイヤ、ピレリ P ZERO Trofeo Rに履き替える。
その他、取材の準備をしていたところで、ドコモ チーム ダンデライアンからスーパーフォーミュラに参戦中の松下信治選手と遭遇した。実は松下選手とは、筆者が数年前、恥ずかしながら鈴鹿でFJ1600の練習をしていた頃(といっても本コースを走ったのは数度だけなのだが)に、F3に乗る直前の彼と知り合って以来の仲。せっかくだからNSXを試してもらうことにした。
NSXに乗るのは初めて、市販車でサーキットを走るのも実は初めてという松下選手だったが、走り出すと「おぉー、楽しいですねコレ!」と笑顔になり、その後も「楽しい」を連発。おかしな話だが、ちょっとホッとしてしまった。
「フォーミュラと違ってフワフワしているのかなと思ったんですけど、しっかりしててアドレナリンが出てきちゃいます。ただオーバーステア出たときの反応はフォーミュラとは違いますよね。もっと緩やかにタイムラグがある。フォーミュラはパーンとくるんで、逆にボクからすると予測しやすい。これ(NSX)はワンテンポあります。でも、面白いですよ」
フォーミュラドライバーは、こういう感覚で走っているのだ。筆者もまたフォーミュラ、乗るべきかも、というのは余計な話である。
続いて大津選手に乗ってもらう。実は大津選手も市販車のNSXでサーキットを走るのは初めて。しかし2〜3周もしないうちに外から眺めていても解るくらいキレの良い走りを見せてくれた。
もてぎは基本、コーナー、直線、コーナーと繰り返すようなレイアウト。こうした所ではまずブレーキングからターンインでクルマの向きをできるだけ速く変えて、真っ直ぐトラクションをかけてアクセルを踏んでいくことが求められる。
難しいのは1〜2コーナーやS字といったコーナー。ここではオーバーステアへの対処が求められる。
「このクルマの特性で1〜2コーナーの間でオーバーステアが出やすいので、それをなるべく出さないように、クルマを安定させるようなイメージで走ります。S字は切り返しの部分で、すごくオーバーステアが出やすいんですが、我慢しすぎるとアンダーステアが出てしまうので、その間できれいにラインをトレースできるように走らせます」
NSXのオーバーステアは、我々アマチュアにとっては挙動が速く、対処が難しい。速さだけでなく安定した走りのためにもここがポイントになるが、そこではNSXの特徴であるフロントの2基の電気モーターによるトルクベクタリングが難しさに繋がっている部分もあるようだ。
4輪が限界ギリギリで旋回している時に、じわりとアクセルを入れていくと普通のクルマならアンダーステア気味に膨らむが、NSXはここでフロントがインに切れ込み、逆にオーバーステアに繋がりやすいという。こうした次元の話は、プロドライバーならではだ。
一方、高く評価していたのがブレーキのコントロール性である。特に難所は最終のビクトリーコーナー。
「ここは緩くブレーキングしながら入っていくのでクルマが不安定になりやすいんですが、ブレーキの踏み方、抜き方でクルマの姿勢をコントロールするのがやりやすいです」
実はパッドが終わりかけで大津選手には悪いことをしてしまったのだが、走りはやはりさすがだった。当たり前だが、プロの技である。
残念ながらもてぎ1周を語るには、とてもこのスペースでは足りないが、大津選手のドライビングについてはGENROQ Webの動画で参照いただければと思う。NSX、難しいけれど奥深く、楽しめるクルマだということ、その走りで感じていただけるはずだ。
さて、ホンダは先日NSXの2019年モデルを発表した。シャシーのセッティングを大幅に変更し、タイヤも新設計としてコントロール性を高め、ラップタイムも鈴鹿で2秒速くなったという。その走りがどのように進化したのか、遠からず是非確かめてみたいところである。
【SPECIAL THANKS】
本田技研工業 0120-112010
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「4WDでこんなに曲がるクルマってあるんだ」 開発陣が語る『GRヤリス M コンセプト』誕生の裏側とニュルの厳しさ…東京オートサロン2025
レスポンス / 2025年1月12日 9時30分
-
1秒短縮の鍵は寒さ!? 真冬にサーキットが熱くなる理由とは~カスタムHOW TO~
レスポンス / 2025年1月11日 7時30分
-
日産フォーミュラEチームがメキシコシティE-Prixに参戦! 海抜2,250mの高地で決戦
マイナビニュース / 2025年1月9日 12時58分
-
これが本物のワークスパワー! モビリティリゾートもてぎでの合同試乗会に潜入
レスポンス / 2024年12月22日 10時30分
-
スポーツカーに未来はあるのか “走りの刺激”を伝え続ける方法
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月20日 6時10分
ランキング
-
1「楽天ポイント」を最高にお得に貯める方法。“1ポイント=1円”以上の価値になるテクニックもあった!
女子SPA! / 2025年1月11日 15時46分
-
2寝るときの暖房は何℃が正解? オフタイマーは何時間で設定すべき? 【家電のプロが解説】
オールアバウト / 2025年1月12日 21時25分
-
3【話題】実は多い…「無口すぎる夫」に悩む妻たち SNS「話したい」相次ぐも、夫は「別に無言でも…」「話すことある?」
オトナンサー / 2025年1月12日 22時10分
-
4特殊清掃員が明かす「冬のお風呂で突然死」の壮絶現場。“ヒートショックのリスクが高い家”には共通点が
日刊SPA! / 2025年1月12日 15時54分
-
5映画「はたらく細胞」が"和歌山"で撮影されたナゼ ロケ地の人工島に「驚くような光景」が広がっていた
東洋経済オンライン / 2025年1月12日 10時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください