マツダCX-8:3列目シートはさすがに国産高級ミニバンほど広くはないが、それでも「SUVの3列目」としてはトップクラスに快適
MotorFan / 2018年11月16日 15時35分
旬なクルマの情報を網羅した「モーターファン別冊 統括シリーズ」。今回は「Vol.106 2018-2019年国産&輸入SUVのすべて」から「マツダ・CX-8」を抜粋してご紹介。ミニバンの生産を終了すると明かしたマツダが、ファミリー層をはじめ、豊かなライフスタイルを送る人々に向けて用意したのが「CX-8」だ。同車の魅力をモータージャーナリストの佐野弘宗が語る。 レポート=佐野弘宗[本文]/塚田勝弘[写真解説] フォト=神村 聖
3列すべてが快適な居住性 上質で絶妙な乗り味も美点
CX-8は複数の任務を課されたクルマだ。CX-8の登場に合わせてマツダが既存ミニバンの生産を終了したことで、国内でのマツダの3列シート需要はCX-8がすべて引き受けることになる。また、新世代マツダ第一号のCX-5保有顧客の「次の一台」の候補にもなるし、他社の高級ミニバンと並ぶ「VIP車」需要にもCX-8は切り込む。つまり、マツダが新世代商品群に移行してから生じていたいくつかの「スキ間」をCX-8は一台で埋めるという役割を担っている。
今のマツダはデザインや要素技術が一括構想で開発されることもあって、CX-8もパッと見では「CX-5のロング版」と思われがちだが、ちょっと正確ではない。フロアやリヤサスが大荷重対応となる骨格設計は海外専用車にして今のマツダ最大機種となるCX-9と共通部分が多く、その上で全幅(と前後オーバーハング)を日本で使いにくくないギリギリまで削り取っている。つまり、CX-8は「CX-9のナロー版」と考えたほうが実態に近い。
CX-8最大の特徴となる3列目シートはさすがに国産高級ミニバンほど広くはないが、それでも「SUVの3列目」としてはトップクラスに快適だ。設計上は身長170㎝までの想定というが、実際には175㎝超の大柄男性でも、2列目のスライドを融通すれば身体のどこも当たらずに座れるし、着座姿勢も自然。風切り音などの静粛対策も入念で、日帰り程度ならさほど苦痛と感じさせないのはたいしたものだ。
エンジンは2.2ℓディーゼル(の最新190㎰版)のみで、変速機はお馴染み6速AT。3種あるグレードすべてでFFと4WDが選べる。注目なのは最上級の「Lパッケージ」で、これこそ正真正銘、今のマツダの(国内の)フラッグシップである。他グレードではキャプテンとベンチが選べる2列目シートも、「Lパッケージ」はキャプテンのみで左右席の間には豪華な専用コンソールボックスが備わる。これはつまり、運転手付きのソファー用途もCX-8は想定しており、当然のごとく、マツダの小飼社長も公式社用車として使う。
走りは素晴らしく快適である。スペックを見ればCX-5より重厚で落ち着いているのは容易に想像できるが、乗り心地は大型客船のようにゆっくりゆったりで、さらに豊潤で柔らか。しかも、その向こうに、マツダらしい正確なレスポンスをきちんと感じさせる味わいや仕上げには素直に感心する。パワートレーンやサスペンションの基本形式はCX-5と酷似するCX-8だが、「CX-5より明らかに高級なクルマ」というキャラクターとポジションを乗り味でも見事に表現できている。
CX-8で初出となった最新型ディーゼルも従来よりパンチが増したのは明らかで、CX-5より約150㎏重い車重でも、動力性能にはなんら不足はない。かといって、オーバートルクというほどでもなく、FFでも大人っぽく落ち着いた走りを披露する。しかし、さらにトルクを四輪に分散させてくれる4WDの方が、後ろが重めの前後重量配分も奏功しているのか、トータルでの乗り心地や操縦性ではわずかにFFよりも印象が良いのも正直なところだ。
XD L Package
全長×全幅×全高(㎜):4900×1840×1730
室内長×室内幅×室内高(㎜):2690×1540×1250
ホイールベース(㎜):2930
トレッド(㎜)前/後:1595/1600
車両重量(㎏):1900
エンジン種類:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
総排気量(㏄):2188
最高出力(kW[㎰]/rpm):140[190]/4500
最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):450[45.9]/2000
燃料タンク容量(ℓ):74(軽油)
トランスミッション形式:6速AT
駆動方式:4WD
タイヤ・サイズ:225/55R19
最小回転半径(m):5.8
JC08モード燃費(㎞/ℓ):17.0
車両本体価格:419万400円
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