第4回(ブレーキ編)150万円で実現する庶民のスポーツカーライフ「アルトワークスでぶっとばせ!」
MotorFan / 2018年11月25日 22時20分
クルマの運転操作は、ステアリング操作とアクセルによる加速とブレーキによる減速が三位一体になってこそ成立する。 それぞれに難しさはあるが、なかでも難しいと言われるのがブレーキングだ。 「ブレーキングが上手くいかないなあ」と思っている貴方! プレーキパッドの交換でその悩み、解決するかもしれませんよ!!
ブレーキングで差をつけろ!
アルトの連載コラムでいきなり他車種を引き合いに出すのもなんだが、アルトワークスの前に筆者は現行型コペンをチューニングしていた時期があった。
で、コペンのノーマルブレーキ。利かない訳ではないのだが「コレって壊れてるんじゃないの?」というくらいブレーキペダル踏み始め初期のバイト感がない。
慣れないうちは信号停止などで、前の停止車に追突しそうなほどクセのあるものだった。
コレはアルトワークスの「シート高過ぎ問題」と同様に、コペンのオーナーになったら真っ先に対策を施したい部分だった。
結局コペンに関しては、フロントブレーキパッド&フルードから始まって、ブレーキホース、リヤブレーキシューの交換と、フルコースの交換で雲泥の差のグッドなフィーリングを得られた。
対するアルトワークスは車体も軽いし、そもそもスポーティな走行も想定された“ワークス”なだけに日常的な走行やワインディング路で走りを楽しんでも、ブレーキの利きやフィーリングに不満はないだろう。
だが、「スポーツカーとしてぶっとばす」のなら、ブレーキチューンはしておきたい。
サーキットを走ってもフェードしないように耐熱温度を高めておきたいこともあるが、コペンで体験したブレーキパッドの銘柄違いによるブレーキ特性のチューニングで、よりコントロールしやすいブレーキへとバージョンアップしようと考えたのだ。
冒頭にも書いたが、ドライビングの中でも”上手い、下手”の差が顕著に出てしまうのがブレーキングなので、より扱い易い仕様にすることはスポーツカーとして王道のチューニングだ。
ブレーキチューンは目的をしっかり見極めてから!
ご存知のかたも多いとは思うが、ブレーキパッドの場合、“利きが強いほうが凄い”という訳でなく、むやみに強いパッドを装着するとかえって扱いづらくなるので要注意。
耐熱温度の対応温度も高ければ良いというものでもない。
スポーツパッドは街乗りやワインディングロード、サーキットなど、走るステージによって大きく分けられるほか、その中に特性の違うものが数種ラインアップされていることが多いので、自分には何が必要か、何を求めてチューニングするかを明確にしてから選択しないと、かえって使い難くししてしまうこともあるから要注意だ。
知っておきたいブレーキパッドの材質と大まかな特性
スポーツブレーキパッド(スポーツパッド)の摩材の種類は大きく分けて、ノンアスベスト、セミメタル(ロースチール)、フルメタルといった種類がある。ここで詳しく説明すると長くなるので誤解を恐れず超ざっくり説明しておくと、前者より後者のほうが耐熱温度が高く、利きが強い。
フルメタルパッドはほぼレース用と考えて差し支えないので、基本的にはノンアスタイプかセミメタタイプから選ぶことになる。
アルトに選んだコントロール性重視のブレーキパッド
前述のコペンのブレーキパッド比較の経験から、パッド交換によるブレーキ特性のチューニングには、ある程度目処がたっていた。
筆者の場合はさほど運転が上手くないので、比較的利き始めがマイルドで、コントロール幅が広いので“ごまかし”が利くノンアスタイプが好み。
いわゆる踏み込んで利かせるタイプで、コーナーへの突込み時に、踏み足しや戻しがやり易い特性のもの。
コペンやアルトワークスで装着していたエンドレスの製品で言うと、TYPE Rがノンアスタイプで、結局コペンもアルトもコレに落ち着いた。
アルトは車重が軽いのでブレーキに掛かる負担も他のモデルと比べても少なく、パッドの耐熱温度が比較的低めのものでも十分賄えるので、パッドの選択肢は広いのだ。
対するセミメタ系のMX72はペダルタッチがカチっとしていて、ノンアスのTYPE Rよりも制動力(摩擦係数)と耐熱性がより高い。
ブレーキペダルに足を置いた瞬間からしっかりとした制動力が感じられる方が安心してコーナーに突っ込めると感じるようなドライバーは、ブレーキを踏んだ時の力強い制動フィーリングを重視したMX72のほうがマッチするだろう。
といった具合に、パッド交換だけでもブレーキフィーリングのチューニングが可能だ。
ブレーキパッドメーカーのホームページには、各製品が適する走行ステージや、特性が説明されているので、それを参考に自分の好みやドライビングに合ったモデルを探し出したい。
パッド以外でもブレーキフィールは変化する
さらなるブレーキシステムのグレードアップの定番としてはブレーキフルードの交換がある。
スポーツカーの場合ブレーキフルード(フルード)の交換は基本的に耐熱温度を上げてベーパーロックを回避するのが主目的だが、実はフルードでもブレーキタッチが向上する。
スポーツタイプのフルードにはタッチの向上を謳ったものも多いので、そういったものを選んでおきたい。
さらにブレーキタッチにこだわりたければ、次の一手はブレーキライン(ライン=ホース)の交換だ。
テフロン素材などのホースをステンレスメッシュで被覆してホースの膨張を抑制する、いわゆるステンメッシュホースは、ダイレクトなペダルタッチを提供してくれる。
さらに完璧を期すなら、リヤブレーキのシューも交換する。
需要がさほど多くないこともあり、ドラムブレーキのブレーキシューは、さすがにどのパッドメーカーも(ドリフトのサイドターン用は除き)一種類しかランナップされていないが、フロントのパッド同様に、純正よりも耐熱温度と制動力が高められてるので、前後のブレーキバランスが良化する。
ここまでやったらライトチューンのアルトワークスなら、もう完璧。
かなりゴキゲンなフィーリングが得られているはず。
思い通りのブレーキングができると、本当にドライビングが楽しくなる。
たとえサーキットを走らなくとも、ブレーキパッドを替える意味はある。
是非ともブレーキチューンを体験してほしい。
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