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【2ストスクーターSR50R発売】2スト&キャブでユーロ4の排ガス規制をクリアするってすごいこと! /アプリリア

MotorFan / 2018年11月2日 8時30分

【2ストスクーターSR50R発売】2スト&キャブでユーロ4の排ガス規制をクリアするってすごいこと! /アプリリア

ミニバイクのエンジンの主流がハイパワー&低コストな2ストロークから、環境に優しいクリーンな4ストロークへと移行しはじめたのは2000年ごろからだろうか。その後、2ストロークエンジンを搭載する市販車は消滅してしまった…と思いきや、まだまだ2ストエンジンにこだわり続け、新型モデルを投入するメーカーがある。それがイタリアの老舗、アプリリアだ。 REPORT●北秀昭(KITA Hideaki)

アプリリア・SR50R ……324,000円

「燃費が悪い」「排気ガス規制をクリアしにくい」などの理由で、国内メーカーは軒並み2スト車の生産を中止し。しかし外国車の中には、2ストロークエンジンにこだわり続けるモデルもある。それが“最後の2スト50ccスクーター”とも呼ぶべきアプリリアSR50Rだ。


 アプリリアはバイクレースの最高峰、MotoGPでも活躍するイタリアのバイクメーカー。ミニバイクからビッグバイクまで、様々なモデルをリリースする超大手メーカーだ。

 アプリリアSR50 は「50ccのスーパースポーツスクーター」というジャンルを確立した、20年以上の歴史を持つロングセラーモデル。シャープで攻撃的な外観、パワフルな水冷2 サイクルエンジン、前後ディスクブレーキ、13 インチホイール、高性能サスペンション、洗練されたフレームによる車体など、今もなおクラスを超えた存在として人気を呼んでいる。

 日本と同様、ヨーロッパでもバイクの4ストローク化が進行中。2ストロークエンジンを搭載してきたアプリリアSR50Rも、「厳しい排気ガス規制の“ユーロ4”に適合できずに4スト化? それとも生産中止?」と言われていたが、2ストロークエンジンのままユーロ4規制に適合し、2019年モデルが発売された。

なぜ国内では2ストエンジン搭載車が消えたのか?

「エコ=地球環境」という言葉が頻繁に使われるようになった2000年頃、日本のバイク界には大きな動きがあった。それは、2ストロークエンジンから4ストロークエンジンへの移行。国内メーカーは4ストロークエンジンに比べて有害物質の出やすい2ストロークエンジンの生産・搭載を止め、すべてのバイクのエンジンをクリーンな4ストローク化にしようとした。

 上記の動きは厳しい排気ガス規制とともに加速化。その結果、国内メーカーでは一部のレース専用モデルを除き、2ストロークエンジンを搭載するモデルが姿を消した。

 2ストロークエンジン(略して2スト)は、2サイクルエンジンとも呼ばれる、ピストン上昇・ピストン下降の2ストロークで「吸気」「圧縮」「爆発」「排気」の4つの作業をこなすエンジンのこと。

重量感のあるメカニカルな4ストロークエンジンに対し、2ストロークエンジンは軽量なイメージ。同じ排気量の場合、シリンダーヘッドの小さな2ストロークエンジンは重量が軽く、サイズもコンパクトに仕上がるのがポイントだ。

2ストロークエンジンのシリンダーヘッド(写真右)、ピストン(写真中)、シリンダー(写真左)。下の4ストロークエンジンに比べて部品点数も少なく、シンプルな構造が伺える。写真はホンダ Dio用(ボアアップ用)。
2ストロークエンジン用シリンダーの円筒内には、4ストロークエンジンの「バルブ」の役割を担う掃気ポートが設置(写真の場合は2か所設置済み)。2ストロークエンジンの場合、ピストンの上下移動によって開閉されるしくみ。

 一方、4ストロークエンジン(略して4スト)は、4サイクルエンジンとも呼ばれる、ピストン上昇・ピストン下降・ピストン上昇・ピストン下降の4ストロークで「吸気」「圧縮」「爆発」「排気」の4つの作業をこなすエンジンのこと。

 コンパクトな外観の2ストロークエンジンに比べ、シリンダーヘッドの大きな4ストロークエンジンは部品点数も多くてヘビーなイメージ。吸排気バルブやカムシャフト等を備えたメカニカルで複雑な構造のため、排気量が同じ場合、2ストロークエンジンよりも重量は重くなるのが特徴。

4ストロークエンジンのシリンダーヘッド(写真右)、ピストン(写真中下)、カムシャフト(写真中上)、シリンダー(写真左)。2ストロークエンジンよりも構造が複雑で部品点数が多い。写真はホンダ トゥデイ用(ボアアップ用)。
4ストロークエンジンの燃焼室には、2ストロークエンジンにはない吸気バルブと排気バルブが収まっている。
4ストロークエンジンの吸気バルブと排気バルブを動作させるカムシャフト。2ストロークエンジンにはなく、4ストロークエンジンの要となるパーツの1つ。

