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F1直系の技術を注ぎ込んだインフィニティ・プロジェクト・ブラックS、ついに登場!【パリモーターショー2018速報】

MotorFan / 2018年10月2日 7時20分

F1直系の技術を注ぎ込んだインフィニティ・プロジェクト・ブラックS、ついに登場!【パリモーターショー2018速報】

パリ・モーターショーの前夜、インフィニティはルノースポールF1チームとのコラボレーションによって生み出されされた「インフィニティ・プロジェクト・ブラックS」のランニングプロトを発表した。F1譲りのERS(Energy Recovery System)を搭載した新世代のモンスタークーペの登場だ。


 インフィニティ・プロジェクト・ブラックSの存在は、2017年のジュネーブ・モーターショーですでに発表されていた。今回、パリ・モーターショーのプレスデー前夜にパリ市内のヨットクラブで登場したのは、そのランニングプロトだ。
 ベースは、インフィニティQ60スポーツクーペ。3.0ℓV6ツインターボ(VR30)+7速ATのFRクーペである。
 インフィニティ・プロジェクト・ブラックSは、ルノースポールF1チームのテクニカルパートナーであるインフィニティがルノースポールF1チームとコラボレーションして開発したクルマだ。「プロジェクト・ブラックSは、エンジニアリングのテストベッド」ということだが、そこに注ぎ込まれたテクノロジーは、現代F1のハイブリッド技術そのものだ。

発表会場には、ルノーF1マシンも置かれていた。カラーリングは最新だが、マシンそのものは少し前のもの。パワーユニット部がカットされて内部の「MGU-KとMGU-H」が見えるようになっていた。

 3.0ℓV6エンジンのバンクそれぞれにMGU-H(モーター・ジェネレーター・ユニット ヒート)を備える。リヤのファイナルギヤ(デファレンシャル)には、MGU-K(モーター・ジェネレーター・ユニット キネティック)を搭載する。つまりインフィニティが言うところの「世界初のデュアルハイブリッドテクノロジー搭載モデル」というわけだ。

 現在、クルマは2台作られ、1台はパリ・モーターショーへ、もう一台はテストコースで開発に使われているという。開発は続けられているが発売については未定のようだ。


エンジンは、3.0ℓ60度V6ツインターボのVR30。左右バンクにMGU-Hを搭載している。撮影できなかったが、左バンクのMGU-Hは、上から視認できた。


INFINITI Project Black S Technical Specifications
パワートレーン
プロトタイプ 3.0ℓVR30ツインターボ デュアルハイブリッド
エンジン形式:60度V型6気筒
排気量:2997cc
ボア×ストローク:2997cc
最高出力:400hp(298kW)/6400rpm
最大トルク:475Nm/1600-5200rpm
燃料供給:筒内燃料直接噴射
ERS:MGU-K×1 MGU-H×2

MGU-K
形式:交流永久磁石同期モーター
最高出力:120kW

MGU-K
形式:交流永久磁石同期モーター、スプリットターボ
最高出力:30kW

バッテリー
形式:リチウムイオン電池
電圧:400V
電池容量:4.4kWh
出力:120kW

トータルパワートレーン出力
最高出力:571ps(420kW)
最大トルク:TBC

トランスミッション:7速AT

パフォーマンス
0-100km/h:4秒以内
最高速度:TBC
ブレーキ:F380mmカーボンセラミックドリルド&ベンチレーテッドローター R360mmカーボンセラミックドリルド&ベンチレーテッドローター
タイヤ:F 275/30R21 R295/30R21
車重:1775kg

中央に見える箱状のものがMGU-K。MGU-HモMGU-Kもこのクルマのために専用設計されたもの。

ルノースポールの徳永直紀さん。「ゼロからやるプロジェクトは楽しかった。市販車の制限が大変だった」と語った。

 ここで、このプロジェクトを率いたルノースポールの徳永直紀さんに話を聞いてみよう。徳永さんは、ルノースポールでF1開発にも携わってきた第一線のエンジニアだ。現在はF1の開発にはマネジメントとして関わっているという。
 このプロジェクト・ブラックSは、昨年のジュネーブ・モーターショーで発表されていたが、その当時はまだ開発は始まっていなかったという。
 最初からF1のシステムを採り入れようということでスタートしたんですか?という問いには、「最初のオーダーは、スペシフィクなオーダーではなかったんです。インフィニティとしては、F1とダイレクトに繋がるようなコンセプトにしたいというのがありました。技術的にはかなり高いハードルでした」と答えた。

ボンネットのエアスクープは、メインラジエーターの空気をここから抜くように、CFDで形状と位置を決めた。

タイヤはピレリ。ブレーキはバイ・ワイヤーでコントロールする。

ー徳永さんの役割は、プロジェクトリーダーでいいんですか?
徳永:私は、ビークル・アーキテクチャー、つまりクルマのコンセプト、ビークルレイアウト、目標性能、商品の定義の部分を担当しました。

ーF1を市販車に載せたらこうなる、というようなことを考えるのが徳永さんのお仕事ですか? メルセデスがAMG Project-Oneでやったようなことをインフィニティとルノースポールでやろうとしているのですか?
徳永「メルセデスとは違います。あちらは、完全にハイパーカーの世界ですが、インフィニティ・プロジェクト・ブラックSは、もっと量産車に近いプロジェクトです。そもそもなぜ、ERSHを量産車に使うのか、というのがあると思います。単純にマーケティングのメッセージというだけではいけないですから。スポーツのハイブリッドってほかにもありますよね。すべての高性能ハイブリッドが持っている問題って性能が持続しないというのがあります。たとえば、インフィニティQ50をシミュレーションするとバルセロナ・サーキットを走ると1ラップか2ラップしかもたないんです。バッテリーがディスチャージしてしまうんです。ハイブリッドそのもののポテンシャルが続かないんです。他社のハイブリッドも同様です。そこをなんとかしたかった。その解として、まずERSを使って、ブレーキングの時だけでなく加速時でも回生することでバッテリーのエネルギーのバランスを改善する。ふたつめが、ブレーキバイワイヤーを搭載して、制動時にMGU-Kが持っているパフォーマンスを最大限使って、なおかつクルマのバランスをアップセットしないように緻密にコントロールしながら回生性能をポテンシャルの最大限まで使って回生する。

ーこのクルマはブレーキ・バイ・ワイヤーだということですが、油圧配管はないのですか?
徳永「いいえ、ありますよ。失陥時は油圧で制動させます。このクルマは標準で「ステア・バイ・ワイヤー」なんです。ですから、シフト・バイ・ワイヤー、ドライブ・バイ・ワイヤーでブレーキ・バイ・ワイヤー。すべてをバイ・ワイヤーでコントロールする初めてのクルマということも言えると思います。

ーこれはランニングプロトということですが、完成度は100%に近いですか?
徳永「システムチェックはだいたいおわっています。ハイブリッドの制御、エンジンとMGU-Kのブレンディングですとか、パーシャルスロットルのコントロール、あるいはブレーキ・バイ・ワイヤー、ブレーキのダイナミックのバランス、エネルギー・マネジメントもこれからです。あとはシャシーのチューニングもこれからです。


エキゾースト部の渦巻きは、F1と同じく3Dプリンターを使ったチタン製。

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