次期アテンザ? RX7? マツダが開発中という噂の「FR」モデル。トランスミッションはどうなる?
MotorFan / 2018年11月5日 19時55分
かねてから開発中と噂されているマツダのFRモデル。エンジンは直列6気筒ディーゼルターボとも言われているが、搭載するのは新たなフラッグシップモデルか次期アテンザ(MAZDA6)と言われている。果たして?
SKYATCIVテクノロジーと魂動(Kodo)デザインで、世界の自動車メーカーのなかでも独自のポジションを築きつつあるマツダ。現在は、ロードスター(MX-5)以外はすべてエンジン横置きのFFベースモデルである。
だが、さらにプレミアム路線へ進むなら、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)の高級モデルが必要だ。
現在、日本メーカーでプレミアムFRモデルを持つのは
・トヨタ(トヨタ/レクサス)
・日産(日産/インフィニティ)
欧州メーカーでは
・ダイムラー(メルセデス・ベンツ/AMG/メルセデス・マイバッハ)
・BMW
・ポルシェ
・アルファ ロメオ
・マセラティ
・ロールスロイス
・ジャガー
・アストンマーティンなど
これに、デトロイト3(GM、フォード、クライスラー)といったところが、プレミアムFRをラインアップに擁している。
FFはスペース効率に優れ、走行性能が上がったとはいえ、「プレミアム・ブランド」はおしなべてFRだ。少しずつプレミアムな立ち位置へブランドを動かしているマツダがFRを開発していても不思議はない。オフィシャルな発表は一切ないが、「マツダがFRを開発している」のは、もはや公然の秘密、といってもいい。ただし、いつ発売するのか、あるいは「本当に市場に出すのか」は、未確定な部分が多いようだが。
2015年の東京モーターショーで展示されたコンセプトカー「RX-VISION」
2017年の東京モーターショーで展示されたコンセプトカー「VISION COUPE」
はともに、FRらしい流麗なプロポーションで人気を博していた。
RX-VISIONは新開発するロータリーエンジンを動力源とするスポーツカー、と噂されている。
VISION COUPEは、これまた新開発する直列6気筒ディーゼルターボを搭載するFRセダンだというのが、もっぱらの噂だ。
ロータリーを積んだスポーツカー(RX-VISIONの市販モデル化、RX-7ともRX-9とも言われている)の開発は、ロータリーエンジンの開発がやや遅れているようだ。スポーツカーは、モデルライフが長く、仮に2020年にデビューしたとしても2020年代末近くまで生産・販売しないとビジネスベースに乗ってこないと推察できる。2020年代後半の環境規制に確実にミートできるポテンシャルを持つロータリーの開発の目処が立たないと、軽々に「ロータリーエンジン復活!」と言えないのもわかる。
次期アテンザ(MAZDA6。またはそのさらに上級モデル?)が、マツダブランドのフラッグシップということであれば、直列6気筒をフロントに縦置きするFRとなることは充分に考えられる。
ロータリーエンジン搭載のスポーツカー、直6搭載のフラッグシップセダンともに、同じFRプラットフォームを使うのは、企画の前提条件になるだろう。アライアンスを組むトヨタのFRプラットフォーム、GA-Lを使うというのが定石だが、おそらくマツダは独自のプラットフォームを開発する……という期待を持って推測しておきたい。
プラットフォームは独自開発、FRに関する知見は充分にある。エンジンはもちろん独自開発。デザインにも定評がある。マツダがプレミアムFRを造れない理由はない。
そこでひとつ問題になるのが、トランスミッションだ。
マツダのステップATであるSKYACTIV-DRIVEは横置きエンジン用6速ATだ。FRのロードスターの6速MTは自社製、6速ATはアイシン・エィ・ダブリュから供給を受けている。マツダが新たに開発するロータリースポーツカーにしても、直6搭載FRプレミアムセダンにしても、マニュアルトランスミッションは自社製で開発できるだろう(プレミアムセダンにMTが必要かは疑問が残るが)。問題は2ペダル・トランスミッションだ。
2ペダルトランスミッションの開発はATにしてもDCTにしても、(可能性は低いが)CVTにしても莫大な開発コストがかかる。マツダが自社ブランドのFRのためだけに縦置き用トランスミッションを開発する可能性は低い。となれば、外部から供給してもらうしかない。
プレミアムを標榜するのであれば、現在のトレンドを考えるとギヤ段数は8速以上となる。豊かなトルクで多段化は必要ない、とマツダ技術陣が考えても、プレミアムカー市場で、ライバルが8速、9速、10速に対して6速ではカタログスペックで劣ってしまう。
では、マツダのFRはどんなトランスミッションを搭載するだろうか? 勝手な予想をしてみた。
まず、ATかDCTか? 縦置きのDCTを供給する能力があるのは、ゲトラグだが、ここはATだと予想する。燃費も変速スピードも現在のATはDCTにひけをとらない。マツダはDCTの経験がないこともあわせて考えると、やはりステップATを選ぶだろう。
サプライヤーは?
まず、筆頭に上がるのが、アイシン・エィ・ダブリュだ。縦置きATは、6速、8速、10速とラインアップも豊富だ。ロードスターで供給を受けている関係から、アイシン・エィ・ダブリュ製ATを積む可能性は高い。フラッグシップともなれば、10速か。
次に可能性があるのは、ジヤトコ(JATCO)製だ。現在、ジヤトコは日産に供給している7速ATを持っているが、日産のFR系がダイムラーからのトランスミッションを供給を受けるため、ジヤトコの縦置きトランスミッションの需要は先細りだ。マツダと組んで、8速以上の縦置きトランスミッションを開発する……というシナリオも期待したいところだ。
海外のサプライヤーはどうだろう?
縦置きトランスミッションの老舗、ZFは8HPという名機を持つ。トヨタの新型スープラ(A90)型も8HPを採用するから、これも可能性ゼロというわけではない。ただし、スープラは海外生産(マグナ・シュタイヤーのオーストリア・グラーツ工場)だが、マツダFRは当然広島産だろう。マツダとZFトランスミッションという組み合わせも過去に例がないから、可能性が低いか。
ほかに、可能性があるとしたら、フォードの10速ATか。過去、フォード傘下にいたという関係から供給を受けるか……、それなら日産と同様にダイムラーの9G-TRONICを買うというテもある……か。
マツダがプレミアムFRを開発中という噂は、ぜひ噂で終わらず現実となってほしい。どんなFRに仕上がるか、想像しながら待つことにしよう。
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