2ストエンジンの長所と短所

 2ストロークエンジンの一般的なポイントをまとめると、

・構造がシンプルなために軽量。
・ピストン一往復で一連の工程が完了。4ストロークエンジンの2倍の混合気が燃焼できるため、パワーが出やすい。 
・吸排気バルブやカムシャフトがないためフリクション(抵抗)が少なく、レスポンスが良い。また高回転域での加速も鋭い。

 上記のメリットがある一方で、

・4ストロークエンジンよりもパワーが出しやすい反面、燃費が悪い。
・音質が高くて響きやすい
・エンジンオイルと混合気を一緒に燃焼させるため、排気ガスの汚れの度合いが大きくなってしまう。そのため、排気ガス規制をクリアしにくい。
・工程が4ストロークエンジンよりも簡略化されているために未然ガスが発生しやすく、排気ガス規制をクリアしにくい。

2ストの短所を覆したSR50R

 SR50Rのポイントは、2ストロークエンジンが生み出すキレのある走りに加え、50ccとは思えない大きなボディサイズ。前モデルのDITECH(直噴のフューエルインジェクション)に代わり、2019年モデルにはキャブレターを採用しているのも見逃せないところだ。

 2019年モデルに搭載される 2ストローク50cc単気筒水冷エンジン「Hi-Per2 Pro」は、キャブレター式ながら、厳しいユーロ4の基準をクリアしつつ、優れた加速性能を実現。

 独特の形状に設計されたエキゾーストシステムには、ダブルのキャタライザーを装備。また、セカンダリエアーシステムの導入で2ストロークエンジンながらクリーンなエンジンに進化。

 50ccという排気量で、しかも2ストロークエンジンで、おまけにキャブレターでユーロ4に適合した凄いマシン、アプリリアSR50は2018年11月30日(金)より国内販売開始。価格は32万4,000円(消費税込)だ。

レーシングブラック
レーシングホワイト
フルーオレッド

≪前モデルからの主な変更点≫
ユーロ4規制の適合
新型エアフィルターの採用
新デザインのサイレンサーカバー
新デザインのナンバープレートブラケット
新しいボディグラフィック

≪デザインの特徴≫
アプリリアSR50Rは、レーシングの世界からの妥協のないデザイン性を、アプリリアのスポーツモデルからインスパイアされたスタイルで表現。デュアルヘッドランプ、セントラルエアーインテーク、テールランプとウィンカーがビルトインされたエアロダイナミクステールフェアリングが、その親和性を強調。

≪エンジンの特徴≫
2ストローク50cc単気筒水冷エンジン「Hi-Per2 Pro」は、ユーロ4 基準をクリアしながらも高い加速性能を実現。独特な形状のエキゾーストシステムにはダブルのキャタライザーを装備。セカンダリエアーシステムを備え、クリーンなエンジンに進化。

≪シャシー構造≫
高張力スチールフレームは、一般的なスクーターよりもフロントエンドに加重させ、理想に近い重量配分を実現。その結果、モーターサイクルのような前輪からのフィードバックが得られ、乗り心地とパフォーマンスの向上に貢献。また、前後の190mm ディスクブレーキと130/60ロープロファイルタイヤ
を備えた13 インチのホイールを備え、高度なロード・グリップと安全性を提供。

≪装備も充実≫
快適なライディングポジションを実現する人間工学に基づいたシートを装備し、その下にはフルフェイスヘルメットを1 つ収納できるスペースと、小物を収納するのに便利な1 リットルの容量を持つポケットを装備。

スピードメーターはデジタル表示で、ここにもレーシーな雰囲気を演出する多機能パネルが装着済み。

アプリリアSR50R 主要諸元

エンジン:2 ストローク水冷単気筒「Hi-Per2 Pro」
総排気量:49 cc
ボア×ストローク:58mm×47mm
最高出力:非公表
最大トルク:非公表
燃料供給方式:キャブレター
始動方式:セルフ式
トランスミッション:自動無段階変速(CVT)
クラッチ:自動遠心クラッチ
フレーム:スチールクレードルチューブフレーム
サスペンション(F):油圧式テレスコピックフォーク
サスペンション(R):モノショック
ブレーキ(F) :φ190 mm ディスク
ブレーキ(R) :φ190 mm ディスク
タイヤ(F):130/60-13
タイヤ(R):130/60-13
シート高:795 mm
燃料タンク容量:7 L
生産国:イタリア
ボディーカラー:レーシングブラック、レーシングホワイト、フルーオレッド
価格:32万4,000円(消費税込)
国内販売開始:2018年11月30日(金)より

■問い合わせ先:ピアッジオコール 03-3453-3903

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