燃焼時のCO2ゼロ!トヨタ、工業利用を目的とした世界初の汎用水素バーナーを開発
MotorFan / 2018年11月9日 19時45分
トヨタは、工業利用を目的とした汎用バーナーとしては世界初となる、水素を燃料とするバーナーを、中外炉工業株式会社の協力により新開発し、11月8日より愛知県豊田市の本社工場鍛造ラインに導入した。
従来は、水素バーナー内で水素が激しく燃焼することで(=酸素と急速に反応し)、火炎温度が高温になり、環境負荷物質であるNOxが多く生成されるために、水素バーナー実用化は困難だった。新開発した水素バーナーは、水素を緩やかに燃焼させる2つの新機構を導入し、CO2排出ゼロに加えてNOx排出を大幅に低減させ、高い環境性能を両立したのが技術的ハイライトだ。
1:水素と酸素が混ざらないようにする機構
水素と酸素が完全に混合した状態で着火すると、激しく燃焼し火炎温度が高くなる。水素と酸素をバーナー内で並行に流し、完全に混合していない状態で緩慢に燃焼させ、火炎温度を下げている。
2:酸素濃度を下げる機構
バーナー内の酸素濃度が高い状態で着火すると、激しく燃焼し火炎温度が高くなる。水素をバーナー内に供給するパイプの中腹に小さな穴を空け、少量の水素と酸素をあらかじめ燃焼(予燃焼)させ、酸素濃度を適正値に(19%)下げた状態で主燃焼が始まるようにして火炎温度を下げている。
トヨタは、「トヨタ環境チャレンジ2050」の「工場CO2ゼロチャレンジ」達成に向け、革新技術の導入や日常の改善活動に加え、工場で使用するエネルギーを再生可能エネルギーや水素に置き換えていく予定だ。
この技術によって、現在国内工場で1000台以上導入され、工場設備の中でもCO2排出量が多い大型都市ガスバーナーを水素バーナーに置き換えることが可能になる。トヨタの「工場CO2ゼロチャレンジ」実現に向けて、水素バーナーを他工場へ順次展開していく予定で、トヨタグループ会社内でも導入が検討されている。
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